FC2ブログ
FC2 Analyzer

読めないニックネーム(再開版)

世の中の不正に憤る私が、善良かもしれない皆様に、有益な情報をお届けします。単に自分が備忘録代わりに使う場合も御座いますが、何卒、ご容赦下さいませ。閲覧多謝。https://twitter.com/kitsuchitsuchi

09 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

気象兵器研究を含むベーコンの計画書『ニュー・アトランティス』 (新アトランティス)。考古学的にアトランティスを扱う、ねこたオススメ漫画『イリヤッド』。アトランティス=フェニキア説 

新アトランティス(ベンサレム=ベツレヘム+エルサレム。結社の本部)の現状は
インドに伝道にいった説があるバルトロマイ(イエスの十二弟子)の伝道でクリスチャンになった
ユダヤ人、ペルシア人、インド人が作ったと書いてあってクサw

作者は
ユダヤ教(外面)+
ペルシア・インド思想(内面)
=キリスト教を知っていたのでは?

ベーコンのユートピア小説の新アトランティスでは
理想の学術機関が「ソロモンの館(Salomon's House)」。
科学技術の発達した理想郷。
「結社員よ、この本にあるものを作れ!」という
指令書にして予定表。

川西進 訳『ニュー・アトランティス』 岩波文庫 2003年


岩波文庫で80ページ程度。解説を含めても大変薄い本であり
本当にH(ヘルメス、フクロウ)なので大変興奮した。

解説
p.110から
遠くはプラトンのアトランティス神話をまねて
新しいアトランティスであるベンサレムの島を大洋のまっただなかにある孤島と設定し
近くはモアの『ユートピア』、
カンパネッラの『太陽の都』と同様に
ヨーロッパの航海者が偶然にその孤島に辿りついて理想社会を見聞するという
架空の物語とした。
『太陽の都』は1623年フランクフルトで出版された。
ベーコンとドイツの間には
プファルツ選挙侯に嫁したジェイムズ一世の皇女エリザベスとの親密な交わりを軸とする
太いパイプがあったが
ベーコンが『ニュー・アトランティス』執筆時にこれを読んでいたかどうかは微妙である。
スペディングの推定のように新アトランティスの執筆年代を
1624年とすれば読んでいた確率は高くなる。

(選挙侯=選帝侯)

新アトランティスの及ぼした影響は広く、深く、
今日にまで及んでいる。
出版されてすぐに西欧世界の学術公用語であったラテン語を初め
各国語に訳され、
「サロモンの家」の構想は早くも
1660年のイギリスの王立学士院、
1666年のフランス科学協会の設立を促し、
ヨーロッパ諸国の学問研究の組織かとその成果を
社会に還元する体制の整備に寄与した。

(666w
科学研究は薔薇十字思想の反映)


生態研究のための動物園、植物園は十七世紀、
すでに現実のものとなりつつあったが、
食品研究所、光学研究所、音響研究所などは時代に先んじ、
山地に地中深く穴を掘って大気現象を観測する装置は、
今日の宇宙素粒子研究施設の先駆けとさえ思われる。

実現計画、予定表だから先駆けなのは当然

廃棄物を燃料に変える装置、
健康食品、筋肉増強剤などのアイディアも豊富である。
しかしこれら文明の利器の予言にも増して強い印象を与えるのは、
これらの知識が宗教的な秘儀を授けるように伝えられている
ことである。
サロモンの家の長老は語り手である「私」一人を相手に、
密室で、
「神と人々との愛の故に」研究所の実情を語る。
それは科学技術の発達による恩恵と共に
それに伴う危険を知っているからであろう。
研究員は、ときに政府に対してさえ秘密裏に、
発明や実験を行う。
彼らはただの自然科学者ではなく、
自ら行っていることの善悪の判断を下すことのできる賢者でなければならない。
その判断の基準は研究所で毎日行われる神への礼拝と賛美

「われらの労働に光を与え、
それを聖かつ善なることに用いられるよう神の助けと祝福を乞う」(本書六五ページ)
祈りのうちに示されることになっている。
サロモンの家が
六日創造学院
(The College of the Six Days' Works)
という
聖書に基づく名前をもっているいわれも
そこにあった。
サロモンの家すなわち賢者の家は
神の創造のみわざを学ぶ学校であり
賢者とはまた信仰者でもあった。

ベーコンの有名な言葉に
哲学を少しばかりかじると、
人間の心は無神論に傾くが、
哲学を深く究めると、再び宗教に戻る
」というのがある。
(『学問の進歩』第一巻 一・三、
『随想集』無神論について)。
スマイルズの『西国立志編』の訳
(1871年(明治4))によってベーコンを初めて日本に紹介した人と思われる
中村正直もこの言葉を記憶に留めていた。


