【スポーツ】[駅伝]駅伝でもジャイキリ! 国学院大、出雲で逆転初王者2019年10月15日 紙面から
◇出雲駅伝令和初の学生駅伝で新王者が誕生した。国学院大は最長区間の最終6区を任された土方英和(4年・埼玉栄)が逆転トップに立ち、2時間9分58秒で初優勝。過去の最高成績は出雲駅伝10位、箱根駅伝7位だった伏兵が「大学三大駅伝」の初戦を制す“番狂わせ”を演じた。2位には8秒差で駒大が入り、3位は東洋大。今年の箱根駅伝を制した東海大は4位で連覇を狙った青学大は5位だった。 新たな学生駅伝王者はあまりにも劇的な形で誕生した。トップと37秒差の4位でタスキを受けた国学院大のアンカー土方がグングン追い上げる。10・2キロの最長区間も残り700メートル。先頭の駒大に追いつくと、そのまま一気に突き放した。 「脚は残っていなくていっぱいいっぱいだったが、勝ちたい気持ちが出た」。目の前に見えてきた優勝が、限界だった脚を突き動かした。右手人さし指を掲げて初優勝のフィニッシュに飛び込むと、すぐさまチームメートの手で3度宙に舞う。「きつかったけど吹っ飛んだ。とにかくうれしい」と全身で喜びを味わった。 チームを率いて11年目になる前田康弘監督(41)も「まさか勝てるとは思わなかった。土方の素晴らしい走りにただただ感動。気迫の勝利」と興奮冷めやらぬ表情。現役時代は駒大の主将として箱根駅伝初優勝を果たしただけに、母校を破ってのタイトルに喜びもひとしおだった。 今季のチームスローガンは「歴史を変える挑戦」。1月の箱根駅伝で過去最高の7位と上昇気流に乗り、トラックシーズンも席巻。箱根駅伝5区区間記録保持者の浦野雄平(4年・富山商)が5月の関東インカレ2部の5000メートル、1万メートルで日本人トップとなり7月には両種目で学内記録を更新。9月の日本インカレでは主将の土方が1万メートルで日本人トップの3位表彰台。合宿所の食堂の入り口には毎月各選手の目標を張り出しているが、自己記録を更新した選手はシールを貼って一目で分かるようにするなど相乗効果で底上げも進む。勢いそのまま、スローガンの通りに学生駅伝界の歴史に名を刻んだ。 出雲駅伝優勝の肩書を引っさげ、3週間後には全日本大学駅伝、そして最大目標の箱根駅伝に挑む。「全日本では出雲に勝った者に恥じない走りをしたい。3位以内を目標に、チャンスがあれば狙いたい」と指揮官が言えば、土方も「全日本はあと2人、箱根は4人必要だが力のあるランナーはいる。しっかり戦い、優勝も見ながら3位以内を目指したい」と意気込んだ。新時代の王者がさらに歴史を変える戦いに挑む。 (川村庸介) ◆国学院大の歩み陸上競技部のホームページによると、1928(昭和3)年の関東学生対校選手権(関東インカレ)に出場と戦前からの歴史を持つが、箱根駅伝は2001年、全日本大学駅伝は03年が初出場。11年の箱根駅伝ではアンカーの寺田夏生(現JR東日本)がゴール直前でコースを間違えながらも10位で初のシード権を獲得。出雲駅伝は11年初出場で11位、翌12年も12位で今回が3度目の出場。今年9月のマラソン東京五輪代表選考会「MGC」にはOBの荻野皓平(富士通)が出場した。
PR情報
|