まあ面白かったよ。それ以外に語ることはない。
たださ、精神病患者のあの苦しみをさ、他人から見捨てられて蹴られるあの痛みをさ、今さら表現すんの?って思っちまった。
アーサーのメモにあった「病人にとって最も悪いのは人々の目だ。彼らは『病気なんてない』」と言う」にしても、クライマックスの「お前らは『ただ良い子にしていなさい』しか言わない」って台詞にしても(どっちもうろ覚え)、「えっ、まじ?」って面食らっちゃった。
だってそんなの、俺が中学を登校拒否していた十年近く前、毎晩当たり前のように考えてきたし、うつ病の女と付き合っていたときにも、何度も戦ってきた声なんだぜ。
「どうして健常者どもは俺らを平気で傷つけるんだろう。どうして『うつは甘え』だなんて平然と言えるんだろう。無神経なあいつらを殺したい」って、何度唱えてきたことか。
まあ、今はもう乗り越えられたんだけどね。その当時の彼女も死んじゃったし。
とにかく、その程度の観念をさ、今さら天下のハリウッドが「警句でござい!」とドヤ顔で強調するんだぜ?そんな映画が歴代最高オープニング興収を記録して、評論家や通人ブロガーどもを唸らせちゃうんだぜ?
まるで好きなミュージシャンがメジャーデビューしちゃったときの心境だね。
「あー、あの苦しみ、あの痛み見つかっちゃたか。かーっ!つれーわ」って感じ。
なあ、みんな。あの映画さ、『バットマン』のヴィランだから観に行ってんだよな?ホアキンの演技が良かっただけだよな?もしくは脚本や撮り方が優れてただけだよな?
あの苦しみ、あの痛みはセンセーショナルでもなんでもなかったよな?
頼むからそう言ってくれ
台風来てるのに不謹慎だぞ!