冒頭
私(語り手)たちは中国と日本をめざして出帆した。

(舞台となる島にて)
p.8から
古代ヘブル語、古代ギリシア語、
正確な公用ラテン語、スペイン語で
上陸は許されず、滞在延長許可のない限り、
十六日以内に沿岸から退去するように準備せよと書かれた巻物。
その間、水、食糧、病人への援助、船の修理など必要なものを
書面で提出すれば、恵みにかなうものは与えるともある。
その巻物は
小さな紙で
羊皮紙よりは幾分黄色っぽく、
象牙の書板のように光沢があるが、
もっと柔らかでしなやかだった。

(スペイン語があるのはカバラがらみ?
英語がない)

p.9
この巻物は、
広げず下に垂れている翼のある天使(ケルビム)と、
その傍らに十字架を描いた図柄の刻印(2)で封されていた。”

p.9注釈
天使(ケルビム)は出エジプト記など旧約にしばしば記される翼を持つ半人半獣の存在。
イエイツはこの図柄が薔薇十字団の文書のエンブレムと共通していることを指摘し、
ニューアトランティスと薔薇十字団との密接な関係を論じた。

(イエイツ、ザ・ロージクルシアン・エンライトゥンメント。
これ邦訳あるはず)

p.16
ターバンは白で、
上に小さな赤い十字架の印がある。
服は青。
これを着ている人は異人館の館長にして
キリスト教の牧師の本職。

p.19
島の名前はベンサレム

p.20から
(このベンサレムにキリスト教を伝えた使徒は誰で、
どのようにしてその信仰が受け入れられたのかという質問に対して)

われらの救い主の御昇天の約二十年後、
夜中に、沖合一マイルほどのところに
円筒形の大きな光の柱(出エジプト記13章21節参照)が発生し
てっぺんに大きな光の十字架。
船に乗って現場に近づいた。
柱から五十メートル余りの所まで来ると、
金縛りにあったかのようにそれ以上進めなくなってしまった。

舟にの乗っている人の中に
「サロモンの家」の会員である賢者の一人がいた。
サロモンの家の別名は学院。
学院はこの王国の叡知の中心。
この賢者が祈り終わるとこの賢者が乗る舟だけは拘束を解かれた。
彼は舟で柱に向かった。
たどり着く前に光の柱と十字架は砕け、
あたかも一面の空の星となって飛び散った。
後には、
ただ香柏の小さな櫃(ひつぎ)か箱のようなものが一つ、
まったく濡れずに乾いたまま水の上に浮いていて、
その箱の手前側には棕櫚の小さな緑の枝が一本伸びていた。
賢者がうやうやしくそれを舟に引き入れると
箱が自然に開き、
中からどちらも羊皮紙で書かれ、
上質の麻布に包まれた一冊の本と手紙が現れた。
本は旧新約聖書の正典のすべてのほか
ヨハネ黙示録その他、
当時まだ書かれていなかったはずの新約聖書のいくつかの書も収められていた。
手紙には
「いと高き者の僕にしてイエス・キリストの僕なるわれバルトロマイ(4)、
栄光の幻のうちに現れたる天使の御告げにより、
この櫃を大海原に委ぬ。
(以下略)」

「この書物にも手紙にもあの使徒たちが
習わずして種々の言葉を語る能力を与えられた奇跡(使徒言行録2章4-11節参照)と
同じ大いなる奇跡が働いていたのです。
当時この地には原住民の他に
ユダヤ人、
ペルシア人、
インド人がおりました
が、
誰もがこの本と手紙を、
自分の母語で書いてあるかのように読めたのです。
かくしてこの地は
(旧世界の遺れるものがむかし洪水から救い出されたように)
一つの箱舟により、
使徒聖バルトロマイの奇跡的な福音伝道を通して、
不信仰から救い出されたのでした」
(当時英国ではヨハネ黙示録は正典ではなかったの?

ベツレヘム+エルサレムだろう。
原文では
Bensalem.

サロモンの館は原文では
Salomon's House (or Solomon's House)。

ベイコンのユートピアの統治体制は王政。

もともとユダヤ教徒、バラモン・ヒンドゥー教徒、ゾロアスター教徒がいたベンサレムが
キリスト教のユートピアになる。
キリスト教はインド・イラン思想を中核にユダヤ教で外面を覆ったものだと
ベイコンは知っていたのでは?



p.22注釈
(4)
イエスの十二弟子の一人バルトロマイは
エウセビオス『教会史』によるとインドに伝道にいったという。

(インドへの興味はバルトロマイがらみだろうが
調べてみるとキリスト教、特に異端派の元ネタの一つがバラモン教
(とインドに近いペルシャのゾロアスター教)だと気づいたのだろう。
それが神智学がエジプト重視からインド重視に変わったことなどに繋がるだろう。
ゾロアスター要素が濃いと一神教正当多数派、
バラモン要素が濃いと一神教異端少数派。
バラモン(デーヴァ文明)vsゾロアスター(アスラ自然)の戦いの変形が
今も続いている。

