超高層ビル中心の二子玉川ライズ2期事業に対しては、ビル風などの住環境破壊の再開発と批判されている。2期事業が始まる前に住民団体「二子玉川東地区住民まちづくり協議会」は住民の要望を取り入れた住民提案を発表した。この住民提案は国分寺崖線の景観を妨げない程度の高さ制限を定め、低層建築と緑地を中心とし、二子玉川の近隣住環境に調和した内容であった(林田力『二子玉川ライズ反対運動1』「二子玉川東地区住民まちづくり協議会が住民提案披露」)。

この住民提案に対する東急電鉄・東急不動産や二子玉川東第二地区市街地再開発準備組合の反応は完全無視であった。ここまで住民を無視するかという醜悪で最悪な対応であった。これに対して住民側は約千筆の署名を集め、「二子玉川東地区第一種市街地再開発事業第2期事業基本計画等について、住民、行政、事業者で協議する場を設ける事に関する陳情」を世田谷区議会議長に提出した。

ところが、再開発準備組合は2009年11月18日に事業計画の認可申請を世田谷区に提出し、区は11月24日に東京都に進達してしまった。準備組合から住民側への事前説明はなかった。住民側は世田谷区への陳情を取り下げ、新たに「二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業に関する陳情」(2009年12月15日付)を東京都議会議長に提出した。
http://www.hayariki.net/eco/1.htm
ここでは事業認可申請の審査にあたり、住民の意見を十分に聞くように事業者を指導すること及び住民と事業者が話し合う場を調整するように世田谷区へ働きかけることを求めた。陳情は二子玉川東地区住民まちづくり協議会会長・にこたまの環境を守る会事務局長・二子玉川の環境と安全を取り戻す会代表の連名で作成され、1138筆の署名を集めた。陳情は民主党や日本共産党に好意的に受け止められたが、自民党と公明党の主張で継続審査となってしまった。
http://blogs.yahoo.co.jp/shouhishahogo/
結局、東急が住民提案に耳を傾けることなく、二子玉川東第二地区市街地再開発組合が設立認可されてしまった。これに対して住民側は100人以上の原告で組合設立認可取り消しを求める行政訴訟を提起した。二子玉川ライズ行政訴訟は、このような経緯の中で法による公正な審査を求めるものである。

東京地裁だまし討ち判決では却下されたが、住環境を守り、住民無視の再開発を是正する東京高等裁判所の判断に期待をつなぎたい。「二子玉川ライズ行政訴訟控訴審で一審の判決が追認されるようならば、住民にとって大変厳しい状況を迎えることになる。断固として打ち勝たねばならない」との声も出ている。