中島大介

「はい上がる」ことが自分らしさ――香川真司30歳、スペイン2部からの逆襲

10/15(火) 8:13 配信

「2部から“はい上がる”ということが、自分らしい」――。香川真司(30)はそう話す。ロシア・ワールドカップ(W杯)後はドイツ・ドルトムントでの出場機会は少なく、苦渋の時期を過ごした。そして2019年夏、夢だったスペイン移籍を果たす。だが舞台は2部。ビッグクラブを渡り歩いた男の決断の理由と覚悟を聞いた。(了戒美子/Yahoo!ニュース 特集編集部)

新天地スペインでの日々

8月下旬のスペイン・サラゴサ。マドリードとバルセロナのちょうど中間に位置する、スペイン第5の都市だ。スペインの高速鉄道・AVEが停車するサラゴサ・デリシアス駅から15分程度車を走らせると、レアル・サラゴサのクラブハウスにたどり着く。

「駅からも遠いし、旧市街からも遠いしこの周り何もないんですよね。ただただ土地が広がってるって感じで」

香川真司がクラブハウスのアクセスの悪さを嘆きつつ、出迎えてくれた。

(撮影:中島大介)

撮影の合間の雑談で、元日本代表・小林大悟の話になった。小林が13年から米国1部リーグのMLSでプレーし、ここ2シーズンは米国下部リーグに相当するUSLに所属する。日本人選手がプレーした前例の少ない米国での道を切り開きながら36歳となった今も現役を続けている選手だ。

「好きなんだろうね、そういう生き方が。いいよね、楽しそう」

「楽しそう」と香川は何度も繰り返した。欧州のビッグクラブを渡り歩き、まだまだ日本代表として次のW杯を目指す香川。その一方で、選んだ環境で勝負を純粋に楽しむことへの憧れも同時に抱いているようだった。サラゴサ入りという選択も、そんな思いの延長線上にあるものなのだろう。

夢を叶えるため現実を受け入れる

8月9日、香川はスペイン2部のレアル・サラゴサ入りを発表した。

サラゴサの地元紙は香川について「(元アルゼンチン代表の)パブロ・アイマール以来のビッグネーム」と報じた。ちょっとしたお祭り騒ぎだ。

13日、ホームスタジアムであるエスタディオ・デ・ラ・ロマレーダで行われたお披露目のイベントには約7000人のサポーターが詰めかけた。青空の下、香川はピッチからスタンドにサインボールを蹴り込むパフォーマンスをした。うれしそうに話す。

「スペインで新入団選手がよくやってるやつ。テレビで見てたそのシーンをいま僕はやってるんだなって」

お披露目会には多くのサラゴサのサポーターが詰めかけた(写真:ZUMA Press/アフロ)

昨年のロシアW杯では日本代表の10番を背負い、ドイツのドルトムント、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドとビッグクラブを渡り歩いた。その香川にとって、スペイン2部への移籍はもちろん簡単な決断ではなかった。お披露目に先駆けて行われた入団会見では、クラブ関係者や地元紙記者たちもいる中で率直に胸のうちを語った。

「正直ほんとにたくさん、悩みました」

即断できたわけではなかった。それでもスペインリーグでプレーする“夢”を叶えるために、「2部」という“現実”を受け入れた。

「自分自身スペインでプレーしたいという昔からの夢がありました。この決断にあたっては、サラゴサの監督、チームスタッフ含めてみなさんの熱意、信頼を一番感じ取ることができました。それは僕自身にとっても重要なことなので、それが決め手ですね」

会見では何度も「目標はチームを1部に復帰させること」と強調した。

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