「未来の漫才」「なんかわからんけど、ずっと面白かった」(ナインティナイン・岡村隆史)
「この歳でテレビに出ている芸人の30代、40代の景色が見てみたい」(千鳥・大悟)
「四千頭身」――。2016年結成のお笑いトリオだ。平均年齢22歳の若手にして、テレビ出演は急増中。岡村や大悟の言葉に象徴されるように、この数年で大きな注目を集めている。
「そう言ってもらえるのは嬉しいです。でも、実感がないというか。オンエアを見て、びっくりしますね。本当にテレビに出ているなと」
そう語るのは、ツッコミを担当する後藤拓実だ。
「THE MANZAI」4代目王者・博多華丸・大吉の博多大吉は、「はじめて見たとき衝撃でした」「ツッコミの間がすごい上手い」「声質も最高」と、先日放送の「アメトーーク!『ツッコミ芸人が選ぶ このツッコミがすごい!!』」で絶賛していた。
四千頭身の漫才は、後藤のローテンションのけだるいツッコミが2人のボケ(都築拓紀、石橋遼大)を際立たせる。
そんな新感覚かつ高度のツッコミ技術が目を引き、メディアはよく四千頭身の漫才を「脱力系」と表現するが、後藤は「何も思ったことないです。そう言われるなら、そうなんだろうなあって」と、いたって冷静に捉えている。
「未来の漫才」「脱力系」……そう呼ばれる四千頭身とは何だろうか。ネタ作成者でありトリオの中心人物である後藤にインタビューすることで、四千頭身の輪郭を探ってみたい。
(取材・文:佐藤慶一、写真:飯本貴子)
最年少19歳、脱力トリオ漫才――。そうした触れ込みで出演した2016年末のフジテレビ「新しい波24」で、「頭取りゲーム」を披露した。
「なんだこれ」「天才」「見たことない」「ずっと面白い」……ネタを見た出演者たちが次々に言葉を漏らした。衝撃の余韻を残した地上波デビュー。しかし当人はそれどころではなかった。
「あのときは本当に具合が悪くて、死にかけていました。だから、とりあえずやりきることだけを考えていて、言い方悪いですけど、早く終わんないかなと。それもあっていつもよりダルそうに漫才をしたところ、あ、これがウケるんだと思いました」
ウケた。賛辞もあった。だが、改めて記憶をたどると――。