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「コンビニの棚は空」「動物を置いて避難できない」台風19号で露呈した東京のもろさ

多田敏男週刊朝日
水没した北陸新幹線の車両=13日、長野市 (c)朝日新聞社

水没した北陸新幹線の車両=13日、長野市 (c)朝日新聞社

計画運休で人通りが途絶えたJR秋葉原駅前=12日午後、撮影・多田敏男

計画運休で人通りが途絶えたJR秋葉原駅前=12日午後、撮影・多田敏男

台東区の自主避難所となった小学校の看板。「ホームレス」とみられる人の受け入れが拒否された=13日、撮影・多田敏男

台東区の自主避難所となった小学校の看板。「ホームレス」とみられる人の受け入れが拒否された=13日、撮影・多田敏男

外国人観光客の緊急滞在所となった浅草文化観光センター。深夜も職員が待機していた=13日未明、撮影・多田敏男

外国人観光客の緊急滞在所となった浅草文化観光センター。深夜も職員が待機していた=13日未明、撮影・多田敏男

 東京都心ではマンションが立ち並び、住民が近年増加している。マンションは手狭で、冷蔵庫も小さい世帯が多い。普段はスーパーやコンビニで夜遅くまで食品を買え、24時間の外食チェーンもある。便利な生活に慣れていると、災害時の備えが不十分になりがちなのだ。

 もう一つのもろさは避難の対応。都心の住民には、地域との関わりが薄く、訓練に参加しない人もたくさんいる。今回の台風では東京23区でも避難指示や避難勧告が多数出されたが、ネット上では「そもそも避難場所がわからない」という声があった。

 暴風雨の中、歩いて避難所に向かう方がリスクが高い場合もある。危険な場合は自宅でとどまるよう行政は呼びかけたが、判断は住民任せ。携帯・スマホの緊急速報メール(エリアメール)で避難情報を知らされても、どうしていいかわからず不安だけ高まるとの声もあった。

 行政の経験不足もあって、トラブルが起きる場面も見られた。
 例えば避難所でのペットの受け入れ。家族同然の犬や猫も連れて行きたいという人は多い。対応はバラバラで、同じ区内でも受け入れた避難所と、だめなところがあった。あきらめて自宅に戻った人もいたという。災害を経験している自治体では、こうしたケースに職員が臨機応変に対応しやすい。

 ペットの問題は東京に限らず全国的な課題でもある。モデルのダレノガレ明美さんは13日、避難所で動物は置いてくるよう言われたとして、次のようにツイッターに書き込んだ。

「悲しいよね… 動物置いていくなんて選択肢ないな… アレルギー問題やいろんな問題があるから文句言えないけど、私や家族は避難しないで家にいるのを選んじゃった」

 行政は受け入れ可能なところを用意し、飼い主に早めの避難を呼びかけるなどの対応が求められる。


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