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長野ライチョウが5年で3.5倍の80羽に 南ア北岳のケージ保護
環境省信越自然環境事務所(長野市)は、国の特別天然記念物で絶滅危惧種に指定されるニホンライチョウを保護するため、南アルプス北岳(山梨県)で取り組んできたケージ(鳥かご)保護の成果を発表した。周辺の生息数は推計で八十羽と保護を始めた五年前の約三・五倍になり、一定の成果を見せている。 ライチョウは一般に、ふ化から一カ月ほどは体温調整機能が未熟な上、天敵となるテンやキツネといった捕食者に襲われるため、死ぬ割合が高い。繁殖させるには、この一カ月の保護が必要とされる。 保護にあたっては、生息地の中でも絶滅にひんした南アの標高二、九〇〇メートル付近に、専用ケージを設置。日中は職員が見守る中で放し飼いにし、夜間は母鳥と過ごさせて約一カ月後に放鳥した。 二〇一五年度はまず二家族を保護して十羽のひなを放鳥したが生存が確認できず、一六年度も十五羽のうち二羽しか生存できなかった。そこで一七年度からはケージ付近の山小屋の協力を得てテンやキツネの捕獲を始め、放鳥した十六羽のうち十五羽を生存させることができた。 一九年度までの五年間では、保護した計七十二羽のうち三十八羽の生存を確認。人なつこいライチョウだからこそ可能な保護策と捕食者の捕獲の相乗効果が表れたという。 一方、一七年度に放鳥した雌一羽が今年、南ア南部の赤石岳で見つかり、繁殖につながったことも確認された。環境省は来年度、北アルプス乗鞍岳から中央アルプス木曽駒ケ岳に三家族を移し、ケージでの保護を検討している。事務所希少生物係の福田真係長は「南アでの成果を生かしたい」としている。 (渡辺陽太郎) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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