10月15日に開幕した技術展示会「CEATEC 2019」より。京セラは次世代ディスプレイ技術「Micro LEDディスプレイ」の試作機を展示しています。
Micro LEDディスプレイ技術は、簡単に言うと超小型のカラーLEDをそのまま並べてディスプレイに使用するというもの。有機ELと同様に自発光型(画素そのものが光る)ですが、有機ELディスプレイ以上の高輝度が実現可能。さらには有機ELと異なり部材の劣化が遅く、長寿命という特徴があります。
国内では京セラ、ソニーやシャープなどが開発に取り組んでいるほか、海外ではサムスンディスプレイや台湾AUOなども技術を発表。また、あのAppleもMicro LEDの要素技術を特許出願するなど、次世代のディスプレイとして国際的な開発競争が進んでいます。
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京セラのMicro LEDディスプレイは他社と比べて高密度な実装が特徴。CEATECで展示されていた製品は1.8インチの小さなものですが、数十マイクロメートルのLEDを20万個近く敷き詰め、約200ppiの高精細を実現しているそうです。
前述のように輝度が高いという特徴があり、最大輝度はおよそ3000カンデラ毎平方メートルで、有機ELの6倍程度とのこと。駆動速度も240Hzと、ゲーム向けのハイエンド液晶ディスプレイに匹敵するなめらかな表示が可能です。
スマートウォッチなど屋外で使うウェアラブルデバイスにも適していそうですが、小型デバイスでは高精細なディスプレイはすでに多数存在するため、京セラでは小型デバイス製品よりも、中小型のサイネージ用途を本命として製品化を検討を進めています。
このディスプレイの面白い特徴として、"完全なベゼルレス"を実現できることがあります。液晶や有機ELでは「シール部材」による封入が必要となるため、どうしてもベゼル(表示領域ではない部分)が生じますが、Micro LEDでは4辺無額縁も可能としています。
京セラでは10インチ程度までのMicro LEDディスプレイ技術を制作しているとのことですが、このサイズでも多数つなげることで、高輝度な巨大なサイネージも実現できるとしています。また、たとえば狭い家の玄関でも搬入できるユニット式テレビのようなデバイスも実現する可能性があるとのことです。
現時点では製品化の時期の目処は示されていませんが、京セラでは前述のサイネージ用途のほか、劣化しない高信頼性を強みとして車載向けなどでの製品化の可能性を追求していきたいとしています。