12日夜から13日未明にかけて東日本を縦断した台風19号の記録的大雨の影響で、14日午後2時までに、新たに岩手、宮城、福島、神奈川、静岡の5県で計9人の死者が判明し、死者は11県で44人、行方不明者14人になった。経済産業省によると14日正午現在、関東や中部、東北地方の約9万戸で停電している。
全車両の約3分の1となる10編成(120車両)が水に漬かった北陸新幹線は本数を減らして東京―長野間で折り返し運転をしている。
記録的な大雨で長野市の千曲川など20河川29カ所で堤防が決壊し、周辺が大規模浸水した。堤防決壊は栃木県佐野市の秋山川や茨城県常陸大宮市の那珂川などでも発生。河川の氾濫も相次ぎ、国土交通省によると、東日本の延べ142河川で氾濫。東京都世田谷区では多摩川で水があふれ、住宅街が浸水した。
自衛隊などは行方不明者の捜索や河川の氾濫によって床上浸水などして孤立している住民らの救助を急いでいる。
気象庁によると、各地で記録的な雨が降り、神奈川県箱根町では12日の降水量が922.5ミリに達して国内最高記録を更新した。従来は高知県馬路村で2011年7月19日に観測された851.5ミリが1位だった。
大雨特別警報は一度の災害で最多の13都県(東京都、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡各県)に上った。
経産省によると、14日正午現在、東京電力管内で約5万5千戸、中部電力管内で約2万9千戸、東北電力管内で約6千戸。復旧の一方、新たに停電する地区もあり、停電戸数は増減している。ピーク時の約52万戸から減少したものの、多くの家庭でライフラインが復旧していない。
東京電力は16日までには停電の9割を復旧する見通しだ。しかし、千葉県の一部地域は倒木などの影響で20日まで延びる可能性があるほか、各都県で一部土砂崩れや道路の冠水により被害確認ができず、復旧作業の見通しが立っていない地域もある。
断水が続く家庭も多い。厚生労働省によると、14日午前6時時点で13都県で約13万6千戸以上。河川の増水により浄水場とポンプ場が水没した福島県いわき市では約4万5千戸が断水している。水源が水没した同県南相馬市などは被害実態がまだ明らかになっていない。
JR東日本によると、北陸新幹線は14日も長野―糸魚川間で運転再開の見込みが立たず、東京―長野間で折り返し運転を実施。山形新幹線(福島―新庄間)は14日の始発から運休していたが、午前11時から運転を再開した。
関東地域の在来線は14日、大半の路線が始発から平常運転となった。中央本線、吾妻線、両毛線などの一部区間は復旧見通しが立っていない。東北地域は仙山線など多くの路線で運転見合わせが続いている。
空路は14日におおむね復旧の見込みだ。日本航空は早朝の成田国際空港到着便を除き、通常運航。全日本空輸も一部便の遅延にとどまる予定。