キリスト教が伝わる以前のベンサレムには
ユダヤ人(ユダヤ・カバラ)、
ペルシア人(ゾロアスター・イスラーム)、
インド人(バラモン・ヒンドゥー)が住んでいた。
現在(作中時空)では住んでいるか不明。

エジプトとギリシャが入ってないことに注目。

当時からベーコンはキリスト教のルーツを知っていた疑惑



p.31から
約千九百年前にこの島を治めておられた王を、
私どもは誰にもまして敬愛しておりますが、
といっても盲目的に崇拝しているのではなく、
人間ではあっても、神の御用をされた方だからです。
ソラモナという名の王様で、わが国の法を制定された方として尊敬されています。

(どうみてもソロモンが元ネタの名前)

かの王の優れた業績の中でも、
特に抜きん出て傑出したものがあります。
それは私どもが「サロモンの家」と呼んでいる教団、
あるいは学会の創設です。
これは(思うに)世界最高の学府であり、
この王国の光明
と言うべきもので、
神のみわざと被造物の研究のために捧げられています。
創設者にちなんで名づけられたのだから、
正しくは「ソラモナの家」とすべきだと言う説もありますが、
記録によればいま呼ばれているとおりに記されています。
ですから、あなた方が良くご存じで、
私どもも知っているユダヤ人の王の名(ソロモン)を採ったのだと思います。
私どもは、あなた方の持っておられぬ彼の著作の一部を持っております。
『博物誌』がそれです。
古文書にはこの教団ないしは教会が時には
サロモンの家、
時には「六日創造学院」と記されていますから、
わが大王は神が世界とそのなかのすべてのものを六日間で創造されたことを
ユダヤ人から学んでおられ、それ故に
すべてのものの本性を発見
(それによって神は創造のみわざの栄光をいっそう顕し、
人はすべての被造物をいっそう実り豊かに活用できるように)するための施設を
第二の名前でもお呼びになったのでしょう。

APSの元ネタみたいな組織だ。

666はゴッドが創造に費やした日数6の強調の意味も込められる。
日月が創造されるまでにどうやって日にちを数えたのだろう?
また聖書の矛盾を発見してしまった。



王が全国民に王国外の地域に渡航することを禁止された際、
次のような布告を併せて発せられました。
十二年ごとに、
わが王国から二艘の船を公開に出す、
それぞれにサロモンの家の会員ないしは兄弟三人の派遣団を乗せ、
目的国の国情、民情、また特に世界の学問、芸術、工業、発明に関する知識を集め、
あらゆる種類の書籍、道具、見本を持ち帰らせる、
船は兄弟を上陸させた後、すぐに帰国し、
兄弟は次の派遣団がくるまで滞在する、といった制度です。

ただ神が最初に創造されたもの、すなわち「光」(創世記)を求めて、
世界各地に育つ光(10)を得るために通商を行っているのです。

注釈10
ベーコンは神が感覚と理性の光を創造し、
全地に行き渡らせ、以後も選ばれた人々に光を吹き込んでいると考えている。

12
ユダヤ人は預言者エリヤが救世主の先駆けとして再臨するものと信じていた。
マラキ書3章23節、マタイ福音書17章10節参照。

(結社と宗教は光が好き。
「光=イルミ」論法は意味が広すぎて無内容なのが多いので罠!



p.37から
家族の宴という催し。
ターサンと呼ばれる一家の長。
ターサンは息子たちの一人を選んで同じ家に住まわせ、
以後その子はあとで述べる理由によって「葡萄の子」と呼ばれる。

(儀式の描写があるが大部分は割愛。
(おそらく薔薇十字かメイソン系の儀式が元。
ベイコンが体験したやつでは?)

タラタン(式部官のような役)が
両脇に二人の少年を従えて現れる。
一人は例の光沢のある黄色の巻紙を持ち、
一人は長い袖、あるいは茎のついた、黄金の葡萄の房を持っている。
この巻物は王の勅許状で
恩給、多くの特権、免除、栄誉を家父長に授与する旨が記されている。

(式部官はもと宮内省の式部職の職員で祭典・儀式・接待などを担当)

式部官はもう一方の少年から茎も実も金製で
実は琺瑯による彩色が巧みに施されている葡萄の房を受け取る。
家族の中で男の方が多ければ、葡萄は紫色で、てっぺんに小さな太陽が付いており、
女の方が多ければ、黄緑で、上に三日月が付いている。
実の数は一族の総人数と同じである。
この金の葡萄の房も式部官はターサンに手渡し、
ターサンは直ちにそれを同じ家に同居するよう先に選んだ息子に渡す。
彼は今後、父が公の場に出るときにはいつも彼の前に立ち、
その房を栄誉のしるしとして掲げることになる。
それ故に葡萄の子と呼ばれるのである。

