大手私鉄に3セク、「台風19号」で鉄道が大打撃

ローカル線、不通長期化なら経営に懸念も

千曲川に崩落した上田電鉄別所線の橋=10月15日午前10時17分、長野県上田市(写真:共同通信)

台風19号はJR東日本の各線だけでなく、各地の私鉄や第3セクターの鉄道事業者にも大きな被害をもたらした。生活の足に多大な影響が及ぶのはもちろん、観光地を抱える路線では秋の行楽シーズンを前に観光客輸送にも打撃となるのは必至だ。

震災復興の象徴、三陸鉄道が被災

今年3月、JR山田線から釜石―宮古間の移管を受け、従来からの南リアス線・北リアス線と合わせて岩手県沿岸部を走る1本の新たな路線「リアス線」として新たなスタートを切った三陸鉄道。東日本大震災からの復興の象徴として語られてきた同鉄道は、今回の台風で大きな被害を受け、再び復旧が必要な状況に見舞われている。

旧JR山田線区間の織笠―岩手船越(ともに岩手県山田町)では、盛土が流出し線路が浮いた状態となった。旧山田線の区間は震災の被害で不通となり、今春8年ぶりに運行を再開したばかりだ。このほか、旧北リアス線の田老―久慈間も運行できなくなっている。

不通区間では土砂流入やのり面崩壊など複数の被害があり、復旧には数週間単位の時間がかかるとみられる。15日から盛―釜石間は通常通り、宮古―田老間は臨時ダイヤで運行が行われているが、釜石―宮古間、田老―久慈間は不通が続いており、代行バスが運行されている。

東北地方では、福島と宮城県の槻木を結ぶ阿武隈急行も被災した。あぶくま駅(宮城県丸森町)のホームが流出・損壊、同駅付近で路盤が流されたほか、富野―兜(ともに福島県伊達市)間でコンクリート擁壁が崩壊、兜―あぶくま間で線路に土砂が流入した。15日昼から福島―梁川間は運行を再開したが、梁川―槻木間の運行は当面見合わせるという。

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  • 山田a23adde8b925
    しょうがない車で行こうで出かけたら、土砂崩れで通交止めとか、替わりの道が大渋滞ってこともあるから要注意ですね。箱根の御殿場ルートとか乙女峠超えるのに何時間かかるんですかーってことになるんじゃないですか。洪水被害が大きすぎて土砂崩れ情報ほとんどテレビで報道されてないから、事前のチェックが重要。
    up19
    down0
    2019/10/16 09:33
  • 沖津島b25ea6585f28
    今から6千年前の海水面は5mほど高く2万年前は逆に150m近く低かった、これだけ聞いても当時の気象現象は現在とは大きく違っていただろうと想像できます。

    想定を超える気象現象が起きるたびにより高い堤防、より直進性の高い河道、巨大な流域下水道などを構築してきました。
    一方、堤防などのハードウェア強化は人間を逆に追い込んでしまうのではないかという考え方が50年近く前から提唱されています。
    この考え方は政治色を帯びたおかしなイデオロギーに度々巻き込まれて、最近はちょっとタブー視されている雰囲気を感じます。

    しかし、今回も「想定」を超える水量が押し寄せて大災害が発生しました。
    その「想定」とはここ数百年程度の人類の知識の積み重ねで、記録していない膨大な時間が地球にはあります。
    近年の想定外の自然災害を見ると、何らかの考え方の修正が必要なのかもしれないと思うことがあります。
    up15
    down0
    2019/10/16 11:52
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