「○○ペイ」といったスマホ決済事業者が、「20%」などの高還元のキャンペーン競争を繰り広げてきた2019年ですが、ここ数か月の間で、状況に少し変化が出てきました。これらのスマホ決済事業者の還元キャンペーンが幾分小ぶりなものとなるいっぽう、新たに「20%還元」のキャンペーンに乗り出すクレジットカード会社や銀行が出てきています。
この背景にありそうなのが、10月1日からスタートした国による「キャッシュレス決済でのポイント還元」。この施策によって、これまでにないほど注目が集まっているキャッシュレス決済で主導権を握りたい、という各社の思わくが透けて見えます。
クレジットカード会社や銀行も1万円以上の還元を受けられるキャンペーンに乗り出してきた
もちろん、クレジットカード会社はこれまでにもさまざまなキャンペーンを実施してきました。それらの中には高額の還元を受けられるキャンペーンもありましたが、クリアするためのハードルが高かったり、特典を受けられる人を抽選で決めたりすることが一般的でした。
今回紹介する3つのキャンペーンがこれまでと違うのは、以下の条件をすべて満たしており、多くの人が還元を受けやすいものになっている点です。
(1)利用額の20%、最大1万円以上のキャッシュバック(還元)が受けられる
(2)抽選ではなく、条件をクリアすれば、原則誰でも特典を受けられる
(3)キャンペーン期間が長期にわたり、今から(2019年10月12日)の申し込みでも参加可能
「大盤振る舞い」とも言えるキャンペーンなので、参加できるものがないか、ぜひ検討してみてください。
(本記事内の価格表記は基本的に税別です)
まずは、1980年に日本で初めてVisaブランドのクレジットカードを発行した三井住友カードからです。
三井住友カードは新規入会者を対象に、利用金額の20%をキャッシュバックするキャンペーンを実施中です。還元の上限額は12,000円、対象期間中60,000円分までの利用が対象になります。
特典を受けるには、以下の3つの条件をクリアすればOK。
(1)キャンペーン期間中(2019年9月2日~12月27日)に新規で申し込み、入会
(2)入会月の2か月後の月末までに、同社の会員向けアプリ「Vpassアプリ」にログイン(10月15日に入会した場合は12月31日まで)
※対象は会員向けアプリで、パソコン上の「Vpass」ログインとは異なる点は注意
(3)入会月の2か月後の月末までに、新規発行のカードをショッピング利用
このキャンペーンのメリットは、対象となる決済が幅広い点にあります。三井住友カードは「Visa」か「Mastercard」の国際ブランドを選べますが、両者の加盟店は多数あります。リアル店舗はもちろん、ネットショッピングでの利用でも還元の対象になります。
対象カードを複数発行した場合(「Visa」と「Mastercard」など2種類の国際ブランドで発行するケースなど)、それぞれのカードでキャンペーンへの参加は可能です。ただし、家族カードは単独では参加できません。たとえば、家族カードを発行した場合、本会員のカードと家族カードでそれぞれ12,000円の上限額が設定されるのではなく、両カード合計で上限12,000円となります。キャッシュバックは、利用月の2か月後の月末までに、カード利用代金から相殺される形で行われます(該当月にカード利用がなければ、該当金額が登録口座に振り込まれます)。
三井住友カードのキャンペーンはアプリにログイン後、カードをショッピング利用すれば還元対象になる
対象カードは、法人カードや提携カードなどを除いた以下のとおりです。
三井住友VISAデビュープラスカード
三井住友VISAクラシックカード/クラシックカードA
三井住友VISAクラシックカード(学生)/クラシックカードA(学生)
三井住友VISAアミティエカード
三井住友VISAアミティエカード(学生)
エブリプラス
三井住友VISAエグゼクティブカード
三井住友VISAプライムゴールドカード
三井住友VISAゴールドカード
三井住友VISA SMBC CARD クラシック
三井住友VISA SMBC CARD プライムゴールド
三井住友VISA SMBC CARD ゴールド
三井住友VISAプラチナカード
上記のカードの中で、最もスタンダードな1枚が「三井住友VISAクラシックカード」です。年会費は1,250円で、基本のポイント還元率は0.5%。手頃な年会費でありながら、最高2000万円の海外旅行保険が付帯されています(保険適用には、旅行代金などをカードで支払うことが条件)。
また、25歳以下限定の「三井住友VISAデビュープラスカード」(年会費1,250円)は基本のポイント還元率が2倍の1%に、さらに入会後3か月間は5倍になります。空港ラウンジの利用など、充実したサービスを求めるなら、年会費10,000円の「三井住友VISAゴールドカード」も選択肢に入ってくるでしょう。
