父親が入院した。病状は今のところ安定している。俺40歳、父親70歳、普段から距離のある関係だ。俺が知っている家庭での父は読書と庭いじりくらいしかない。全然話してこなかったし今も深く話すことはできない。仲が悪いのではないはずだがざっくばらんな話はしてこなかった。
それでも俺は見舞いに行った。そのときは俺ひとりだった。案の定何も話すことがない。わかってはいたが長い沈黙。また来るわと言って立ち上がったら、「お前、マンガは読むだろう」と言う。ああ読むよ。「次来るとき何か持ってきてくれ」。わかった。
話題がない俺にでもできることをさせてつながりを保たせようと思ったんだろう。優しさだ。病床の親に気を使わせてしまう俺は実に情けない。本当にマンガが読みたいわけではないんだろう。
マンガのイメージないけど本当に読むの?どんなのがいい?「家で読むとアレが怒るだろ。作品はお前にまかせる」。わかった。
わかったと返事したのはいいが何を選べばいいかわからない。20巻も30巻も置くスペースはない。俺が楽しみにしているヒストリエを渡そうものなら「続きはないのか」と言われるだろう。完結するとき父はここにいない。男の70歳にどんなマンガを渡せばいいのか……。
釣りバカ日誌
昭和モーレツ世代の若いころのテンプレだと ・( )長 島耕作 ・ブラック・エンジェルズ ・北斗の拳 ・ブラックジャック(手塚治虫) あたりになってとても殺伐とするので逆にのん...
孤独のグルメじゃない
庭いじりが好きなら農業でええんちゃうの。「のうりん」持っていけや。
適当にジャンル分けて5種類くらい漫画の1巻だけ持っていけば? ちなみに自分の父親は『もやしもん』が好き