幻のポルノアニメ特集
記憶のコーナーも回を重ねる事31回。
今回は31回もやってきてスゴイ覚悟のいる企画です。
だって今回紹介するのは成人映画。
しかも40年近く昔に製作されたポルノアニメですから。
…記憶のかさブタ、という趣旨とは離れちゃいましたが、これが
実に興味深い世界なんですよ。しかもこれから紹介する二本のアニメは
いずれも現在カルトムービーになってまして、好き者の間では
伝説化されています。いや、両方ともエライ事になってます。
今回紹介する二本の映画の背景について説明すると…
邦画界がどん底に落ち込んでいた昭和40年代中盤。
テレビの普及によって各映画の観客動員数が軒並み減少し、
各製作プロ、映画会社が次々倒産していたこの頃、
「まともなモノでは客を呼べない、テレビでは出来ない過激なものを!」
と、各社エロ・グロ・ナンセンスに救いを求めて、実に特異な異色作が
数多く作られました。
今見るとその変さ加減が凄まじく、
故にカルト的な作品が多く排出された訳ですが
昨今この頃の異色作が妙な人気を呼んでますね。
特にこの頃多くの観客を集めたのが「ポルノ」。
なるほど。確かにこの頃のテレビでは出来ない代物です。
「300万円の制作費で5000万円稼げる」という状況でしたから
皆ポルノ映画を製作するのも無理ありません。
倒産した新東宝も「大蔵映画」となってからはポルノで稼ぎ、
倒産寸前の大映も終期はポルノまがいの作品ばかり。
日活に至っては会社の製作方針をロマンポルノに切り替えてからは
経営状況を安定させ、以降17年に渡って体勢を維持しました。
弱小のプロダクションでも安易に作れ、確実に損をしないのは
まさしくポルノしかなかった訳です。
さて、そんなポルノもアニメのポルノ、というとどうか。
「漫画映画」ともいわれていた当時のアニメ。アニメは子供のみるものという
一般の偏見があった時代(映画界の偏見はもっと凄かった)、
ポルノという大人の世界と動画、というものが共存できるのか?
という心配をよそに、虫プロが1969年に「千夜一夜物語」を発表。
成人向けアニメとして、随所にエロチシズムを盛り込んだ内容が
話題になり、国内外で大ヒットしました。
さあ、この「千夜一夜物語」のヒットにあてられて、
ポルノアニメは儲かる!と思ったか否か。矢継ぎ早に製作されたのが
これから紹介する幻のポルノアニメたちです。
(秘)劇画・浮世絵千一夜
| 浮世絵師・春斉は、呉服屋・江戸屋勘助から枕屏風の浮世絵秘画を頼まれた。 壁一つ隣の、仁吉とおとよの愛の実態をモデルに、春斉は、真に迫った秘画を描き上げ、 絵の男女を「春信」「おたま」と名づけた。 仁吉とおとよの呻き声に誘われて、春信とおたまは 屏風の中から抜け出し、仁吉とおとよを殺害した。 この事件を聞き、女同心・幻お流が乗り出してきた。 祭りの夜、春信とおたまは、またも屏風から抜け出た。 二人は、祭り帰りの若い男女と関係し、殺害した。 江戸の町はこの事件に湧いた。お流は三人の女弟子と捕物陣を張った。 ついに春信とおたまは取り囲まれたが、くいな流の達人・重藤左次馬が現われ、 女弟子を斬り、二人を逃がした。春斉の絵に目をつけた左次馬は、 春斉の家に忍び込み、おたまだけを連れ出した。 残された春信は、訪ねて来た江戸屋勘助の娘・おゆきを犯し殺した。 逃れてきた春信とおたまを連れて、大川端に逃げた左次馬は お流の張った捕物陣が迫ると、春信とおたまを斬った。 二人は、よろめきながら春斉の家に帰り、屏風絵の中に入って息絶えた。 一方、捕手を皆殺しにした左次馬は、お流を、くいな流居合の一閃で全裸にすると、 ひるむところを乗りかかって犯した。 と見えた瞬間絶叫と共に、左次馬は悶絶して息絶えた。 お流の秘術「幻流くの一しぼり」の術中に陥ったのだった。 |
