実をいうと私はライトノベルをほとんど読みません。
いや、もっと正確に言えば「まったくの無関心ではないけれど、アニメ化して話題になった原作だけはそこそこチェックして知ったかぶりでラノベを語る」という純正ラノベファンが最も忌み嫌うタイプの人種です。
このようにラノベ界の風上にも置けない私なんですが、不思議なことに人生の節目節目でライトノベルが自分の意志に関係なくひょっこり顔を覗かしてくるのです。今回は個人的に思い出の作品をご紹介したいと思います。
①時雨沢恵一『キノの旅―The beautiful world』
高校のとき別のクラスと教室を交換する授業のあと、なぜか私の机に置いてあった本。この落し物の主はほぼ間違いなく授業中にこっそり読んでたんでしょうね(笑)。
あらすじは、「旅人のキノが相棒でモトラド(注:二輪車)のエルメスと旅をしながら、様々な国を巡るという短編、1話完結型のファンタジー」(wikipediaより引用)です。
思春期の若者にとって「旅」はかなり刺激的なワードですよね。学校は答えのはっきりした問題を解く場所ですが、実際の世の中は分からないことだらけです。ある程度年を重ねれば「分からなくてもいいじゃないか、人間だもの」というある種の諦めとふてぶてしさが身につくんですが、感受性の鋭い10代ではそれが許せない。本書は悩める若者がこれから長い人生、世の中の不条理と向き合っていくための最初の一歩を踏み出すきっかけを作ってくれると思います。
②成田良悟『バッカーノ!―The Rolling Bootlegs』
学校で毎日ライトノベルばっかり読んでる人に「おすすめのラノベ教えて」と言ったら次の日ご丁寧に持って来てくれた本。その後まもなく『デュラララ!!』で大ブレイクしたので彼の目に狂いはなかったことが証明されました。
で、『バッカーノ』はテンポが良くて読みやすく、また最近の安易な萌え路線に走っていない点にも好感が持てますね。その後も20を超えるシリーズ続編が出て、2007年にはなんとアニメ化も果たしています。
「本編は見てないけどこのOPは知ってる~」と言う人もいるんじゃないかしら。ただ登場人物がかなり多いのでまずは原作小説を読んでからアニメを見ることを私はおすすめします!
ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。
人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!――といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。
タイトルのNHKは「日本引きこもり協会」の略称。本書は大学を中退し、実際に引きこもりの経験をもつ作者だからこそ書ける渾身の一冊です!!私の精神が最も病んでいた時期に読んだということもあり、とても大きな衝撃を受けましたね。
漫画の方は途中で迷走した感がありますが、今はなきGONZO(正確には吸収合併して社名は残っていますが)によって手がけられたアニメは超おすすめです。作画・音楽・脚本がここまで三拍子揃ってる作品ってなかなかないですよ。とくに後半の鬱展開はホンマぱないです。
ところで私の岬ちゃんはいつになったら迎えに来てくれるんでしょうか?
もう主人公の年齢だいぶ前に超えちゃったんですけど。
もう主人公の年齢だいぶ前に超えちゃったんですけど。
でもよく考えたら私はどちらかというとオタク眼鏡の山崎のポジションですわ……。
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