米Googleは10月15日(現地時間)、毎秋恒例のハードウェア発表イベント「Made by Google」をニューヨークで開催した。今年で4回目になる。発表された主な事項を時系列で紹介する。
今年もスンダー・ピチャイCEOは登壇せず、ハードウェア担当上級副社長のリック・オステルロー氏が統括した。
オステルロー氏は、Googleのハードウェアの取り組みのビジョンは「アンビエントコンピューティング」(個々の端末などを意識せずに、環境全体をコンピュータのように操作できること)であり、ユーザーが必要とするとき、テクノロジーは背景に隠れているべきで「デバイスはシステムの中心ではない」と語った。
Stadiaについては、アンビエントコンピューティングをゲームに反映させた例として、テレビでもノートPCでもPixelシリーズのスマートフォンでもプレイできると紹介。その流れで、提供開始は11月19日だと発表した。その他、専用コントローラのデザインや素材についても説明した。
Bluetoothイヤフォン「Pixel Buds」もアンビエントコンピューティングを構成する要素の1つ。何かを知りたいとき、電話したいとき、音楽を聴きたいとき、スマートフォンを取り出したりせずに、ハンズフリーで声でGoogleアシスタントを呼び出すことでやりたいことができる。
Bluetoothは長距離でも接続が切れにくく、例えば屋内でスマートフォンから3部屋分離れても操作できるとしている。スタビライザーで耳に優しくフィットして圧迫感が少なく、環境に合わせて自動的に音量を調節する「アダプティブサウンド」機能を搭載する。
米国では来春、179ドル(約2万円)で発売の見込みだ(別記事)。
次に登場したのは、2014年にGoogle Glassの責任者としてGoogle入りしたデザイナーのアイビー・ロス氏。現在の肩書きはハードウェアデザイン担当副社長だ。同氏はGoogleが取り組むサステナビリティについて説明し、その流れで「Pixelbook Go」を紹介した。
Pixelbook Goは、2017年10月に発表された「Chrome OS」搭載のGoogleオリジナルChromebook「Pixelbook」(日本未発売)の後継モデル。筐体がマグネシウム合金で約1キロ(1061gあるいは1090g)の13.3インチ軽量薄型ノートChromebook。マット仕上げで、底面は波形スレートのようになっている。
静かなキーボードも特徴。これもアンビエントコンピューティングビジョンの一環なのだろう。
米、英、加で同日予約開始。価格は649ドル(約7万円)から。日本での発売は未定だ。(別記事)
次に登壇したのは、Google Nest担当副社長のリシ・チャンドラ氏。Nest製品はサードパーティーとも連携し、アンビエントコンピューティングを実現していると説明。その新メンバーとして「Nest Mini」を紹介した。
2017年発売の「Google Home Mini」の後継モデルにあたるNest Miniは、サイズや外観は先代とほぼ変わらないが、音質が向上し、Googleアシスタントへのレスポンスも向上し、環境に合わせた自動音量調整機能やDuoアカウントによるインターコム機能や通話機能が追加された。
同日予約開始で米国での販売価格は49ドル(約5300円)。日本での販売価格などは間もなく発表される見込みだ。(別記事)
「Nest Aware」は、インテリジェント監視カメラ「Nest Cam」を使うクラウドセキュリティサービス。日本では提供していない。このサービスの料金体系をシンプルな月額制にした。
従来はカメラごとに料金を設定していたが、2020年初頭から、カメラ、スピーカー、ディスプレイをまとめて月額6ドル(年間60ドル)あるいは月額12ドル(年間120ドル)のいずれかを選ぶようになる。
Wi-Fiルーターの「Googel Wifi」の第2世代として、「Nest Wifi」が登場。家庭内にWi-Fiメッシュを構築するという目的は変わらないが、そのためにルーターとポイントの2種類のデバイスで構成するようになった。ルーターはモデムに直接接続して基盤となり、ポイントがWi-Fiのカバー範囲を拡大する。
見た目が先代とかなり変わり、Nest Miniなどと同様の再生可能プラスチックから作った布製になった。クローゼットなどに隠されると信号が削減されてしまうので、美しいデザインにしたという。ルーターは白のみだが、ポイントはSnow、Sand、Mistの3色がある。
Google Homeアプリで部屋ごとにWi-Fiをオン・オフしたり、接続している子どもの端末からアダルトコンテンツをブロックすることもできる。
ポイントはスピーカーを搭載し、Googleアシスタントを搭載する。つまり、Nest Mini代わりに使えるということだ。
米国では同日予約開始で、11月4日発売予定。価格はルーター単体は169ドル。ルーターとポイント各1つずつは259ドル。ポイント単体は149ドル。日本でも発売の予定。
オリジナルスマートフォンの新モデル「Pixel 4」と「Pixel 4 XL」を紹介したのは製品管理担当副社長で「Pixelチーム」のサブリナ・エリス氏。
Pixelシリーズ初のデュアルレンズになった背面カメラの説明は、スタンフォード大学の教授でGoogle ResearchのDistinguished Engineerを務めるマーク・レボイ氏が行った。
レボイ氏は、「写真家は、良い写真を撮影するためには題材、照明、レンズ、カメラ本体が大事だと言う。それはそうだが、ここでは被写体、レンズ、そしてソフトウェアが重要だ」と語り、Pixelのカメラは、ハードウェアでよりも、コーディングで多くのことを処理する、「ソフトウェアで定義するカメラ」だと説明した。
競合のスマートフォンがトリプルやクアッドカメラを搭載する中、デュアルカメラでそれらにそん色のない超望遠や夜景撮影を実現した。
Pixel 4の紹介の最後に、1年間Pixel 4(のプロトタイプ)を使った著名写真家のアニー・レボビッツ氏(ジョンとヨーコのポートレートなどで有名)がゲストとして登壇し、最初は懐疑的だったが、すぐにリラックスして撮影を楽しめたと語った。
「Pixel 4」は米国では同日予約開始で24日に発売。価格はPixel 4が799ドルから、Pixel 4 XLは899ドルから。日本でも発売する見込みだ。(別記事)
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