| (秘)劇画・浮世絵千一夜 |
| 製作したレオ・プロダクションなるものを私はしらない。いずれにしても虫プロの 「千夜一夜物語」のヒットにあやかろうという魂胆は誰の目にも明らかだろう。 いやはや、下には下があるものだ。失望の超大作「千夜一夜物語」も、 これに比べたら「不朽の名作」である。思うに、よろずピンク映画というものは 能うる限りきわどい光景を展開して男性観客を刺激すればいいのだ。 男にとっては性的興奮それ自体が快楽であり、つまり娯楽でもありえるのだから。 男優諸氏の熱演をひととき我が身に置き換えて、イメージ性交という 知的操作をする。それ以上でもそれ以下でもないのだ。 で、この「浮世絵千一夜」も成人向指定とある以上、ピンクの一環を なすのだろう。(まさか「芸術」のつもりでもあるまいから)が、まず、 最低限その点で落第だと思う。哺乳瓶のゴムさながらの乳首に 感じる人がもしあり、とすれば、それはよほどの母牛(母親、の誤植にアラズ) コンプレックスであろう。なんのかんのといっても、虫プロの「千夜一夜物語」 には、白蛇の精の抽象的なセックスシーンのように、1つ2つは印象に 残るものが無いではなかった。が、「浮世絵千一夜」(この題名を書くのが イヤになってきた)には、それがない。なんにもない。 歯医者の待合室に転がっているマンガ週刊誌のエロ劇画の方がまだしも プロポーションがちゃんとしているし、第一、ヘタに動かないだけでも良い。 動きさえしなければ、ガタも、ビリつきも、セル傷の反射もゴミのちらつきも 無くて、したがって耐える苦痛からも開放される。無上の喜びだ。 不思議でならないのだが、昨今の世の中、たつきの道はいくらもあると 思われるのに、なぜこういうアニメーション(おお!)をこさえる気になったのだろう。 どう手を抜こうと質を落とそうと、それが手工業であること、したがって 効率の悪い、不経済なものであることをまぬがれる事は出来ないのに…。 強いてアニメ的な趣向を言えば、屏風の春画から男女が抜け出て 人を殺す、という程度。ソ連漫画の「黄色いこうのとり」か、落語の 「抜け雀」の発想だろうか、などと書くと観ていない人から、何か結構な もののように誤解されそうでおそろしい。(中略) 背景の看板の文字の欠字などのことあげは、あるレベルに達した作品について はじめて指摘すべきことだろうし、とにかくこれほど退屈かつ不快なものが 娯楽としてまかり通るのだということが、金五百円也と一時間十分を 費やして私が得た貴重な教訓なのである。 |
| (秘)劇画・浮世絵千一夜 スタッフ |
| 脚本・演出/レオ・ニシムラ 原画監修/上野春楽 原動画/熊沢年男・小松原 宏・村田秀男・金沢幸男 撮影/荒牧国繁・佐藤るみ子 音楽/カナリ良則とファイブサンズ 美術/勝又譲治 背景/赤保谷愛花 録音/東音スタジオ 編集/中島照雄 ワイド・フジカラー・6巻 1918m 上映時間1時間10分 |
| キャスト |
| 女同心・幻お流…滝 かおる 福助…大久保 伸 梅の幻斎…妻木一平 浮世絵師春斎…山田卓司 重藤左次馬…野坂竜太 春信…若山昌夫 おたま…三浦由紀子 江戸屋ゆき…原 みちよ おなみ…藤原けい子 おとよ…牟永君代 江戸屋勘助…桂 太郎 頓兵衛…秋山連作 |
ヤスジのポルノラマ・やっちまえ!
