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みずほ頭取、銀行のリスク共有変革に挑む株式持ち合いから脱却へ

  • リース事業再編で連携実績好調、銀行と異なる信用創造に成長期待
  • 東京センチュリー、芙蓉総合リースとは将来の可能性探る

みずほ銀行の藤原弘治頭取は、銀行のリスクシェアの在り方を変える構造転換を進めている。株式持ち合いによる企業とのリスク共有を見直し、劣後ローンを含むメザニン等への投融資やベンチャー企業向け投資ファンド新設などリスクマネーの供給を増やすことで、事業戦略パートナーとしての足場を築く。

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インタビューに答える藤原頭取(9日・都内)

Photographer: Yuki Hagiwara/Bloomberg

  藤原氏は9日のインタビューで、同行のコーポレートファイナンスやホールセールの分野ではパートナーシップの形が完全でなかったと振り返った。その上で、今後は、事業判断の根幹に触れる投融資の形をとることによって、「旧来の株式持ち合いの世界から、リスク共有の方法を取引先企業と一緒に考える世界に変える」と述べた。

  みずほフィナンシャルグループは、2019年度のエクイティ・メザニン投資計画を1兆4500億円としており、うち7500億円は既に具体的案件として見込みが立っているという。アジア成長戦略として13年に設立したプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドで経験値を積み、既に2号ファンドの運用も開始している。

  藤原氏は、エクイティやメザニンに投資することで必要な情報をかなり早い段階から入手でき、的確なクレジット判断やリスク判断ができると強調。今後もリスクマネーの供給は増やしていく意向を示した。みずほFGは、19年3月期末に取得原価で約1兆4000億円の政策株を保有していたが、これを22年3月期末までに3000億円削減する計画だ。政策株売却による配当減少はエクイティやメザニンなどへの戦略投資や新たに展開するリース事業などで巻き返し、5年で350億円の増益を見込んでいる

リース事業再編

  もう一つの強化分野であるリース事業について藤原氏は、「銀行と異なる信用創造ができる領域であり、次世代金融を目指す上で必要なピース」との考えを示した。みずほ銀行は3月に、資本業務提携により興銀リースを持ち分法適用会社とした。藤原氏は「名実ともにみずほの一員となったことは非常に大きい」と評価し、シェアリングエコノミー拡大の影響もあり重要性が増してくるとの見方を示した。

  みずほ銀行行員が顧客の相談に乗る中で、リースを使えば良いスキームになると考えてみずほリースの担当者が同席しストラクチャーを組むことも増えており、こうした連携による実績は、4月からの半年間に金額ベースで前年度比2倍近くになっている。

  みずほFGは、旧富士銀行系の芙蓉総合リースや旧第一勧銀系の東京センチュリーとの連携も模索しているが、交渉の進捗(しんちょく)について藤原氏は、「オープンに将来の可能性を探っている」と述べるにとどめた。興銀リースは、10月1日付でみずほリースと改称しており、23年度にグローバル分野の営業資産残高を19年度比3倍に、親会社に帰属する当期純利益を同2倍弱の300億円に引き上げる計画だ。

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