ねこの行動を把握する「Catlog」をうちの“しろ”くんに装着してみた
1日9時間寝てるんだとか、1日中食べまくってるとか把握できるのはうれしい
ねこは1日どのように過ごしているんだろう。大切な家族を1日中見守っていられればいいけれど、さすがにそうもいきません。そこで、IoTの力でねこの行動を記録する「Catlog」がスタートアップ企業のRABOから先月発売されました。
RABO代表の伊豫愉芸子(いよゆきこ)さんは、ねこが好きすぎて2018年2月22日に起業してしまった方。大学時代にペンギンなどの海洋生物に小型センサーをつけて行動生態を調査するバイオロギングに携わっていたことから、この技術をねこに応用できないかと考えて生まれたのが「Catlog」です。
昨年、クラウドファンディングのmakuakeで目標の30万円を大幅に上回る約457万円を獲得し、無事発売までこぎつけました。そこで、筆者の飼いねこであるしろくん(オス13歳・八戸生まれの雑種)に装着して行動を記録してみました。
▲しろくん・オス13歳。大病もなくいたって元気です。よく鳴いて訴えます
「Catlog」はデータを受信するHomeとねこに装着するセンサーであるPendantのペアを基本セットとして発売(税別1万4800円)。Pendantの色は「猫鈴ゴールド」と「キトンブルー」の2種類あり、多頭飼いの人向けにPendantだけ(9800円)も発売されています。1つのHomeに対して4匹まで接続できます。
設定は、まずHomeのボタンを押して青く光ったらアプリから行います。ユーザー登録のあとは、画面の指示にしたがっていけば、簡単に設定は完了するでしょう。Pendantとペアリング時は乗せる指示がありますので従えばOKです。なお、HomeはWi-Fi(2.4GHz帯)に接続する必要があるため、Wi-Fi環境がある家での利用が前提となります。
また、HomeはUSB給電なのですが、ケーブルは付属するものの電源アダプターは同梱されていないため、別途用意する必要があります。筆者は余っているiPhoneの電源アダプターを活用しました。
▲Homeは、ねこがよくいる場所に設置するといい。温度センサーがついていて、アプリ上で常に室温を表示してくれる
▲アプリでの設定はイラストでわかりやすく指示されるので、従うだけで設定完了する
PendantのベルトはS(16~20cm)、M(20~25cm)、L(22~28cm)の3つのサイズがあり、腕時計のベルトと同じ方式で、付け替えられる仕様になっています。現在はベルトだけの販売はされていませんが、今後販売する予定のようです。
ただ、ベルトだけ自作することも可能でしょう。現時点では2種類しかないので、こだわりのある人は自作してみてもいいと思います。
▲Pendantは、センサーが備わっていて、ベルトは交換可能になっている。しろくんの毛だらけになっているのはご愛嬌
▲ベルトは、引っ掛けたとき簡単に外れる仕組みになっている
Pendantには3軸加速度センサーが内蔵されています。Homeとの通信はBluetoothを使用しており、電波の届く範囲内なら行動が記録できます。だいたい、60平米とのことですが、家の構造によっては届く範囲は狭まるかもしれません。
また、充電式なので設定時と同様、定期的にHomeに乗せる必要があります。実際に使ってみたところ、1週間程度でバッテリーがなくなります。アプリの画面にバッテリー容量は通知されますので、少なくなってきたと思ったら充電しましょう。4時間ほどで満充電になりますが、その間は記録できないので、ねこと一緒にいるときに充電をするといいでしょう。
▲充電用の端子が2つ付いているので、Pendantを乗せる際にこの位置をあわせる
▲充電時は、Pendantのセンサー部のLEDが光り、充電が終了すると消える
今回、猫鈴ゴールドをしろくんに装着しましたが、すっごく似合います。センサー部分が首元になるように装着しますが、動いているうちにズレてしまいます。ただ、位置はそれほど気にしなくても大丈夫なようです。
▲センサーの位置は、ねこが動いているうちに変わりますが、記録はされていたので、それほど問題はないようです
しろくんにとって、13年生きてきて初の首輪です。装着時に嫌がるかなと思ったのですが、意外とすんなり装着させてくれました。ただ、やはり気になるようで、後ろ足でPendantのベルトを引っ掻いていました。
装着して1週間ログを取り続けてみました。スマホからいつでもどこからでも、行動確認ができるので、何してんだろうって結構気になって見てしまいます。PendantとHomeはBluetoothでやり取りしますが、常に通信しているのではなく、一定間隔ごとにやり取りしているようです(通信頻度は公表されていません)。