この式が終わると父、ターサンはしばらく退出し、
やがて再び現れると宴会となる。
彼の子孫はどんな続き柄であれ身分であれ
サロモンの家の会員でない限り、
彼と席を同じくすることはできない。
彼に給仕するのは自分の息子たちだけ。



p.50から
サロモンの家の長老と私(語り手)との私的な話。
長老はスペイン語で次のように語った。

(カバラの発展でスペインは重要地域)

「わが子よ、神の祝福のあらんことを。
私は私の持っている最大の宝石を与えよう。
すなわち、神と人々の愛の故に、
「サロモンの家」の実状を語り伝えよう。
子よ、「サロモンの家」の実状を知らせるのに、
私は次の順序に従おう。
第一に学院設立の目的を述べる。
第二にわれわれの活動のために設けられている諸設備と器具、
第三にわれわれ研究員に委ねられている種々の業務と役割、
そして第四にわれわれの守る法令と儀礼についてである。

わが学院の目的は諸原因と万物の隠れたる動きに関する知識を探り、
人間の君臨する領域を広げ、可能なことをすべて実現させることにある。

広大な館を所有し、そこでさまざまな大気現象、
雪、雹、雨、
水ならぬ液体の雨、
雷、稲妻等を人工的に作り出す。

(人工気象操作技術。
これ以外にも様々な研究施設と研究内容が紹介される)


工芸に関しても、あなた方の持ち合わせぬさまざまな技術と製品を持っている。
紙、麻布、絹、織物、見事な光沢のある精巧な羽毛細工、
優れた染物等々である。
また庶民に使われる物だけでなく、
一般には使われない品物を作る工房がある。
いま述べた品々の中、
王国各地で使われるようになった物も多いが、
われわれの発明によって作られた品である以上、
見本、原型としてここに保存しているのである。

(サロモンの家で生まれた技術の品がこの王国の島の外に輸出されたりしているのだろう)



動力研究所を持っている。

戦争のための火器その他の兵器、
各種の機械もあれば、
新しく混合し、合成した火薬、
水中でも燃える消火不可能な燃料(27)、
観賞、実用、両方に供する花火類もすべてある。
鳥の飛翔を模倣し、
ある程度空中を飛ぶことができるようになった。
水中を進んだり、荒波にも耐える大小の舟、ボート、
遊泳帯や浮袋もある。
さまざまの精巧な時計、
その他同様の往復運動や、
永久運動をする物もある。

(このあたりの翻訳は発明の歴史を学んでから出ないとできないな。
当時登場していないものは訳語に使用不可。

永久運動って永久機関だろう。カルトが大好きな永久機関。
カルトがテスラ好きなのも永久機関がらみ)

「サロモンの家」の研究員の個々の職務に関しては、
他国人の名を名乗り(わが国の国籍は隠す故に)諸外国に渡り、
外国で行われている実験に関する書籍、
要約、模型を持ち帰る者が十二名。
彼らをわれわれは「光の商人」と呼ぶ。

(光大好きだな。
光が嫌いな宗教は少ないだろう)

会員全体による討議を何度も重ねた後、
これまでよりもさらに自然の奥深くまで照らし出す、
より高度な新しい実験の企画を任務とする者三名を選ぶ。
彼らを「灯火」と呼ぶ。

発明と実験のうち何を公表し、
何を公表しないかを相談し、
秘密を守るのが適当と判断したことについては、
あるものは政府に伝え、
あるものは伝えないが、
いずれの場合も全員が秘密の誓約をする(31)。

私たち一堂に約二千ダカットの価値がある贈与金をあてがってくれた。
彼らはいかなる場所いかなる場合にあっても惜しみなく与える人だからである。
〔残りは未完(34)〕


New Atlantisは未完なので短い。
p.66で終わり。

未完だから王国なのに王が登場しなかったのか。
ベイコンにとっては王よりも
薔薇十字団+メイソンがモデルの科学研究結社の方が大事だとよくわかる。
知は力なり!


p.91から
注釈(27)
原語はwildfires
『森の森』参照。

(31)ベーコンは科学者の発明するもののなかには
危険なものがあるかもしれないと危惧し、
その実例としては『森の森』で消音火薬、有毒飼料を挙げている。

(34)ウィリアム・ローリーの注。
初版本を初め多くの『ニュー・アトランティス』の刊行本は、
このあと以下の研究課題のリストが付せられている。
表題の「自然の大いなる業」(magnalia naturae)は
「神の大いなる業」(magnalia Dei)すなわち奇跡とは
区別されるべきものである。

(あくまで被造物=自然の業)

