台風19号、千曲川など各地で氾濫 死者8人・不明12人
停電一時43万戸、大雨特別警報すべて解除

社会・くらし
2019/10/12 19:02 (2019/10/13 11:17更新)

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台風19号は12日夜に静岡県の伊豆半島に上陸し、関東から東北を縦断して太平洋に抜けた。記録的な大雨によって長野市の千曲川で堤防が決壊し、周辺の住宅地などが大規模に浸水した。各地で河川の氾濫や土砂崩れなどが相次ぎ、13日午前の段階で8人が死亡、12人が行方不明となっている。自衛隊などが浸水地域に取り残された住民らの救助を進めている。

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台風の接近、通過に伴い各地で記録的な大雨が降り、気象庁は12日午後以降、東海や関東、東北の計13都県に5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5に当たる「大雨特別警報」を発令した。順次解除されていき、最後まで出ていた岩手県も13日午前8時40分ごろに解除された。

台風19号による大雨で増水し濁流となった多摩川。東京都世田谷区では氾濫した(13日午前7時48分)=共同

台風19号による大雨で増水し濁流となった多摩川。東京都世田谷区では氾濫した(13日午前7時48分)=共同

各地で河川の水位が上昇し、東京都世田谷区では多摩川が氾濫した。長野市では千曲川の堤防が約70メートルにわたって決壊した。福島県須賀川市の阿武隈川、茨城県常陸大宮市の久慈川のほか、宮城、新潟、栃木、埼玉、静岡などの各県でも河川が氾濫した。

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各地のダムの貯水量が増えたため、相模原市の城山ダムや長野県伊那市の美和ダムなどでは水があふれないよう緊急放流が行われた。

菅義偉官房長官は13日午前に記者会見し、同日午前7時現在、台風19号による停電が全国で約37万6千戸、断水が約1万4千戸に上ると明らかにした。8都県から自衛隊の災害派遣要請があり、人命救助などにあたっている。

東京電力管内では13日午前0時に最大約43万戸、中部電力管内では同1時に最大約6万5千戸が停電した。暴風雨や飛来物で設備が故障したのが原因とみられる。

栃木県足利市で13日未明、水没した乗用車内にいた3人が病院に運ばれ、うち女性1人の死亡が確認された。川崎市高津区では浸水したマンションで見つかった60代男性が死亡した。福島県南相馬市では台風に対応した同市の男性職員(25)が13日未明に退庁した後で行方不明となり、同日早朝に遺体で発見された。

台風19号で浸水被害があったマンション。1階部分で住民が死亡した(13日午前6時51分、川崎市)=共同

台風19号で浸水被害があったマンション。1階部分で住民が死亡した(13日午前6時51分、川崎市)=共同

相模原市緑区では13日未明、土砂崩れで倒壊した住宅の敷地内で70代女性が見つかり、死亡が確認された。群馬県富岡市では土砂崩れで3人が一時行方不明となり、うち男性1人の死亡が確認された。

千葉県市原市では12日午前8時すぎ、竜巻とみられる突風が発生し、車が横転して50代の男性が死亡した。群馬県富岡市では同日午後、土砂崩れで3人が行方不明となり、うち男性1人の死亡が確認された。13日未明には川崎市高津区のマンションの1階が浸水し、一室で見つかった60代男性が死亡した。

長野県東御市では12日夜、千曲川に架かる橋付近の道路が陥没して車3台が転落し、1台の行方が分からなくなった。強風による転倒、屋根からの転落などによる負傷者も各地で相次いだ。

JR東海は13日の始発から東海道新幹線の運行を再開した。JR東日本は13日も山手線や中央線などの在来線を始発から運休したが、安全確認が済んだ山手線は午前10時前から運転を再開した。京成電鉄や東急などは安全確認を終えた路線で運行を再開した。

鉄道各社は12日朝から順次、新幹線や首都圏の在来線で計画運休を実施した。

成田空港と羽田空港は12日午後までにすべての旅客便の着陸受け入れを取りやめた。全日空は12日、羽田、成田、静岡各空港を発着する国内線全便を欠航。日本航空と合わせた欠航便は国内線を中心に1300便以上、影響人員は約21万人に上った。

都内などでは12日、スーパーやコンビニの休業が相次ぎ、東京ディズニーランドなどテーマパークも休園した。

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政府は13日午前、台風19号に関する関係閣僚会議を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は非常災害対策本部を設置すると表明した。首相は会合で「被害の全容把握を進め、人命第一で災害応急対策に取り組み、迅速で分かりやすい情報発信を継続してほしい」と閣僚らに指示した。

警察や消防、海上保安庁に加え、自衛隊2万7千人体制で救命救助や安否不明者の捜索にあたっていると説明。「必要に応じ体制を機動的に強化していく」とも語った。

多くの便が欠航し、閑散とした羽田空港の出発ロビー(12日)

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