「大学としてできることはもうない」チア部パワハラ問題で再び損なわれた日大ブランド
- 問題となった女性監督は「性格的には熱いタイプ」
- 女子部員が母校のスウェット姿でいると「今すぐ脱げ、二度と履くな」と叱責
- 弁護士「傷害罪が適用されることもありうる」
危険タックル問題で指導方法が問題視されていた日本大学。
そのアメリカンフットボール部に続いて、チアリーディングでも学生がパワハラ被害を訴えていることがわかった。
女性監督も元日大チアの選手
再び損なわれてしまった「日大ブランド」。一体、何があったのか?
パワハラ被害を訴えている女子部員が所属している日大・応援リーダー部「ディッパーズ」は、JAPAN CUP日本選手権大会で、2009年と2010年に4位に入賞している。
あのアメフト部が甲子園ボウルで優勝した時も、集合写真に姿があった。
毎年上位に名を連ね、2015年には今回問題となった女性監督が就任。監督も元日大チアの選手だった。
女性監督をよく知る元応援リーダー部のOGは「性格的には熱いタイプではありますが、本当にチームのために一生懸命指導している人」と話した。
嘘の理由で叱責…人格否定まで
被害部員側による告発文書によると、事の発端は今年1月に大雪が降った日。
練習があるのか分からず、戸惑っていた女子部員を心配した顔見知りの事務員が監督に確認。
すると、女性監督は部員全員の前で女子部員に対して「みんなこいつが何をしたか知ってる?この前の大雪の日に事務員に『練習が無くなるように監督に電話をかけてほしい』と頼んで、事務員を使って練習なくそうとしたんですよ。なんでおまえが練習をなくそうとするわけ?おまえに言われなくてもやっとるわ」(告発文書より)と叱責した。
この一件は、のちに事実無根と判明したが、女子部員を責める言動は続いた。
母校の高校名が入ったスウェット姿で練習に現れた女性部員に、女性監督は「おまえみたいにプライドが高くて過去の栄光にすがりついているやつには自分の罪を認めることも反省することも無理だよ。いつまでも母校(高校)のスウェット履いて本当、学校の恥だよ、今すぐ脱げ。二度と履くな」(告発文書より)と言ったという。
「日本大学としてできることはもうない」
そして、女子部員が自殺を考えたというほどの決定的な出来事が起こった。
それは去年からのケガが長引き、リハビリを続けたいと監督に相談した日、女性監督から「お前の相談にはもう乗らない。ずる賢い馬鹿は嫌いだから。チアも本当はもうできるんじゃないの?」(告発文書より)と拒絶されてしまう。
その後もミーティングでは、同学年の部員から厳しい言葉で吊し上げられ、その結果、女子部員が過呼吸に陥ると同期の女子部員から「どうせ演技でしょ」、「過呼吸なんてすぐ直る」などと言われ、監督や部員からも孤立し、部活にも学校にも行けなくなってしまったという。
そこで、女子部員が学内の保健体育審議会に助けを求めると、「日本大学としてできることはもうない」(告発文書より)といった返事があったという。
実はこの時、アメフト部の内田正人前監督が事務局長を務めていた。
その後、アメフト部のタックル問題が発覚すると、大学側が「学生の皆さんを必ず守ります」と発表。
その言葉を信じた女子部員が再び大学に助けを求めると、大学側から「今回の文書はアメフトの件に関してなので、○○さん(女子部員の名前)の事とは関係ない」(告発文書より)と言われたという。
現在、大学の別の人権救済機関がパワハラ問題を調査している。
女性監督は先月、「すべて私の責任です。申し訳ありません」と女子部員に謝罪。そして、日大はこの問題が表面化した9日付けでこの監督を解任した。
パワハラ問題に詳しい田村勇人弁護士によると、今回の暴言は十分パワハラに該当し、被害者がストレス障害と診断された場合、刑法の傷害罪が適用されることもあり得るとした。
(「めざましテレビ」8月10日放送分より)