  自然の大いなる業、人類に益となるものを中心に

寿命の延長
ある程度の若さの回復
老化の遅延

不治とされる病の治療
苦痛の緩和
不快感の少ない楽な下剤
体力、行動力の増進
苦しみ痛みに耐える力の増進
体質、肥満体、痩身体の変更
身長の変更
容貌の変更

知的能力の増進と高揚
生体の転換
新種の創造

異種間の接木

戦争、毒薬などの破壊道具
精気の活性化とその良好状態の保持

他人あるいは自分の身体に影響を及ぼす創造力
成熟の促進
清澄化の促進
煮出しの促進
発芽の促進
豊かな堆肥による土地の肥沃化
大気圧の影響と人工嵐
硬度、柔軟度などの大変更
水分を多量に含む原料から油性、脂肪性の物質への変化

現在用いられていない材料から新食料の抽出
合成繊維と紙、ガラスなどの新素材の製造

自然な方法による予知

感覚の錯誤
より大きな快感
人工の鉱物とセメント

(結社員よ、これらを研究せよリスト。
現在、かなり達成されている)



『フランシス・ベーコン伝』
ウィリアム・ローリー


注(1)
ローリーはベーコンの専属司祭 兼 文筆助手。
1621年のベーコン失脚後も二人の信頼関係は揺るがず。
1626年のベーコンの死後、
未完の著作と英語の著作のラテン語訳の出版に努め、
1627年に
『ニュー・アトランティス』をベーコンの最後の著作となった
博物誌『森の森』(Sylva Sylvarum)と併せて出版。

(この伝記はベーコンを褒めまくる内容なので注意)

p.68
フランシス・ベーコン卿が
初めてアリストテレスの哲学に嫌悪を覚えられたのは
(卿御自身が私に語られたところによれば)、
大学在留中、十六歳の頃であったという。
アリストテレスが哲学者として無価値だというのではない。
むしろあらゆる高き資質を備えていることを認められた上で、
その方法が実りなきものである、
ただ論争と抗弁の術として優れるのみで(と卿はよく言われた)、
人間の生活を益するものの生産――
それこそ卿が死の日に到るまで心に掛けておられたことであった――
をもたらさぬ哲学である故に好まれなかった。

(ほう、アリストテレス批判か)

p.78
何人もの人並ならぬ才能を持った人々が、
卿の食事に招かれるときは、
筆記帳を用意しておくと言っていたのを知っている。

p.82
イタリアから故デヴォンシャー伯、
後のキャ〔ヴェ〕ンディッシュ卿(32)によせられた手紙によって読者諸氏に味わっていただきたいと思う。

注釈(32)
キャヴェンディッシュはベーコンと親しかった思想家トマス・ホッブズを家庭教師とし、
彼と共に大陸旅行をし、
後にジェイムズ一世の側近となった。
なおベーコンをいち早くイタリアに伝えたのは
ベーコンの年若き友人でカトリック教徒に改宗した
トウビー・マシュ―で
1618年『随想集』と『古代人の英知について』をイタリア語に訳し
トスカナ大公コジモ・デ・メディチ二世にベーコンを称える言葉を添えて献呈した。
(メディチ家にまで伝わっている)


p.84
確かなことは
卿が御自分の著作で大いに推賞された硝石の服用を実践されていたことである。
温かい薄いスープに硝石を三粒ほど入れて、
亡くなられる直前まで三十年間毎朝飲んでおられた。

p.86
たとえ卿の肉体は滅びても、
卿の思い出と著作は必ずや生き続けることは疑いなく、
たぶんこの世の続く限り永らえるであろう。


(今のところその通り。

硝石を食べる習慣があったという衝撃的記述。

そういえばFGOは英国系大好きなのにベーコンが登場しないな。
薔薇十字系なのに。
2部5章はスピランティスなので
フェニキア系のネタだけでなく、
高度な科学がらみでベイコンが出るかも。
シェークスピアの正体というか構成要素の一人がベイコン説があるから
シェークスピア・オルタ(ベイコン)で出たら面白いなー。

でも
学問の壮大な体系化を構想していて
体系化の構想はフランス百科全書派にも引き継がれるので
フランス系百科全書派が嫌いな型月は登場させないかな。
英国(正確にはスコットランド系)系百科全書派系の『赤毛連盟』を書いた
ドイルは超優遇するから
いかにフランス系嫌いかわかる。

以下の要素が込められるのでは?