Homeがデータを受信したら、サーバーへ送りどんな行動をしているのか判断しています。アプリで表示される行動判断した時間は、だいたい数分から十数分前ぐらいで、更新をしても大概更新されません。リアルタイムな情報ではないのですが、だいたい今何しているのかは把握できます。
▲現在の状態をイラストで表示。かわいい
現時点で判別できる行動は、
- 歩く
- 走る
- くつろぐ
- 寝る
- ご飯を食べる
ただ、しろくんの行動を確認すると、実際に見ていたわけではないものの、概ねあっているのではないでしょうか。食事は、常に餌が補充されていて、少しずつ食べるタイプなので、1日の食事回数はかなり上がってます。昼間はどうもそんな食べていないという報告も受けているので、何度か食事回数をこぼしているかもしれませんが、十分でしょう。
▲1日を4つの時間帯に区切って、行動ごとに時間は加算される
逆に、歩きの時間がちょっと短いかなと思いました。走っているほうが長い傾向にあります。筆者宅は2世帯住宅で、昼間は2階と1階を行き来しているため、階段の上り下りは「走っている」と判断されているのでしょう。また、Homeは2階に置いてあるのですが、1階にいるときはBluetoothの電波が届いているのかはわかりません。
ただ、まったく行動が取得されていないわけではないので、電波はある程度届いているようです。昼間の集計結果を見てみると、すべての行動の合計時間は、そのほかの時間帯より短かったりするため、ギリギリなのかもしれません。もし2階建て、3階建てにお住まいで、全階行動範囲といった場合は、もう1台Homeを購入することで電波切れを防げるでしょう。
1日のサマリーから食事と運動、睡眠の3つが1週間「猫グラフ」として表示されますが、この1週間というは日曜から土曜日までのこと。計測している日から1週間前までではないので、土曜日の結果は日が変わってしまうと見られなくなってしまいます。
▲「猫グラフ」は1日の運動時間と睡眠時間、食事した時間が把握できる。1週間とは日曜から土曜までの固定なので、土曜日の行動トータル時間は、日が変わってしまうと確認できず。ちなみに金曜日が全体的に少ないのは、充電のため数時間外していたため
Catlogには有料プランが有り、無料で使える「プチみまもりプラン」は、猫日誌が前日のみ、猫グラフは当日を含む週のみ。月額380円の「みまもりプラン」にすると、付加機能として飼い主追加と行動ラベルの追加(今後予定)、月額580円の「猫バカプラン」なら、付加機能に加え、猫日誌と猫グラフが無制限になり、追加機能も予定されています。
つまり、猫グラフの記録の土曜日を余裕持って見るためには「猫バカプラン」に入るしかありません。今後、トイレとか嘔吐、ジャンプといった行動も追加される予定になっていますが、現状はなにもないので猫グラフのために月額580円払うのはちょっとためらっちゃいます。
もちろん、マネタイズの問題はあると思いますが、できれば猫グラフは計測している日から1週間前まで表示するタイプにするか、現在の形なら2週間分表示できるようにしてほしいと思いました。もしくは「みまもりプラン」の猫グラフ表示を1ヶ月とかにするとか、ぜひ検討してほしいですね。
また、さまざまな猫のデータを取得できるので、それを生かしてどんどん学習していき、精度のアップやほかの行動の追加などに大いに役立てるように早く行動データを結びつける仕組みを実装して保ほしいですね。より精度が上がれば、それだけ利用者に還元されるわけですから。
ねこを見守る仕組みは、ネットワークカメラなどほかにもありますが、行動分析ができるこのCatlogは大いに期待しています。1日どれぐらい睡眠をとっているのかとか、いままでわからなかったのに、9時間程度なのかと把握できるからです。
▲「撫でろや」と眼の前でゴロンとなり要求するしろ
実は昨年、親世帯で飼っていたねこが、眠ったまま天に召されました。気がつくのが遅れてしまい、最後を看取れなかったことが非常に心残りになっています。Catlogによってどこまで行動分析できるようになるのかわからないですが、普段と違う動きや行動が把握できるようになれば、事前に対処できるかもしれません。
ふだん、なかなかずっとしろと一緒にいることができないので、Catlogによって今何してるのかなと見守っている感が生まれるのは非常に嬉しいですね。ねこによって行動パターンも大きく違うみたいなので、コミュニティー(解説する予定のよう)でも盛り上がること間違いないでしょう。家族にねこがいる方は、ぜひ購入すべき商品です。
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