参考:三井住友カードキャンペーン公式サイト
日本を代表するカード会社のひとつ、JCBも20%キャッシュバックのキャンペーンを実施中です。こちらは、クレジットカードの利用ではなく、対象のカードをひも付けたスマホ決済(「Google Pay」か「Apple Pay」)を利用することで還元の対象になります。
還元の上限額は10,000円、対象期間の2019年8月16日~12月15日、50,000円分までの利用が対象になります。2020年3月上旬に、カード利用代金から相殺される形でキャッシュバックされます(デビットカードは4月上旬、プリペイドカードは3月下旬の予定)。
特典を受けるには、以下のステップを踏む必要があります。
(1)対象となるJCBカードを用意(持っていない人は新規入会)
(2)スマホの「Google Pay」か「Apple Pay」に対象のJCBカードを登録
(3)JCB公式サイトからキャンペーンに参加登録する
(4)「Apple Pay」または「Google Pay」を、JCB発行の電子マネー「QUICPay(クイックペイ)」の加盟店で利用する
「Google Pay」や「Apple Pay」を利用したことがない方は、(2)の手続きで尻込みしてしまうかもしれませんが、意外と簡単。筆者も今回、自分のスマホの「Google Pay」に登録してみましたが、必要なのは下記の1~3の手続きで、2、3分程度で完了しました。
1.「Google Pay」をインストール
2.「Google Pay」にカード情報をカメラで読み込ませる(手動で入力も可)
3.最後にメール、SMSなどで本人確認を行う
※「Apple Pay」での登録方法も原則、同様。
詳しくは、JCB公式サイト「Apple Pay、Google Payの設定方法」へ
「Google Pay」、「Apple Pay」とは
「Google Pay」はAndroid端末で使えるスマホ決済サービス。スマホを店頭のリーダーにかざすだけで電子マネーによる支払いができます。対応する「QUICPay」「Suica」「nanaco」「楽天Edy」「waon」「iD」6種類の電子マネーを介して精算します。「QUICPay」はJCBが提供する後払い型の電子マネーで、「QUICPay」利用分は登録したクレジットカードからの支払いになります。
「Apple Pay」はiPhoneを使ったスマホ決済のサービス。基本的な使い方などは「Google Pay」と同様で、「QUICPay」「Suica」「iD」に対応。
JCBのキャンペーンでは、「Google Pay」か「Apple Pay」でのスマホ決済の利用が対象になる
今回のJCBのキャンペーンには、以下のメリットがあります。
ひとつ目は新規入会者だけではなく、既存ユーザーも対象とする点。すでに対象のJCBカードを持っており、「Google Pay」か「Apple Pay」に登録していた場合も、上記(3)のJCB公式サイトからキャンペーンに参加登録すれば、20%還元を受けることができます。
2つ目は、持っているカードごとにキャンペーンに参加できる点。たとえば、本会員カードと家族カードについて、それぞれ参加登録すれば、合計最大20,000円の還元を受けられます。あるいは、ひとりで対象カードを3枚持っていてそれぞれのカードを登録すれば、合計最大30,000円の還元を受けられます。
また、このキャンペーンは全国92万か所ある「QUICPay(クイックペイ)」加盟店での利用が対象になります。大手コンビニ3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)や大手スーパー(イオン、イトーヨーカドーなど)、大手外食チェーン(ガスト、吉野家など)も加盟店になっており、幅広い店舗での利用が可能です。
利用の際はレジのスタッフに、「QUICPay」で支払うことを伝え、リーダーにスマホをかざせば決済完了となります。「Google Pay」や「Apple Pay」はあくまで仲介役ですので、支払いの際は「Google Pay払いで」などと言うのではなく、使いたい電子マネーを伝えましょう(今回の場合は「QUICPay」)。オンラインショップなどのオンライン決済はキャッシュバックの対象にはなりません。
「QUICPay」は大手のコンビニや外食チェーンなど、さまざまな店舗で利用できる
上記で説明したように、多くの人が参加しやすいキャンペーンですが、気をつけたいのは対象カードについてです。
JCBは「Visa」「Mastercard」などと同様、国際ブランドを展開しており、多くのカード会社にJCBのブランドを提供しているいっぽう、自社でもカードを発行しています。つまり、券面にJCBのロゴがあるカードは以下の2種類存在することになります。
