苦しむ若虎が崖っぷちのチームを救った。矢野監督に期待されながら、4番に定着できなかった大山だ。引き分けも許されない状況で、6―6の9回。中川のスライダーを逆らわずに右へ運び、決勝アーチをかけた。
「負けたら終わり。やるしかないので、結果になって良かった」
開幕から4番を任された。矢野監督が前任の金本監督から和製大砲の育成も継承。「糸井さんや孝介さんに頼りっぱなしでいたら、この先もずっとチームの主軸にはなれない」。その覚悟を持ってシーズンを戦ったが、成績は上がらなかった。CSに入っても結果は出ず、DeNAとのファーストステージでは第3戦でスタメン落ち。ファイナルステージも初戦で無安打に終わると、前日は出場機会すら巡ってこなかった。
そんな大山が意地の一発を放つ前には、同じドラフト1位入団のルーキー近本が逆襲へ勢いづけた。5回の猛攻。2死満塁で高木から右翼線へ一時逆転となる走者一掃の三塁打を放った。「一気に逆転したい場面だったので何とかしたいという思いだった。気持ちで打ちました」。流れを変える近本の快打。若虎が逆襲への扉を開いた。