コラム

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未来にも残すべシ 個人的には超好ミ 初心者でも読めル

連載! めろんせんせいののうないからもれるえっせい

思春期を殺す小説

ネタバレあり

童貞を殺す服とか董卓を殺す呂布だとかなんとか知らないんですけどネットで定期的に再燃するじゃないっすか。フリフリでロリータとかゴスとかの雰囲気がある服が紹介されるタグね。まあセンスがいいデコチャリの洋服版みたいやつですけど。オタはなんでああいう服に異様な興奮を覚えてしまうんですか?え、わりとふつうのもあるよって?しらないですね。もうああいう服を見ているだけでときめくし。むしろ服だけでいいよね。思春期ってそういうもんだよね。で、この界隈ではだいたいの人が思春期に殺される小説っていうのがあって、ベタだけど超ド定番は『ライ麦畑でつかまえて』(1984年)

なんだけど個人的には良くわからない。何度かチャレンジしてるんだけどさっぱり刺さらない。でもみんな好きだからいいものです。世界一うまい料理はカップラーメンです。いや、これはなにかきっちりと読めていないせいにちがいないので今度ちゃんと再読してみます。マジで。サリンジャーに影響受けてる人の作品は結構好きなのにおかしいなあ……といつも不可解な気分になります。どっちかというとまだ『スタンド・バイ・ミー』(1987年)

のほうがグッとくるというか。舞台が外国なのがだめなのかも。ていうかね、青春小説っていうジャンルが書いてある時点で思春期の少年少女は「ケッ」って気分になって黄色い痰みたいなやつを吐き捨てるようにクソツイしてクソリプとばしてる様が目に浮かぶんですがもうツイッター捨ててLINEとかスナチャで生きてるんですかねそういうひとは。大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』(1993年)とか、嶽本野ばら『下妻物語』(2002年)とかって今でもまだいけるんでしょうか。

80年代と90年代あたりが強く出てますよね。エバーグリーンだと信じたいんですけど。それはさておき、とにかく『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(2004年)

はぶっ刺さりすぎていまだに抜けなくていつ読んでも殺されます。ほんとに何回も装丁とか判型変わって生まれ変わってるこの本なんすけど、地方都市、殺人事件、メンヘル女っていうゼロ年代初期青春小説親大三元直撃で心のなかがえぐられます。時代を超えて殺される本です。2006年の時期にネットで「オナニーマスター黒沢」っていう小説があって、それがすげえ好きだったんすけど、タイトルに比してめっちゃいい青春小説でそれが実は名前変えて『キャッチャー・イン・ザ・トイレット』

キャッチャー・イン・ザ・トイレット!

キャッチャー・イン・ザ・トイレット! 著者: 伊瀬 勝良

出版社:双葉社

発行年:2013

っていう名前で書籍化。これね、なんで072万部売れてないんですかね?みんなオナニーしないんですかね?勃起不全なんですかね?そのくらいイイんですよ。ところでゼロ年代大三元を捨てて、友達、スクールカースト、クズ、IoT、のテン年代四暗刻ツモ上がりの江波光則『ストレンジボイス』(2010年)

ストレンジボイス

ストレンジボイス 著者: 江波 光則

出版社:小学館

発行年:2010

が最悪に殺してきた件。もうね、未来がない。大人が黒い。どうにもならなすぎてウシジマ社長に頼むしかないっていう気分にもなってきますよ。さらなる地獄なんですけど。とにかく江波さんいいんですよ。どの作品もいいんすよ……全部救いなさすぎてジャンルがよくわかんなくていいんすよ。ショッカーの戦闘員みたいにイイイイ言ってますけど雑魚だから見逃してください。それ以外の発声器官ないんで。思春期つったらなんでかみんな主人公が学生なので必然的にコミュニテイも狭くてそのへんの閉塞感があいまって悲惨なハムスターの檻みたいになるわけですけど、テン年代あたりからはスクールカーストものってなんか定番っつーか一つのジャンルになっちゃいましたよね。でもたいてい小説書くタイプの作家はそこからはみだしてるわけで、芥川賞取った村田紗耶香さんの『しろいろの街のその骨の』(2012年)

しろいろの街の、その骨の体温の

しろいろの街の、その骨の体温の 著者: 村田 沙耶香

出版社:朝日新聞出版

発行年:2012

もそういう感じで、思春期。死ぬ。描かれてる時代がちょい前なせいもあって、あんまり時代性を感じさせないのでこれから先も読まれていく名作になるでしょう。そういや2013年のあたりってKDPがちょっと盛り上がってきたんですけど、その玉石混交のなかで現れた『ゴーストノイズリダクション』(2013年)

ゴースト≠ノイズ〈リダクション〉

ゴースト≠ノイズ〈リダクション〉 著者: 十市 社

出版社:東京創元社

発行年:2014

を見つけた創元ナイス。この生煮え感ふくめて思春期。ちょっといろいろと細かいツッコミどころはあるんですが、そんなのはどうでもいい。完成度なんてどうでもいいんですよ。あと文体も含めていいのは、『星か獣になる季節』(2015年)

星か獣になる季節

星か獣になる季節 著者: 最果 タヒ

出版社:筑摩書房

発行年:2015

でしょう。タイトルから殺しに来てます。詩のような文体で書かれた物語なんですが、むしろ小説っぽい文体よりも新鮮。そして現時点で最新のやつは電撃文庫がぶっこんできた『ただそれだけでよかったんです』(2016年)

ただ、それだけでよかったんです

ただ、それだけでよかったんです 著者: 松村涼哉

出版社:KADOKAWA

発行年:2016

でしょうか。電撃ってオタオタしいやつのなかにこういうジュブナイルみたいなのも入ってくるあたりのバランスがいいよね。これまた見事に四暗刻です。そんなわけで以上、ゼロ年代からテン年代の思春期殺す小説を何冊か紹介しました。思春期まだ死んでませんが更年期障害の一種だと思われます。これからもさらなる思春期を殺しに来る小説を読んで死にたいと思います。なんかもっと殺される思春期本あれば教えてくださいっていうか、おれが14歳だったらこういうこといってるやつを真っ先にヘイトしますんでやっぱいいです。


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