(A)JCBが国際ブランドを提供し、別の企業が発行するカード
(B)JCB本体およびフランチャイズを受けた全国の銀行の「JCBグループ」が発行するカード
今回対象となるのは、(B)のカードのみになります。券面にJCBのロゴが付いているカードすべてが対象となるわけではない点は注意しましょう(たとえば、JCBのロゴが付いていても、楽天カードやオリコなどのカードは対象外です)。対象カードの詳細については、下記のキャンペーン公式サイトでよく確認しましょう。
参考:JCBキャンペーン公式サイト
JCB公式サイト「よくある質問(対象カードについて)」
今回キャンペーンの対象となるカードの中で、最もスタンダードな1枚は、年会費1,250円の「JCB一般カード」です。基本の還元率は0.5%で、最高3,000万円の海外旅行保険が利用付帯されています。39歳以下限定で申し込める「JCB CARD W」は基本の還元率が2倍の1%。年会費も無料なので、年齢的に申し込み可能なら検討の価値は大いにあるでしょう。
メガバンクの一角、みずほ銀行も20%還元のキャンペーンを実施しています。還元の上限額は10,000円、対象期間である2019年8月29日~12月15日、50,000円分までの利用が対象になります。
みずほ銀行のキャンペーンは、バーチャルのデビットカード利用で還元される
こちらは、同行のスマホ決済アプリ「みずほWallet」の機能のひとつである「Smart Debit」利用で還元されます。「Smart Debit」は、みずほ銀行の口座に直結するバーチャルのデビットカードで、「みずほWallet」から申し込むと即時発行されます。「Smart Debit」は「QUICPay」加盟店で利用可能です。「Smart Debit」を新規発行したユーザーはもちろん、既存ユーザーもキャンペーンに参加登録すれば還元対象になります。特典金額は、2020年3月下旬に登録口座にキャッシュバックされる予定です。
キャンペーン参加にあたっては、前提として、みずほ銀行の口座を持っていることが条件になります。キャンペーン参加のステップは以下のとおりです。
(1)「みずほWallet」のアプリをダウンロード
(2)アプリから「Smart Debit」に登録
(3)「みずほWallet」から、キャンペーンに参加登録
「Smart Debit」はデビットカードなので、利用するとみずほ銀行の口座から即時引き落としされます。口座残高を確認しつつ、決済に利用できるメリットがあります。また、使いすぎなどの心配から、クレジットカードの利用に抵抗がある人に向いたキャンペーンと言えそうです。
参考HP:みずほ銀行キャンペーン公式サイト
以上、今からでも申し込み可能で、条件をクリアすれば「利用金額の20%、最大10,000円以上の還元」が受けられる3つのキャンペーンを紹介してきました。下記にキャンペーンの概要について表でまとめました。条件をクリアすれば、重複して各キャンペーンに参加することも可能です。
三井住友カードのキャンペーンはクレジットカード払いを対象としており、数多くの支払いに使える点がメリットになります。JCBは1枚あたりの上限は10,000円ですが、複数のカードで参加登録できるため、使い方によってはより高額の還元を受けられます。みずほ銀行は、デビット払いの利用を対象としているのが特徴になります。
キャッシュバックを受けるにあたっていくつか注意点があります。
今回の3つのキャンペーンはいずれも、アプリにログイン、あるいは専用ページからエントリーする必要があります。ログインやエントリーをせずに、対象のカードやスマホ決済を利用しても還元は受けられません。また、キャッシュバックを受けるのはいずれも数か月先となりますが、それまでに退会やサービスをやめた場合、対象外となるので注意が必要です。また、それぞれのキャンペーンごとに対象外となる利用法があるので、公式サイトでよく確認しておきましょう。
冒頭で触れたとおり、10月1日からの消費税アップにともなって、国の「キャッシュレス決済でのポイント還元」も始まりました。今回取り上げた3つの企業は、この事業の決済事業者として登録されており、対象の中小店舗などで決済すれば、今回紹介した特典(キャッシュバック)とは別に最大5%の還元を受けられます。今回の増税による、各家庭の負担増は1か月平均で約4,000円とされています。増税による負担を軽減するひとつの方法として、これらのキャッシュレス決済の活用も検討してみてはいかがでしょうか。
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