〔PHOTO〕Gettyimages

文政権をめぐる韓国の「分裂」の現在地〜「200万人デモ」の実態

韓国の人々は怒り、心配し、困っている

「どっちのデモに行った? 瑞草洞? 光化門?」

少なくとも8月半ばまで、韓国の「広場」を占拠していたのは、いわゆる「反安倍デモ」なるものだった。集まっていたのは、ホワイト国からの除外など日本の貿易規制強化に抗議する人々だ。

「反日ではなくて反安倍政権なんです。日本や日本人が嫌いというわけではなく」

ところで、今やそんなものはどこかにふっとんでしまった。

 

広場の景色は一変した。「反安倍デモ」などとはケタ違いの大群衆が、広場を埋め尽くしている。

●9月28日(土)瑞草洞(主催者推算 200万人)
●10月3日(祝日)光化門(主催者発言 300万人)
●10月5日(土)瑞草洞 
●10月9日(祝日)光化門

「瑞草洞(ソチョドン)」「光化門(クァンファムン)」もいずれも地名だ。どちらの場所で行われたかで、その集会の性格がわかる。瑞草洞は漢江(ハンガン)の南側にあり、大検察庁、大法院(最高裁判所)、ソウル中央地検などが集まる「法曹タウン」、司法の中心である。

大法院(日本で言う最高裁)などが立地する司法の中心〔PHOTO〕Wikimediacommons

一方、光化門はソウル市の中心部、前方に景福宮(キョンボックン)、その奥には大統領官邸を望む位置にある。2016年末から2017年にかけて当時の朴槿恵大統領退陣を求める大規模なロウソク集会が開かれた、反政府集会のメッカである。

その2つの場所が、今、韓国で最も注目されている。

先に狼煙が上がったのは瑞草洞だった。そこで「検察改革を求める集会」が開かれたのは9月28日、参加人数は主催者側推測で約200万人とされた。

「200万人!?」

ネットやSNS(ツイッターやカカオトーク)で速報を伝え聞いた多くの人が、とんでもない数字に仰天した。ソウルの人口が約1000万人、その5分の1の人数だって? しかも現場には大人数が集まる広場はない。群衆に埋め尽くされたのは周辺一帯の道路だという。