(DO・IT!)
| プス夫(資料によっては「ブス夫」)はいまだチョンガー(独身男)である。 金もなく、モテずのプス夫は、性の飢餓で悶々とした日々を送っている。 今日も、下宿のオバさんにプス夫はどやされた。たまりかねて彼は風呂に行く。 番台にいるのはテッキリ、バアさんと思っていたプス夫。 ところが番台に座っていたのはボインのかわいこちゃんであった。サァあせったプス夫。 下着は汚れたまま、身体にはノミに喰われた後がビッシリ。 何んだかんだと理由をつけて帰ろうとするプス夫。そうはさせじとする娘。 数日後、プス夫は、ある自動車メーカーに職を得た。 そこでも彼は仕事なんぞそっちのけ、女、女と探しまわる。 そんな彼にも幸運の女神がほほ笑んだ。 やっとのことで見つけた相手はユキ子というカワイコちゃん。 しかし、ユキ子にはエリート課長が目をつけていて、 うらぶれ果てたプス夫に、ユキ子はなびいてくれない。 彼はユキ子の気持を引くために、欲求不満の女たちを相手に車を売りまくる。 己の下半身を最大限に利用し、セックスセールスマンと化すプス夫。 売上が伸び、成績を上げたプス夫にユキ子の心もにわかに傾き始める。 さて、なんやかんやあって(最終的には包丁で脅して)晴れてめでたく 婚約のはこびとなった。そしてやっとのことでホテルにたどりつき、 バラ色の初夜がきた。しかし、ホテルでバッタリ出会った昔の悪友。 プス夫が待ちに待った初夜だというのに、結局マージャンにつき合わされた。 その間、新妻ユキ子は窓から飛び込んできたムジ鳥に犯された。 結婚五日目に、ユキ子はムジ鳥との間に出来た奇形児ムジ夫を生んだ。 このムジ夫、生まれたその日に女を犯してしまうすさまじさ。 それからというものプス夫にとって混迷と地獄の日々が続いた。 毎晩、ムジ夫はポルノ雑誌を読みふけり、 となりのヤル子ちゃんとアクロバティックなセックスを公開する。 それを見ていたプス夫、自信をなくし、遂にインポにおちいった。 その上、彼が病院に通っている間、ユキ子とオヤジは姦通したのである。 オヤジはユキ子の上で腹上死。その惨状をみて遂に狂ったプス夫。 オヤジ愛好の関孫六(日本刀)をひきぬき、 女房のユキ子をケサガケに斬り倒す。すべてを失ったプス夫は完全に発狂。 人間社会から逃げるようにして動物園に向った。 ゴリラのオリの前に立ったプス夫は、メスゴリラに誘われるように入っていった。 そこで彼は、メスゴリラと至福の交合をして、自らの腹をかっさばいた。 薄れ行く意識の中、プス夫の脳裏には走馬灯の様にかつての独身時代が甦る。 やはり、結婚は諺通り"人生の墓場"だったのだろう。プス夫にとっては……。 (上映当時のキネマ旬報・作品紹介あらすじ記事より) |
| 動き出したムジ鳥 谷岡ヤスジ |
| 動かない、印刷された紙の上の絵に、いかにダイナミックで メッタメタなパワーを注入するか、というのが われわれマンガ家の仕事の勝負である。 もっと言わせてもらえば、そのパワーにのっけて、 乾いたエロチシズムをどう紙の上に一気に展開させるか、ということだ。 以前に天然色映画のスクリーンで見たマリリン・モンローや ブリジッド・バルドーのイメージの残像を昨日食べたスルメの切れっ端しを 歯のスキマからセセリ出すみたいな具合にハンスウしながら、 エイヤっとペンを画用紙にたたきつける。 しかし、しょせん紙の上の絵は本当には動き出してはくれない。 クヤしいから、次の仕事ではさらにさらにアクセントを強く、 果たせぬ夢の挑戦をやる。その連続が、言わば私の仕事みたいなものである。 ところが東京テレビ動画という物好きで好奇心旺盛な会社が、 わがマンガを アニメにして動かすという。 しかも、モンローやベベの映画と同じ天然色ワイドの映画にするというのだ。 ラッシュ・フィルムで本当にわがムジ鳥が動き出すのを見た時には 正直言って「ヤヤッ」と、夢の実現に画面がカスんで見えた。 プリント完成の今は、怖い映倫のオジさんたちの眼を、 わがポルノラマ映画「やっちまえ!」が無事スリ抜けて世に出るのを、 わが子の旅立ちを見送るような心境で、祈るのみなのだ。 |