法で縛る、裁定を下す(法廷弁護士、法官だったので)
イドラ(幻惑の術かつ自身に幻惑が効かない)
演繹法的思考
機械の体(高度な科学)
「知識は力なり」(Ipsa scientia potestas est)
(膨大な知識データベースを持つ。
機械の体だし)

薔薇と十字

広げず下に垂れている翼のある天使(ケルビム)と、
その傍らに十字架を描いた図柄の刻印

ターバンは白で、
上に小さな赤い十字架の印がある。
服は青。

(硝石なので)火薬を生み出せる
好物はベーコン。
でも肉に何か詰めたものは嫌い(死因由来。
1626年に鶏に雪を詰め込んで冷凍実験を行ったせいで悪寒にかかり亡くなった。)。

薔薇十字系だし
ラスボスクラスだな。

硝石といえば火薬で、
火薬がらみの偉人といえばこちら。




サーヴァントにしたら凶悪だな
農業つまり作物生成と毒ガス製造。

峨骨@Chimaera925
天然の硝石を確保しなくても、火薬の原料が大量に生産できる画期的な発見だった。
世界大戦の死者が拡大したのもハーバー・ボッシュ法によって火薬が大量生産されたから。
そして武器も改良されて大型化した。毒ガスもハーバー・ボッシュ法で生産されたな。
ハーバー・ボッシュ法は戦争や戦略を変えた。



 

 
『イリヤッド』

アトランティスが題材の作品で真っ先に思い浮かんだ作品をついでに紹介。
ねこた氏が昔紹介していたオススメ漫画が
長崎氏が写楽がモデルの名義で原作を担当した『イリヤッド』が
スピランティスな話で、使命を果たした血社員を「修道士」と呼ぶらしい。
(私は読んでないし
だいぶ昔にねこた氏がオススメしていた放送を聞いたり
今は消えている彼女の紹介記事(後述)を読んだだけなので間違っているかも)。

『イリヤッド』のウィキを見ると空想樹生えるw
ステイナイトを想起。
『イリヤッド』は2002年11号より連載が開始され、2007年13号で完結。
ちなみに運命ステイ夜騎士は2004年発売。

以下、ウィキより
”入矢修造(いりや しゅうぞう)
アーサー王を専門とする考古学者だったが、
アーサー王の墓をめぐるスキャンダルで考古学界を追放され、
東京都文京区にある古道具屋「入矢堂」の主人をしている。
考古学界を追放されたさいに、
入矢の見解を支持して励ましたのが、ユリの父エンドレであった。
ユリの誘いにより、アトランティス探索に乗り出す。


ユリ=百合=フルールドリス、フランス王家

”エンリケ・グレコ
「山の老人」の幹部。スペイン出身で、
元バチカン考古学研究所副所長だったが、破門された。
「山の老人」は、紀元前より存在し、禁忌とすべき人類の秘密を隠蔽し続けるために、
アトランティス文明の痕跡の抹消・アトランティス探索者の殺害を図る秘密結社である。”

カトリック系の考古学研究所(宗教が考古学のスポンサーってこと)所属者が破門を食らう。
イスラーム系(反カトリック)の名前の、アトランティスの秘密を守る結社員ねえ。

以下の引用に、
ねこた氏のおすすめの陰謀漫画『イリヤッド』記事が含まれている。

聖書のユダヤ人のモデルがフェニキア人なのを隠す為に、
フェニキア文字を古ヘブライ文字と名付けた。
民主制というのは、もともと植民地統治の一形態。

塚田孝雄『ギリシア・ローマ盗賊綺譚』 中央公論新社 (2000/03)
http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-51.html
”塚田孝雄『ギリシア・ローマ盗賊綺譚』 中央公論新社 (2000/03)

・盗賊が自分たちの行為を犯罪だと考えるようになったのは、
東洋でも西洋でも比較的新しいことである。「盗」や「賊」の文字には本来、破廉恥のニュアンスは少なかった。
・インドは宗教・道徳の世界と、実社会とははっきり区別する現実的な考えをしていて、
国王たるものは百般の知識のほかに「盗賊の術」もマスターしてこそ、よい政治ができるものと考えられていた。
(原始仏教が国家は税金などと称して泥棒をすると批判した所以の一端でしょう。)

・日本でも盗賊という行為にはあまり罪悪感が伴わなかった。
苛斂誅求(かれんちゅうきゅう。「斂」=収,「誅」=責)と戦う盗賊(重税に苦しむ民衆にとっては味方)――暴力団すれすれの有力者で、武士の旗頭となったりする――がいた。
苛烈な支配を行う官軍と戦うのだから良心の呵責なんて生じえない。
『今昔物語』は平安末に纏められた説話集だが、泥棒でもなんでもないのに、
豪胆で機転の利く人物や一癖も二癖もある奴を
「極キ盗人(イミジキ ヌスビト)」=「大した曲者」と呼ぶ例が頻発するなど、完全にマイナスの意味ではなかった。

・メフィストフェレス「海賊と貿易と海軍は三位一体だ」(ゲーテ『ファウスト』)
(海賊=(奴隷+麻薬)貿易=海軍。
海賊と海軍の違いは権力者の許可証があるかないかで決まる。
ゲーテはメイソンメンバー。
英国はあまりにも奪いまくったので、
それを見せびらかす悪趣味の塊=大英博物館まで作っているね。
海賊王の思想がよくわかります。)

