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2019-10-13

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・窓の外にもう風の音はありません。
 ガラスに叩きつけられる雨粒もない。
 ぼくのいる場所からは、台風は去ったようです。 
 台風は北に向かっていて、
 いまの時間は、ぼくの知っているあのあたりに、
 いまは襲いかかっているらしい。

 そして、この原稿が読まれるころには、
 みんな、おそらく眩しいほどの青空の下にいます。
 ぼくのいる場所でも、厳しい被害にあった地域でも、
 なにごともなかったように空は晴れるのでしょう。
 いつも台風のあとには、自然っていうものの、
 その悪びれない変わり身の速さにあきれてしまいます。

 しかし、地上になにごともなかったはずはありません。
 詳しいことはまだわからないのでしょうけれど、
 被害にあった方に、まずはお見舞いもうしあげます。

 今年は、いまだかつてない規模という台風15号を
 すでに経験したせいなのか、
 かなり今回の19号への覚悟ができていた気がします。
 なによりも、12日は交通網を止めますという決断が、
 早めに伝えられていたためか、
 さまざまな店舗や施設が本気で営業を止められた。
 それがあったせいで、動きようのない個人も、
 自動的に安全なところに待機することになって、
 軽々しい事故もずいぶん防げたのではないでしょうか。
 いや、別にぼくは、評論家でもないので、
 知ったようなことは言えないのですが、
 とにかく「交通」から運休を決めてしまうという方法が、
 安全体制をつくるにはいちばん効果的なんだなぁと、
 つくづく思ったのでした。
 仕事でも催し物でも、「動けない」という理由で、
 迷いなく中止を判断できるわけですからね。
 そして、さらにメディアでも「空前の猛威に備えよ」と、
 一日中報道をくりかえしていたのも効果的でした。
 横道にそれたような発想ですが、政変を企てる集団が、
 「交通」と「報道」をまず掌握しようとする理由も、
 よくわかったような気がしました。
 ともかく、みんなが無事でありますように。 

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
公的に「命を守る行動を」と言われたのは、初めてだった。


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