東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

表現の不自由展、閉幕 抗議で中断、再開1週間 愛知

「表現の不自由展・その後」の入場者を選ぶ最後の抽選の当選番号発表に集まった大勢の鑑賞希望者=14日午後、名古屋市で

写真

 企画展「表現の不自由展・その後」を開催していた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」は十四日、七十五日間の会期を終えて閉幕した。不自由展は元慰安婦を象徴する「平和の少女像」などの展示に抗議が相次ぎ、一時中止に追い込まれた。また文化庁は「県の申請手続きの不備」を理由に芸術祭への補助金不交付を決めるなど異例の経過をたどった。

 芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章愛知県知事は閉幕後、不自由展について「一週間ではあるが、円満な形で全面再開できたのは一つの成果だ」と記者団に強調。次回のあいちトリエンナーレは予定通り三年後の二〇二二年に開催したいとの考えを示した。

 今月八日の再開に当たり、入場者を抽選で選ぶガイド付きツアー方式を導入。十四日までに延べ一万三千二百九十八人が抽選に集まり、千百三十三人が鑑賞した。

 不自由展は十六作家の二十三作品で構成。少女像に加え、昭和天皇の肖像を燃やす場面を含む映像作品などに電話やメールによる抗議が殺到し、八月一日の開幕から三日で中止になった。抗議は同月一日から一カ月間に一万件超寄せられた。

 再開以降は入場を制限したほか、入場者に金属探知機による検査や身分証の提示を求めた。芸術祭会期中に会員制交流サイト(SNS)に投稿しないとの同意書に署名すれば、写真や動画の撮影を認めた。会場で目立ったトラブルはなかった。文化庁は九月二十六日、芸術祭への約七千八百万円の補助金不交付を発表。芸術祭実行委の会長代行を務める河村たかし名古屋市長は不自由展を支援しない方針で、市が負担する開催費用の一部約三千三百八十万円を期限の今月十八日に支払わない考えも明らかにしている。

 あいちトリエンナーレは一〇年から三年ごとに開催され、今回が四回目。事務局によると今回の来場者は約六十五万人を超え、過去最多となる見込み。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報