| ヤスジのポルノラマ・やっちまえ! |
| どこかとりとめなく、あいまいで抽象的な感覚が現代の都市生活にはつきまとっている。 サラリーマン漫画が最近読者をひきつけるようになったのも、 そうした空虚な生存の感覚をいち早く身につけた、 製作側の都市感覚が、その作品ににじみ出ていたからに違いない。 (中略) (谷岡ヤスジの漫画の傾向は)薄汚れて、みじめったらしい男が、 常に最後には抑圧が爆発し、「オドリャ-、しまいには血見るド」と 手当たり次第にぶん殴り、殺してまわる。 時に鼻血を「ブウッ」とばかりに噴出するのも、抑圧された精神の 一種の発散であり、肉体の爆発なのに違いない。 ある時期、この「鼻血ブウッ」が流行語にまでなったのも、 見る側の心のどこかにその爆発が微妙に接触し、共感を呼んだからであろう。 だが、平均年齢22歳と若さがウリのスタッフは、この映画で観客との接点を こうした都市感覚に求めず、セックスという肉体の一部分に全てを帰結してしまった。 映像処理が一番自由に出来、かなり制限が大幅に許容されている アニメーションだと言う事があったとしても、徹底して視点を人間の 肉体の一部でしか無いセックスに絞った事は、 原作が僅かでも持っていた精神を見失わせる結果となり、 なにか、極端にまでデフォルメされた主人公の空虚な残像だけが空しく残る結果となっている。 もともと谷岡のマンガはいくら爆発したところで所詮負け犬のでしかないというところに 欠陥があった訳だが、そうした単細胞的動物の単純な行動の羅列では、 限られたコマで見せるマンガとは違い、何十、何百、何千、何万という 原画の組み合わせで見せる長編動画の場合、観客を満足させることが出来ないのは、 これまた当然でもあろう。「第一章・私生活」の中でこそ、 夢と現実の混合の中に、まだしも強烈な自意識を見せたブス夫が、 父親と妻を殺したあげく自分の腹をかっさばいて、セックスに乗って昇天するラストに、 なんとも言えない「70年代の楽観主義」が後味悪く感じられて 仕方がないのもそのためである。 |
| ヤスジのポルノラマ・やっちまえ! |
| 漫画家・谷岡ヤスジ(昭和17年愛媛生まれ)の一連の漫画を 原作に製作したポルノ動画。 「鼻血ブー」「オラオラオラ」など、四十五、六年頃の流行語を作り、 「アサ-」と叫ぶムジ鳥なるキャラクターを描いた谷岡マンガは 男女のセックスを大胆に取り上げ話題になった。 製作の東京テレビ動画はTV動画「赤き血のイレブン」「男一匹ガキ大将」などを 製作したが、虫プロの大人用長編動画の成功で、ポルノ動画の製作に踏み切った。 映画は三章から構成され、 第一章「私生活」では主人公ブス夫の独身時代のセックスを描き、 第二章「経験」ではモーレツサラリーマンとなってセックスを武器に車を売る。 第三章「めまい」では結婚をしたものの破局を迎え自殺する。 「私生活」「経験」「めまい」は当時の歌手・辺見マリのヒット曲名。 映倫のクレームで十一ヶ所がカット。ラストのブス夫の割腹自殺のシーンは 三島由起夫事件を連想させるとの事で撮り直された。 女性自身がひんぱんに出てくるので製作の女性スタッフは「恥ずかしかった」そうだ。 結局、時流に乗っただけの作品で、内容も何もない愚作に終わった。 |
| 本編視聴後感想と考察(2019.10.10) |
