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オンワード600店閉鎖…ウラにある「アマゾン・エフェクト」の破壊力

消費行動が激変しつつある

アマゾンなどネット通販のシェア拡大によって既存のリアル店舗が致命的な打撃を受ける「アマゾン・エフェクト」がいよいよ本格化してきた。これまではネット通販の拡大に危機感を感じるというレベルだったが、それは過去の話である。ネット通販がビジネスの標準形であるとの意識を持てない企業は、確実に淘汰されてしまうだろう。

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限界に達したオンワード

「23区」「組曲」などのブランドを展開するアパレル大手のオンワードホールディングスが、店舗の大量閉店に追い込まれている。2019年3~8月期の中間決算で244億円の赤字を計上しており、一部報道では3000店舗のうち約2割の600店舗を閉鎖する方針だという。

中間決算での損失は、大半が海外店舗によるものなので、国内店舗の本格的な閉鎖はこれから始まる。この先も特別損失が発生する可能性があり、赤字決算が今回限りという保証はない。

同社の事業が低迷しているのは、百貨店を基盤とした従来の店舗戦略が限界に達しているからである。これまで同社は百貨店を中心に店舗を展開しており、マス・マーケティングの手法でブランドを告知した上で、店舗網を使って商品を大量販売するというビジネスモデルだった。

 

ところが人口減少やライフスタイルの変化によって、百貨店に来店する人の絶対数が減少し、従来の店舗戦略が機能しなくなってきた。これに加えて、若年層を中心に従来型のマス・マーケティングが通用しなくなり、同社の顧客基盤は目に見えて弱体化していった。

中間決算におけるブランド別売上高は、「23区」「ポール・スミス」が何とか前年同期比プラスを維持したが、「組曲」「自由区」など多くのブランドが前年割れしており、状況はかなり厳しい。