オンワード「600店撤退」に映る大量閉店の難題

成長性には見切りをつけ収益性に舵切る戦略

「23区」はオンワードを代表するブランド(撮影:今井 康一)

『23区』や『組曲』『五大陸』などのオリジナルブランドで知られるアパレル大手、オンワードホールディングスの保元道宣社長が10月4日の決算記者会見で構造改革の一環として国内外の2割に相当する600店舗を閉店する方針を明らかにしました。

この方針は上期の営業損益が8億6100万円の赤字に転落したことを受けての発表でした。上半期が営業赤字とはいえアパレル業界では秋冬物のシーズンで売り上げの回復が見込めるわけで、実際にオンワードの通期予想も下期の黒字で盛り返して営業利益は12億円の黒字を計画しています。それでもこのタイミングで大規模な店舗閉鎖という先回りした打ち手を発表したことはある種の驚きを感じました。

地方中心に百貨店からの撤退不可避

もともとオンワードは百貨店に対する営業に強く、全国の百貨店のアパレル売場ではとても良い場所をおさえてきました。百貨店の側も苦戦が続く中でオンワードの売上に業績が支えられてきたのは事実です。ところがオンワードが600店舗で閉鎖するとなると地方を中心に百貨店からの撤退は避けられないことになります。

さて、オンワードはなぜこれほどの規模で閉店を計画するのでしょうか。経営学的な観点から大量閉店のメリットと気をつけるべき点についてまとめてみたいと思います。

過去の日本企業で大量閉店の最大の成功例だと私がとらえているのは1999年からはじまった日産リバイバルプランにおける国内ディーラー網の再編です。

日産自動車はバブル期に国内首位のトヨタ自動車を追走する拡大戦略をとりました。当時の日産の国内ディーラー網は日産店、モーター店、プリンス店、サニー店(現サティオ店)、チェリー店の5系列にまで拡大していました。ところがバブル崩壊後に国内の消費が低迷する中で、販売網を広げたことで逆に収益が悪化するだけだという状況に日産は陥ってしまいます。1998年には2兆円もの有利子負債をかかえて経営危機が訪れるのです。

その当時のゴーン改革の狙いは「日産自動車に対する需要に供給サイズをあわせること」にありました。当時でも首位トヨタと日産の国内市場占有率は大きく開いていて、日産のシェアはトヨタの半分以下でした。にもかかわらずその差を埋めようと過去の経営陣が意欲的な計画を建て自動車の供給体制を増やしてきた。具体的に言うと工場を増やし、車種を増やし、宣伝に力をいれ、営業力つまりディーラーの店舗数を増やしていったのです。

しかし、そういった計画で背伸びした工場や店舗の規模に見合った日産需要が国内には存在しなかった。そのことが日産に危機を起こした要因の一つだったのです。それでゴーン氏が何をやったかというと、販売店に関しては5つあった系列をまずブルーステージとレッドステージの2つに集約・統合、さらにその後、日産1系列に一本化するという戦略を進めました。

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  • 塩顔リーマンc0d6750e20b5
    Burberryからライセンス切られた三陽商会の諸店舗は
    バブル期の顧客に頼って新規開拓を怠っていた。

    販売員たちは
    自分の担当する顧客が自分の売り上げ予算を賄ってくれるから
    わざわざ新規のお客様を掴もうとしない。

    その顧客たち店から離れたら
    新規を育てて来なかった店舗はそりゃ先細るしかないよ。

    老舗が陥る落とし穴。


    up34
    down7
    2019/10/10 07:45
  • NY9cf612cafb8b
    今の時代、個人的に好きなブランドとかを抜き、一般的な流れでいうとUNIQLOみたいファストファッションブランドか、ヴィトンのような高級ブランドの二極化になっていると思います。
    そうなると百貨店では新規顧客を得ることが減っていき、撤退を余儀なくされるでしょうね。
    VCRリサーチよるとネットでの買い物も増えたことが要因の一つかもしれないですね。決済方法の増加、写真のクオリティ、全てにおいてネットでのサービスが飛躍した影響の受けているのでしょう。
    up27
    down5
    2019/10/10 10:53
  • ぼんさんbf3ddff12842
    大量閉店(合理化策)だけでは評価されない。同時にEC事業への投資による売上確保等の施策を立てたことがマーケットの高評価となった。今後、今以上のスピードで少子高齢化は進行する。高齢者層は高い服を着て行く機会がほとんど無いので買わない。若年層は賃金が実質目減りしているので、金銭的余裕がなく、高い服が多い百貨店には行かない。だとすれば、百貨店業界の今後の見通しは暗い。つまり、オンワードは、大幅な収益元の転換を図ったということでしょう。上手くいくと良いですね。
    up17
    down1
    2019/10/10 10:56
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