| DVD観賞終了後、個人的な感想や考察やらをいくつか記載。 (ネタバレあるのでご注意下さい) 冒頭の第一部「私生活」はあらすじに記載されていた銭湯のシーンがまるまる消えてましたね。 その反面、ガールフレンドとのデート場面(寝過ごしてフラれる)や 隣人との間男シーンなどが新たに散見出来、銭湯シーンはこれらに 差し替えられた可能性もあります。物語にはあらすじ紹介には無かった 欲求不満の痴女も登場。オヤジが途中上京してプス夫の下宿で 乱交パーティーをするのですが(雨森雅司さんが絶品) 途中息子と軽い殺し合いがあって、「死ね!」「生きる!」のやりとりがあったのには 「おお、FUJIWARAのギャグを40年前にやってたのか!」と プチ感動(してどうする)。 第二部「経験」は、プス夫のセールスマン生活が中心。インキン伝染して女性が喜ぶって どういう事なのやら?プス夫がОLグループにイジメられて、逆にセックスで抑え込むという 一連の描写は、セクハラだパワハラだというワードの無かった時代ゆえの産物。 朝のエリート社員の特訓やらハチマキ部隊だの、昭和40年代のモーレツ社員風潮を アニメートしたような描写が時代を感じさせます。 プス夫の恋敵たるエリートも、本編では「課長」ではなく「部長」に。プレスシートにも 「課長」のままの表記で掲載されているので、アフレコの時点で変更になった? 酒をたらふく飲ませて立小便を誘引させ、その現場をユキコに目撃させて 彼女をプス夫から奪い取るという部長の作戦って、回りくどい上に馬鹿すぎる。 それにまんまと乗って部長ラブになるユキコもバカだけど 刺身包丁持って殴りこみユキコを強引に娶るプス夫は更なるバカ。 第三部「めまい」は新婚旅行とその後の生活が舞台なれど狂気のオンパレード。 あらすじ紹介どおりユキコはムジ鳥とヤりますが、むしろユキコが積極的に ムジ鳥を誘い込んだような感じ。欲求不満だったのね。結果生まれたムジ夫に 以降の家庭はひたすらグチャグチャにかき回されるのですが(黄色い体というのは ヒヨコって意味でもあるのですね)、息子の傍若無人なセックスバトルや、オヤジの 腹上死シーンなど、崩壊のジェットコースターが止まらなくなっていきます。(関の孫六を 最初に引き抜いたのはユキコだったんですね)逆上したプス夫は唐獅子牡丹の高倉健に 変身し、ユキコを正中線から一刀両断。真っ二つになってユキコは果てます(ケサガケでは 無かった)。プス夫は「地獄だぁ~」と半狂乱で飛び出し、一人家に残されたムジ夫は 真っ二つで果てた母と昇天した祖父を無表情で眺めながら飴をしゃぶってます。 (このあたりが狂気) 「おお神よ」と半狂乱で呟くプス夫は、オオカミが居そうな「動物園」に(シャレ?) 門を乗り越えて侵入。ここでメスゴリラとの性交シーンになります。これが実に狂ってる。 メスゴリラはプス夫を膣内にねじ込むと、負けじとプス夫は膣内を掘り進み子宮にまで達し、 卵巣にむしゃぶりつきます。(画だと卵巣というより卵管采)膣から出てきたプス夫は 羊水をふき出し、口の中に入ってたゴリラの胎児を吐き出す…。こんな狂った場面に 挿入歌の「ロンリーブルース」が延々と流れます。なまじイイ歌だけに困惑することしきり。 その後、突然曲が「海ゆかば」に変わり、プス夫はメスゴリラの乳房を吸い破ったあと、 ゴリラの腹の中に入って、中から胃袋を刀でつんざいて惨殺。ゴリラの亡骸を背に 「檄」の文字と共に、自らの腹をかっ斬って自害。(この場面だけ妙に劇画的に処理) 突然場面は宇宙に変わり、男根型ロケットに乗って昇天していくプス夫の 「やったやった~!」という半狂乱の絶叫と共に映画は終了するのですが…。 書籍では「ラストの切腹シーンが三島由紀夫を想定させるため全面的に撮り直しとなった」という 事になっているのですが、これは撮り直したシーンとすると、本来のシーンとはどのような ものだったんでしょうね?さながら「楯の会」を思わせるような服装にプス夫がなっていたとか? それなら撮り直しも合点がいきます。あらすじ解説にあったラストの走馬灯のシーンも 映画には存在せず、脳天気かつ狂気なプス夫の昇天シーンがあるだけ。 上映時間も資料本にあった1時間41分ではなく、1時間36分。 これはどう考えたらいいのやら。 