公正取引委員会は飲食店情報サイトの実態調査を始めたと9日明らかにした。サイトの具体名は明らかにしていないが、「食べログ」や「ぐるなび」など大手が対象のもよう。掲載店がサイト運営会社に年会費を支払えば「口コミ評価」などその店のサイト上の評価ポイントが自動的に上がるといった状況が懸念されている。独占禁止法上の「優越的地位の乱用」にあたる事態があるかを調べる。
公取委の山田昭典事務総長は9日に開いた記者会見で、実態調査を始めたと明らかにした。山田事務総長は「有力な広告や集客手段となっているサイト側が飲食店に不当な条件を押しつけていないか実態を把握したい」と述べた。
公取委によると、9月から対象の情報サイトの運営企業とサイトを利用する飲食店に対し、調査票の発送を始めているという。飲食店を恣意的に評価しているかに加え、他サイトへの掲載を制限したり、掲載順の操作などで不利な契約条件を押しつけたりしていないかを調べるもようだ。
ぐるなびは9日「公取委からの調査を受けているのは事実。掲載順について恣意的な操作をしていない」とコメントした。食べログを運営するカカクコムは「調査についてはコメントを控えたい」としつつ、サイト上での店舗評価の運営については「有料サービスの有無が点数に影響することは一切ない」と説明した。
もっとも、食べログに自店の情報を載せている大手居酒屋チェーンは「利用者のコメント評価はいいのに一定以上の点数にならない」との不満を漏らす。実態調査が急がれる。
公取委はデータを武器に消費者や取引先に対して優位になりやすいプラットフォーマー企業への監視を強めている。4月には旅行予約サイト「楽天トラベル」や同「エクスペディア」が自社サイトで最安値を掲載するようホテルなどに求めた疑いがあるとし、立ち入り検査した。