・漕ぎ手奴隷に対する漕ぎ方の指導にはコリントスのヴェテランや、
パレスチナの交易都市シドンやテュロスのフェニキア人の専門家が当たった。
漕ぎ手の奴隷たちはほとんど丸裸で、
鎖や革ひもでベンチに繋がれ、
音頭取りが鉄板もしくは木板の上に打ちおろすハンマーの音に合わせて、
渾身の力を込めて漕いだ。疲労して調子を外したり、
櫂の水深が浅くなったりすれば監視員が鞭で罰を加え、
それでも反応が鈍ければ、傷口に粗塩をすりこんだ。
糞便垂れ流し、虱の発生、漕ぎながら死ぬ奴隷、
この世の地獄である。
酢やワインを飲ませることもあった。
漕ぎながら死んだ奴隷は鎖を外して海に投げ込み、予備奴隷と交換するだけである。
戦争での漕ぎ手奴隷は重要であり、船が沈めば奴隷は繋がれているので逃げられずに溺死する。
ペロポネソス戦争での漕ぎ手のほとんどは奴隷だった。
ヘロドトスやトゥキディデスなどの歴史家の奴隷に関する記述はあまり信用できない。

・商業第一主義のフェニキア人は、パレスティナの本拠が小さくて狭く、
人口も少なく、次々に興起するアジアの大帝国の影響を蒙り易かったことから、
母市と植民市との連携、協調、相互援助を重視した。

・パレスティナのような人種の坩堝で、
諸民族の移動も頻繁で混血も進みやすいところで、
フェニキア人という民族の原住地を一か所に特定しようとする説には無理が多い。

史実の伝えるフェニキア人の身体的な特徴はアッシリア人やユダヤ人(そもそもモデルがフェニキア人なのでは?)に似ていた。大きく頑丈な骨格、筋肉は隆々としていて、ちぢれた顎鬚、房々とした頭髪で、
顔色は白皙であったが、やや血色は悪かった。
毛髪は一般に黒かったが、時には赤い者もいた。
フォイニクスの名前は肌の色から出たのではなく、
彼らの住む地方にはシュロの樹(フォイニクス)が生えているので、
住民もそう呼ばれるようになったのだと考える人がいる
(白皙って白人なのか色白の有色なのか。
日光に弱かったら航海に超絶不利だな。
色々な場所にいたのだから肌の色もまちまちだろう)。

しかし、潮風に曝されて海岸を縦横に航海する人は、
地肌が白かろうが黄色かろうがみな赤銅色に焼けているのが常であるから、
特に活躍の際立っているこの民族にフォイニクスの名称が与えられたのだ、とい考える余地もありそうである。
フェニキア人は陸上の交易も行い、北アフリカを東から西に横断している。
しかしやはり海上貿易の方が盛んで広域であった。
植民市はカルタゴだけは別格であったが、
大抵、母市の貿易中継基地に甘んじ、
専門の得意分野一つを守っていた(モノカルチャー経済みたいに逆らえなくする支配技術の側面もあるはず)。

例えば、キュプロスは銅山と木材、
キリキアとリュキアは木材だけ。
タソス(エーゲ海の最北、トラキア沖の島)は金鉱。
キュプロスのサラミスとキュテラはムラサキガイ。
サルディニアとスペインは様々な金属。
北アフリカは農産物と内陸貿易の中継点。
カッシテリデス諸島は錫。

フェニキア人はフェニキア以外の種族に対しては薄利多売を行って、
現地の産業を潰し、市場を独占するように努めた。
かつてマンチェスターやバーミンガムのマニュファクチュアや陶器業がアフリカやポリネシアの現地産業を破壊したのと同じ手口である(英国は先輩海賊のフェニキアから学びました)。
テュロスやシドンのような母市からは、
紅・青紫・紫紅などの染料、
色つき陶器、打ち出しの金属皿、
ネックレス、ブレスレット、
指輪、
鏡、香油壺など、
精巧な奢侈品が盛んに輸出され、現地の素朴な製品を駆逐していった。

・テュロスやカルタゴなどを始めとするフェニキア諸都市国家においては人間の犠牲が存在した。
当初は国家非常の際に限られたが、後にはエスカレートして、公的私的を問わず人身御供を、牛頭で両腕を広げたバアル神やモーロクの灼熱された金属像の腹中に投ずるようになった。
それも両親によって自分の幼児が、
特に長男と長女が、犠牲に供されることがごく当たり前のこととされた。
その際に親は涙一滴見せてはならず、
幼児も泣きださないように火口に投ずるまで頬ずりや愛撫を続けた。そして竪笛やドラムの騒音の引き起こす陶酔の内に、幼児は火口に吸いこまれていくのであった。

