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教員間の暴行・暴言問題について会見で説明する仁王美貴校長(右)と神戸市教育委員会の担当者=9日午後、神戸市役所(撮影・斎藤雅志)
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教員間の暴行・暴言問題について会見で説明する仁王美貴校長(右)と神戸市教育委員会の担当者=9日午後、神戸市役所(撮影・斎藤雅志)

 4時間にも及ぶ会見で浮かび上がったのは、教育現場とは思えないハラスメントの数々だった。神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の20代教員4人が、同僚の先輩4人から継続的に暴行や暴言を受けていた問題。校長ら管理職は加害教員に指導を重ねながらも十分に対応せず、若手教員への行為は深刻さを増していった。会見に出席した仁王美貴校長(55)は「認識が甘かった。私の管理監督責任」とうなだれた。

 神戸市役所の会見室には約50人の報道陣が集まった。仁王校長は冒頭、市教育委員会の担当者と深く頭を下げて陳謝。加害教員について「教員として、人として許されるべきではなく、東須磨小の子どもの前では指導させない」と言い切った。

 会見では、加害教員がたびたび職員間で問題を起こし、管理職から指導を受けていた実態が明らかになった。だが、市教委に具体的な報告はなく、管理職も厳しく追及することはなかった。

 市教委によると、2018年度には加害教員の一人に、女性教員へのセクハラや若手教員をやゆするあだ名で呼ぶなどの行為があった。19年2月にも、前校長に「職員室で若手教員へのいじりが度を過ぎている」という訴えがあった。

 このため前校長は加害教員らを指導。ただ、暴行や暴言は収まらず、前校長は市教委に「詳しく聞き取っておらず、認識が甘かった」と釈明したという。一方、この前校長を巡ってもパワハラ相談があったことが明らかになったほか、後任の仁王校長は加害教員への指導について「前校長ときちんと共有できていなかった」と述べた。

 今年4月に東須磨小の教頭から昇任した仁王校長は「職員室内の人間関係が課題だと思っていた」と明かし、職員会議などで注意喚起を繰り返したと説明。7月には被害教員から暴行や暴言について相談を受け、加害教員4人を指導した。

 だが、市教委には「職員間のトラブルがあり、指導した」と報告しただけで、具体的な内容には踏み込まなかった。結局、この被害教員は加害側から「なんで自分が呼ばれて指導されなあかんねん」などと言われ、2学期から勤務できない状況に陥った。

 市教委は問題の全容解明に向け、弁護士などを含めた調査組織の立ち上げを検討している。(井上 駿、上杉順子、杉山雅崇)

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