ゆうばりファンタスティック映画祭での上映時間は101分となっているのに? 「映倫のクレームで十一ヶ所がカット」とありましたが、 これは場面そのものにハサミを入れたというわけじゃ なく、随所に出てくる半透明の手のマークの事なのかなと思いました。股間に舌を這わせるシーンや 女性の股に割り入って腰を振るシーンなどにこの「半透明の手」はありましたし。後から入れたもの? ムジ夫の読んでる洋ピン雑誌は黒モジャ処理だから、局部修正に統一性が無いのはそういう事なのかなと。 確かに、一通り見ると、いろんな意味で狂った映画ではあります。 谷岡ヤスジというアナーキーな原作と1970年代という時代のアナーキーが 計らずも融合した結果、眩暈を覚えるような狂気の作品に。 ただこれを「ポルノ」として観ていいのかどうか?多分一週間で公開が打ち切られた 要因として、ポスターやロビーカードを観た人が「こんなのポルノじゃねえ!」と 劇場に足を踏み入れなかったのではとも推察されます。極端までデフォルメされた あのタッチは、ポルノというにはあまりにもアグレッシヴすぎたような気もしますし。 随所にハードコア要素は満載だし、子宮姦なんていうぶっ飛んだアニメ描写も 時代を先取りしていると思うのですが、1971年当時これを劇場で観た人は どう思ったんでしょうかね?やっぱり眉間にシワだったんだろうか…? |
| ヤスジのポルノラマ・やっちまえ! スタッフ |
| 原作漫画/谷岡ヤスジ 製作指揮/渡邊 清 企画/吉沢京夫・土橋寿男 演出/三輪考輝・高桑慎一郎 脚本/吉田喜昭 作画監督/鈴木 満 原画/谷口守泰・島崎 修・池田順一・村中博美 美術監督/半藤克美 色彩設定/梅野紀一 音響調整/森 武 編集/石村武朗 効果/大野美信 撮影監督/森泉正美 録音/太平スタジオ・TEAスタジオ 現像所/東洋現像所 音楽/橋場清 主題歌 ドバ・ドバ・ソング(作詞・島村葉二/作曲・橋場清/ 浪曲部担当・沢田敏子/曲師・吉野静/唄・ザ・ラニアルズ) 挿入歌 ロンリーブルース (作詞・島村葉二/作曲・橋場清/唄・杉かおる) ワイド・フジカラー・5巻 2767m 上映時間1時間41分(現存プリント1時間36分) |
| キャスト |
| プス夫…鈴木やすし ユキ子…鈴木弘子 ムジ鳥&ムジ夫…南利明 プス夫のオヤジ…雨森雅司 社長…コロムビア・トップ エリート部長…大塚周夫 痴女…小原乃梨子 里見たかし 相模 武 此島愛子 増山江威子 細井重之 肝付兼太 納谷六朗 加藤 修 高田竜二 国坂 伸 立壁和也 武川 信 田中亮一 井上弦太郎 岡部政明 中島喜美栄 沢田敏子 渡辺典子 渡辺知子 浅井淑子 森ひろ子 松崎静子 芝田清子 川口由美子 島木綿子 |
と、いうわけで今回の記憶のかさブタ、いかがでしたか?
両作品とも資料を見ただけでゾクゾクするような感覚を覚えてしまいました。
変なたとえですが、悪趣味な怖いもの見たさに近いかな、と。
両作品とも映画史的には抹殺され、評価も酷評の限りだった
「世紀の駄作」扱いを受けています、が、妙にひかれる物があるのは何故でしょう?
解ってるんですよ。こういうのにハマると泥沼だって事。
ただ言えるのは、整然としちゃった現在ではこういう灰汁の塊みたいな
狂った作品の生まれる土壌は無いって事ですね。
それもまた寂しいのですが。
ただ、これら2つのポルノアニメが日本アニメ映画史上に
残したものというと、功罪でいえば「罪」でしょう。
それが証拠に、この2本の映画公開後、劇場用ポルノアニメは消滅し、
以降オリジナルビデオアニメが作られるようになった1983年まで
ポルノアニメの土壌は消滅したのですから。
この12年もの空白は大きいです。両作に責任の一端はあるでしょう。
もっとも、アニメもポルノも世間的評価が低い時代でしたから、
時代が悪かった、という弁護も出来なくはないのですが。
今回カルトに過ぎたので反応が心配。
次回はどうしようかな。