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郷ひろみ、そして「新御三家」のアイドル史的意味

太田省一 社会学者

アイドル歌手がまだ異端だった1970年代

 こうしてそれぞれの個性の違いがもたらす相乗効果もあり、1970年代の「新御三家」の登場によって男性アイドルの世界は一気に活性化し、アイドル時代が本格化した。「新御三家」が現在の男性アイドルの基盤を作ったと言っても過言ではないだろう。

 とはいえ歌謡界全般で見れば、アイドル歌手はまだ異端の存在だった。それはまだ一人前になりきっていない歌手というように否定的なニュアンスで見られがちであり、したがってアイドル歌手が一人前と認められるには「大人の歌手」になる必要があった。「新御三家」の歌唱力が決して「大人の歌手」に劣るものではなかったとしても、そこには「アイドルにしては」という決まり文句がつきまとった。

 そうしたなか「新御三家」もご多分に漏れず、キャリアを積むにつれて「大人の曲」をリリースし、「大人の歌手」への脱皮を図っていった。それは当時の“常識”ではあったが、アイドルというありかたからは実質的に離れていくことを意味した。

式場の入り口には飾られた「新御三家」の写真。真ん中が西城秀樹さん。向かって右が野口五郎さん、左が郷ひろみさん=東京都港区の青山葬儀所拡大2018年に亡くなった西城秀樹さんの告別式場で=2018年5月25日、東京都港区の青山葬儀所

 ただ一方で、男性アイドルが“永遠のアイドル”であろうとする世界もあった。それは、1960年代から1970年代にかけて人気を誇った学園ドラマの世界である。若手俳優の登竜門として、そこからアイドル的存在も次々に誕生した。次回は、そちらに目を向けてみることにしたい。 (つづく)

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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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