畑川剛毅
「もう恋なんてしない」などのヒット曲があり、SMAPへ「世界に一つだけの花」を提供したことでも知られるシンガー・ソングライター槇原敬之さんが「この人がいるから、音楽制作に集中できている」と明かす人物がいる。
「案件ごとに、その仕事への思いや人間関係まで含めて、さまざまな権利をどう扱うかや楽曲の提供料はどれくらいが適当なのかなどの意見を示してもらえる。“アーティスト槇原”をこれほど客観的に見定めてくれる人はほかにいない」
いったい何者なのか。
答えは、安藤和宏さん(56)。かつて大手音楽出版社・日音の契約担当者だった。現在は東洋大学法学部教授として知的財産権を教える傍ら、著作権管理会社「セプティマ・レイ」社長として、アーティストに契約の仕方や印税などの相場を指南するコンサルタントも務める。業界の慣習を次々に破り、日本の音楽契約を、槇原さんをはじめアーティストに有利な方向へ変え続けてきた。
たとえばアーティストの収入となるCDの印税は、
(小売価格―容器代)×印税率×枚数
で計算される。一見単純な計算式の中に、いくつものからくりが隠されている。
その代表が枚数。レコード会社は返品率を20%とみなし「印税対象は出荷数量の80%」と契約書に盛り込む慣習がある。だがレコード販売店と結ぶ契約では「返品の上限は10%」と定められている。そして実態は5%程度だ。レコード会社は少なくとも10%、余計にもうかる仕組みになっている。
容器代も曲者だ。ケースやジャ…
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