千曲川の堤防が決壊し、冠水したショッピングモール(13日、長野市)
12日夜から13日未明にかけて東日本を縦断した台風19号の記録的大雨は連休明けの企業活動にも制約を与えている。営業拠点の浸水や停電などの影響から宅配便や携帯電話サービス、小売店の営業は15日も一部地域で停止が続く。トヨタ自動車などは通常通り生産する一方で操業を再開できない自動車部品工場もある。河川の氾濫や土砂崩れなどによる被害は15日午前までに11県で死者64人、行方不明者15人となった。
ヤマト運輸は15日午前9時時点で宮城、千葉、長野県の一部地域あての荷物の受け付けを停止している。長野県では北部の集配拠点である長野主管支店(長野市)が浸水し、県内30市町村あての荷物の受け付けを中止。宮城や栃木県などでも一部の営業所が冠水し、営業を中止するなど被害が広がっている。
ガソリンスタンドは、全国石油商業組合連合会(東京・千代田)によると15日午前9時時点で45カ所が営業できていない。阿武隈川の氾濫で福島県内で19カ所が営業を停止中だ。長野や新潟、茨城県でもそれぞれ数カ所が営業できていない。全石連は「浸水して製品の配送などができず、水が引くのを待つしかない状況」と説明している。
携帯電話では停電などにより、NTTドコモとソフトバンクが15日朝時点で9県で利用できないか、利用しにくくなっている。KDDIでも広い地域で障害が起きている。
コンビニエンスストアは営業を順次再開しているが、再開の見通しが立たない店舗がある。
セブン―イレブン・ジャパンは14日午後4時時点で、浸水や断水、停電などにより関東、甲信越、東北などの少なくとも約30店で営業再開の見通しが立っていない。12日に約1000店が休業する計画だったが、店舗ごとの判断で実際に休業した店舗は約4000店に及んでいた。
ラーメン店運営の幸楽苑ホールディングスは、福島県郡山市の工場が被災し13日から操業を取りやめている。東北や北関東などの150店では、食材の配送ができないため営業を中止している。
製造業ではトヨタ自動車やホンダなど完成車メーカーは、稼働を止めていた三重県や埼玉県などの工場を14日から再開した。ただ、部品メーカーの中には稼働できないところもある。
アルプスアルパインは福島県いわき市の子会社工場で、車載用スピーカーなどを作る生産設備が水につかり停止中だ。断水や停電などインフラの復旧状況次第では「操業停止が10日以上に長引く可能性もある」という。