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Photographer: Tom Szczerbowski/Getty Images North America

富裕層が香港から海外に脱出-最も移住したい場所は米国にあらず

  • 米国が避けられている理由は移民に反対する政治的発言、銃犯罪など
  • 多くの人が香港を去っているが、米国は「第1の目的地ではない」
TORONTO, CANADA - MAY 3: An aerial view of the Toronto city skyline and downtown buildings and Lake Ontario in the background on May 3, 2017 in Toronto, Ontario, Canada. (Photo by Tom Szczerbowski/Getty Images) *** Local Caption ***
Photographer: Tom Szczerbowski/Getty Images North America

香港で今夏に抗議デモが激化する中、ロサンゼルスの弁護士バーナード・ウォルフスドルフ氏は、米国に「新たな移民の波」が押し寄せると予想した。そのため中国に出張し、香港の移民アドバイザーと面会した。

  アドバイザーらは期待し過ぎないよう同氏にくぎを刺した。

  「私が聞いた話によれば、多くの人が香港を離れるものの、米国は第1の目的地ではない」とウォルフスドルフ氏は話す。「現時点で米国は最も望ましい選択肢と見なされていない」と述べた。

Hong Kong Shuts Down As Train Services Remain Suspended Following Protests

中環(セントラル)地区のバス停前で警戒する機動隊(10月5日)

写真家:ジャスティン・チン/ブルームバーグ

  世界で情勢が悪化すると、米国は特に富裕層にとって伝統的に安全と安心を提供する避難先としての役割を果たしてきた。米国に移住している香港市民の数は既に中国本土以外では最多である上に、最近のデータはさらに多くの人が香港を去ろうと考えていることを示唆している。公式データによると、重要な海外移住書類である「善良な市民権」文書の申請は過去1年間で54%増加している。

  ただ、米国での移民に反対する政治的発言や、注目を浴びる銃撃事件の発生、近く予定されている投資家向け査証(ビザ)プログラムの改定を受け、香港の海外移住希望者は、オーストラリアやカナダ、シンガポール、台湾など他の選択肢を検討している。

  香港で抗議運動が始まる前でさえ、米国は魅力を失いつつあった。香港中文大学による昨年12月の調査によると、香港市民の3分の1が海外移住を検討していると回答。最も人気のある目的地はカナダとオーストラリアで、回答者の割合はそれぞれ少なくとも18%だった。その次が台湾の11%、シンガポールの5%。米国が第1希望との回答は2.9%だった。

Number of Hong Kong immigrants living in various countries

Source: United Nations Population Division

原題:For Anxious Hong Kong Elite, the U.S. Isn’t the Top Escape Route(抜粋)

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