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 北朝鮮朝鮮中央通信は16日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が中朝国境の白頭山に登頂したと報じ、雪が積もる山中で白馬にまたがる正恩氏の写真を公開した。白頭山朝鮮民族の発祥の地とされ、北朝鮮が体制宣伝に利用してきた経緯がある。

 通信によると、正恩氏は白頭山に近い北部・三池淵の建設現場も視察した。正恩氏は工事の進展に満足の意を示しつつ、「今、国の状況は敵対勢力の執拗(しつよう)な制裁で困難や試練も多いが、我が人民はその中で強くなった」と語った。さらに「米国をはじめとする敵対勢力が人民に強いてきた苦痛は、そのまま人民の怒りに変わった」と述べた。自らの指導のもと、長引く経済制裁に立ち向かうことを強調するねらいがあったとみられる。

 正恩氏は昨年9月、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と平壌で南北首脳会談を行った直後、文氏と互いの妻を伴って白頭山に登頂。同行する韓国記者団の前で笑顔を見せた。だが、北朝鮮は今年2月にハノイでの米朝首脳会談が決裂した後、韓国側とのあらゆる協議を拒んでいる。(ソウル=武田肇)