『永田町アホばか列伝』

なぜ、野党の多くが失言や疑惑に徹底して食らいつくのか。

すっかり身近になったYouTube。
さまざまなコンテンツがありますが、その中に、国会中継があります。
おかげで、政治家の皆さんが、本来の仕事の場である“国会”で、いったいどんなやりとりをしているのが、いつでも手軽にわかります。

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書名:『永田町アホばか列伝』
著者:足立康史
出版:悟空出版(2017.10)
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著者は京大卒で元通産官僚で、政党「日本維新の会」の衆議院議員。(2019年6月現在)。
普段から国会でほかの政党や議員を「アホばか」呼ばわりしている議員を改めて解説しています。


本作は2017年10月に出版された作品です。
そのため、同年同月に誕生した政党「立憲民主党」は出てきません。
「民進党」として登場しています。

足立康史議員。

日ごろの明瞭な発言と同じように、本作の文章も実にテンポよく進みます。

「アホばか」のターゲットの中心は「民進党」の議員たち、さらに「民進党」そのものです。
一所懸命、「もり・かけ」を取り上げていた「民進党」。
著者はなぜ、「民進党」がひたすら「もり・かけ」にこだわるのかを解説します。

<本文引用>------------
結局野党が「もり・かけ」で安倍政権を徹底的に追及した真の理由は、他の政策論争ではまったく勝ち目がなかったからだ。それだけではない。野党共闘とか国民連合政府などといくら言ってみたところで、正面から政府与党や維新と論戦を行えば、野党四党はもちろん、民進党内ですら結束が危うくなる。 要するに、国家国民のためでなく、自分たちの保身のために「もり・かけ」ばかりに焦点を当てたのだ。
そうした保身の最たるものは、民進党の都合による憲法改正阻止である。 維新はどこをどう改正するべきか案を出しているし、共産党はすべて反対だからある種一貫している。そのなかで民進党だけが、党としての方向性をまとめられないでいる。そこにスポットライトが当たれば、一挙に分党に向かってまっしぐらだ。
政策論争ができないから、その代わりとして本質的にほとんど問題のないことを延々と引きずり続ける。反対のための反対、論戦から逃げるための猿芝居の象徴こそ、「もり・かけ」追及の真の目的だったのだ。(本文より)
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そうなんですよね。

確かに「民進党」は、与党の「失言」や「疑惑」にはひたすら食いつきます。
でも、肝心な政策の話はなかなか出ません。

そのうち、「民進党」自身にも「失言」や「疑惑」が出てきます。
すると一転、ダンマリを決め込みます。
いわゆる「ブーメラン」ですね。

<本文引用>------------
加計問題も実はまったく同じ構造で、今治市が加計学園を検討の俎上に挙げたのも民主党政権である。民進党は本当にブーメランを上手に投げ、投げた事実をすっかり忘れてしまうようだ。気をつけてくださいよ、頭に当たると痛いでしょ? 打ち所が悪いと命に関わりまっせ! (本文より)
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ありましたね、加計学園と「民主党」の関係。
党名を変えると、過去は清算されると思っているのでしょうか?(党の中心人物はおんなじだというのに・・・)


本作を読むと、「民進党」という政党のわきの甘さというか、攻めたネタで逆に攻められるという、ダメっぷりが見えてきます。

ただ、著者は、「共産党」については、その勉強ぶりや徹底して方針に従う党運営には一目置いているようです。
でも、そんな「共産党」に関するエピソードも紹介しています。

<本文引用>------------
ところで、足立康史も属している衆議院憲法調査会は、今年七月に欧州各国へ調査のために出張を行った。自民、公明、民進、維新の委員、そして共産党から大平喜信議員も参加していた。
英国議会を訪れ、昼食会で意見交換をしたときのこと。 大平議員はコミュニスト・パーティー、共産党からやってきたことを自己紹介すると、英国側の参加者の目が輝いた。
「すごい! 歩いている共産党員を初めて見た!」
それはまるで、パンダを見るかのような視線だった。
欧州では、共産党はすでに遠い彼方の記憶、前世紀の遺物、セピア色のノスタルジーと化しているのである。 ああ、あったよね、そんなのが・・・・・・というノリなのだ。
彼らの歴史の中では、共産党も共産主義も、完全に失敗したものとしてすでに歴史の教科書の中に入っているのである。
大平議員、今度は胸を張らんばかりに、日本共産党は憲法改正に反対だ、憲法を守ると語り始めた。
すると、また英国側から失笑が漏れた。
「なんだ、だったら保守党じゃないか(笑)」
おっしゃるとおり。これにはさすがの足立康史も一本取られてしまった。(本文より)
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そうなんですよね、なんで、「共産党」が護憲なの?って。


本作を読むと、国会議員がいろいろ政党を転々としていることがわかります。
江田憲司衆議院議員については、こんな感じです。

<本文引用>------------
えだけんじ。衆院議員。旧通産省を経て〇二年自民党から初当選。離党後、無所属を経てみんなの党に参加、幹事長。離党後、結いの党結成。維新の党を経て民進党へ合流。一九五六年生。 岡山県出身。(本文より)
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結構、所属政党がころころ変わっているんですね。
著者は厳しく指摘します。

<本文引用>------------
みんなの党、結いの党、維新の党、そして民進党。江田議員がひょいひょい渡り歩く政党は、みんな壊れていく運命にあるようだ。足を引っ張り、話を引っ掻き回し、同志たちを引き裂いて不信に陥れていく。江田議員、その仕事、最後に民進党でカマしていただいたので、そろそろ引退されたらどないですか? (本文より)
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確かに、所属政党が壊れてしまえば、所属政党は変わらざるを得ないのかもしれません。
この議員を知ったのは、DHCテレビの「真相深入り!虎ノ門ニュース 」のレギュラーコメンテーター有本香氏のコーナー「強力ありもと」でした。

紳士的で健康的な姿。
頭の回転の良さがすぐにわかるテンポの良い会話の切り替えし。
でも、国会では「アホばか」を連発し、そのたびに起こされる懲罰動議で「懲罰代議士」と呼ばれているそうな。

でも、こうした発言を繰り返す著者の登場で、政治が今まで以上に身近になった気がします。


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■読んだきっかけ:DHCテレビ「真相深入り!虎ノ門ニュース 」
■読んで知ったこと:なぜ、野党の多くが失言や疑惑に徹底して食らいつくのか。
■今度読みたくなった作品:『売国議員』カミカゼじゃあのwww
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