「クールジャパンは足を引っ張ってるだけ」
日々あらゆる作品が生まれ、サブスクリプションサービスによってこれまで触れられなかった作品にもアクセスしやすくなった。結…
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かつてインターネットカルチャーを支えた「ニコニコ動画」と、現在の動画文化隆盛のプラットフォームとして存在感を放つ「YouTube」。
それらは、どこで明暗を分けてしまったのか? 淡々と述べるひろゆきの見解の中に、彼の考える「メディアの意味」が凝縮されている。
ひろゆきさん(写真は本人提供)
現在のコンテンツとそれを取り巻く情報環境について、2ちゃんねる創設者であり、同時に「ニコニコ動画(現ニコニコ)」の生みの親でもある「ひろゆき」こと西村博之氏にぶつけた疑問の数々。
インターネット黎明期をつくりあげ、動画文化に大きく貢献してきたひろゆき氏は時に辛辣にも思えるほどあけすけに、自身の見解を述べていく。
──(Vol.1で仰っていた)日本の戦略として「個人がちゃんとものをつくる」ようにするとは、例えばどういうことなのでしょう?
ひろゆき 10年以上も前、新海誠さんが1人でアニメをつくっていた頃は、まだYouTubeもなかった時代だったけれど、やりたいから一人でやっていたわけですよね。
今はPCもツールも、スペックの高いものが安く手に入る。だから昔に比べて、ものづくりはとてもやりやすいと思うんですよ。
手軽な方法としては、制作物をYouTubeとかにアップしていけばいいんじゃないですかね。人気が出て世界中から見られれば、再生数に広告ついてお金になっちゃったりもするし。
──一人の突出した才能を中心にコンテンツをつくった方が、産業全体も活性化する?
ひろゆき そうですね。新海さんみたいな突出した才能に対して「これいいね」って思う人がいっぱい出てきて、プロデューサーがついてお金になるという方がいいって僕は思うんですよ。
新海誠/撮影は編集部
──では才能を育てるために、周囲ができることは何でしょうか?
ひろゆき クリエイターはすごく優秀で狂った人が多いので、お金というよりも、例えばすごく仲の良いスタッフと組めるかどうかとかでいいものができるか決まったりすると思うんですよ。その仲の良いスタッフが仮に優秀じゃなかったとしても、組織としてそれを認めるかどうか。
面白いものをつくれるということはやはり人とは違うという意味で狂っていて、その人を周囲がサポートできるかどうか、気持ちいいと思って働ける環境をちゃんと用意できるかどうかが、新しい才能を見つけたり伸ばしたりできるかにかかってくるのかな。
──新海監督の『君の名は。』はご覧になりましたか?
ひろゆき 見ました。大衆受けを狙って毒を抜いたところは良かったですよね。『天気の子』はまだです。
──毒を抜いたというのは?
ひろゆき 本人の心情はわからないですけれど、僕が思うに、大きな座組みでやるということは大成功を収めるということを目的としてやっていて、必ずしもクリエイターとして自分の出したいものやつくりたいものをやるわけじゃない。その結果が『君の名は。』だと思っていて、そういう意味ではきちんと世に受ける形で結果を残して、大成功なんじゃないかなと。
──世間的な需要と供給がかみ合ったという意味で「成功」と言われてると思いますが、ひろゆきさん的には新海監督の“毒”の部分を評価されているようにも聞こえました。
ひろゆき 個人としては、そうですね。
例えば(『君の名は。』について)ハッピーエンドにするべきじゃなかったという話をよく聞きましたが、売れる映画って全部ハッピーエンドじゃないですか。だからそれが正解なんですよ。
ハッピーエンドにした方が絶対売れるのにそうしない作品って、どこかに誰かのエゴがあるということ。それは、みんなが予想しているものと違う何かを伝えたいっていう人たちだと思うんですよ。僕としてはそういうものを見た方が勉強になるし得られるものが多いので、ハッピーエンドじゃない方が好みなんですよね。
──『君の名は。』の、フランスでの評判は聞きますか。
ひろゆき 全然。みんな「知らねえ」って感じですね。大手の配給ではなかったので、そんな見られてないように思います。日本のアニメで大々的に配給されているのって、(宮崎)駿さんくらいじゃないですか。
──日本を牽引するクリエイターとして、ひろゆきさんは著書などで宮崎駿と新海誠を並列に語られていますが、いわゆる「ポスト宮崎駿」は新海誠だとお考えなんでしょうか?
ひろゆき うーん……それは無理じゃないですか?
ニコ動が自滅した理由、YouTubeの可能性
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