(フェニキアの母市は、イスラエルに近いからやはり聖書のユダヤ人のモデルはフェニキア人だね。
まあイスラエルの位置は昔は違う説もあるけど、どちらにせよ聖書のユダヤ教徒は実在しない。
バアル教徒の多神教ならいたはず。ヘブライ人は多神教で生贄教=よくある古代宗教でしょう。
モーゼが怒ったあの黄金の牛がバアルね。偶像崇拝禁止は、
像を作られると元ネタがばれるからだよ。ミトラやアフラ・マズダやアトンに似たものになるだろうからね)

・紀元前16~14ごろのエジプト碑文によると、
当時フェニキアがパレスティナ沿岸を占拠し、いくつもの都市がささやかに相互間での独立と平等を楽しんでいることが分かる。

・アレクサンダー大王(哲学者アリストテレスの生徒)に滅ぼされたテュロスは不死鳥のように蘇り、
シドンなどとともに大王の死後(前323)は
エジプトのプトレマイオス王朝や、
小アジアのセレウコス王朝に服属して活躍を続けた。
彼らの国土は狭く、人口も乏しかったが、
貿易帝国としての勢威は、ヒスパニア(スペイン)、ルシタニア(ポルトガル)を過ぎ、ジブラルタルの彼方にまで及んでいた。

ジブラルタル
=イベリア半島南端の港湾都市。1713年のユトレヒト条約以来、イギリス直轄植民地。地中海の西口として重要。スペインが返還を要求している。
古代はフェニキア、カルタゴ(アフリカ北部。フェニキアの植民都市)、ローマの植民が行われた。
4・5世紀の教父アウグスティヌスは初め、マニ教、やがて新プラトン哲学(特にプロティノス)に転じた後にクリスチャンになる。
アウグスティヌスは北アフリカ出身。カルタゴで修辞学を学んでいる。
キリスト教が異常までに性に厳しくなり、支配層がグノーシス主義(私が神。だけど代理人と言っておく)になったのはマニ教思想をアウグスティヌスが持ち込んだせいでしょう。

・大奴隷商人集団としてフェニキア人は、
船漕ぎ奴隷・農奴・鉱山奴隷・建設用奴隷などを捕獲・購入・供給を行った、
まさに海賊と貿易商人を兼業していた。

・奴隷を鉱山に送り込んで採掘させ続けるシステムを導入したのがフェニキア人であり、
シドンやテュロスの没落後に、
フェニキア人の鉱山を受け継いだカルタゴ人も鉱山奴隷使い捨てシステムを墨守し、
ローマ人も平然と鉱山奴隷を閉じ込めて死ぬまで酷使する経営を続けた。
エジプトと新カルタゴのどちらが先に開発したかは分からないが
、エジプトでは鉱山奴隷は鎖に繋がれ、
見張りには外国の傭兵が使われていて話しかけて仲良くなることも買収もできないようされていた。
(日本で防人を東北から連れてきたのは、言葉が九州の人と全然違っているから共謀できない、という都合があったんです)

おすすめの陰謀漫画
http://lakudagoya.exblog.jp/15771916
陰謀論でオススメの漫画は何か?と聞かれたら迷わず「イリヤッド」という作品を押します。
これはビッグコミックオリジナルで連載されていた漫画で、アトランティスを探すという考古学漫画なのですが、フツーアトランティスを探す漫画つうと、エドガー・ケイシー(エドガー・ケイシー財団はフリメの支援をもれなく受けてます)みたいな、アヤシゲなスピリチュアル馬鹿が主張しているような超文明だとか、SFみたいなトンデモなモノを想像してしまうかも知れませんがね、この作品は一味違うわけですよ。

考古学的な視点からアトランティスを見つけるモノで、
非常に現実的かつ説得力のあるアトランティス探求漫画なわけです。SFも超能力も出てきやしません。

この漫画がどこが陰謀ネタか?と思われますが、まあまあ聞いてくだされ。

この作品の設定では、アトランティスには人類の根源に関わる秘密があり、
アトランティスの場所と共にその秘密を握る結社「山の老人」という秘密結社が出てきます。
(現実の世界での山の老人ってのは、マルコ・ポーロの東方見聞録に出てくるイスラム教シーア派の中の二ザール派という、現在のイランのテヘラン近郊の山岳地帯に本拠地があった少数派の暗殺結社で、
その辺の若者を誘拐してきて、きれーなおねーちゃんとエッチし放題、酒飲み放題の酒池肉林の快楽を味あわせつつ、その快楽をアメとムチのように使って各国の要人を暗殺させていたという秘密結社でした。
よくゲームなんかに出てくる職業のアサシンの語源になったモンで、テンプル騎士団とも仲良しだったそーです)
山の老人は(現実にある山の老人と違う)、アトランティスの秘密を探り当てた者を次々と暗殺していきます。まるで陰謀論の世界で、国際金融資本の本質を調べた人のように。

アトランティスの秘密を知った者を交通事故に見せかけて殺すとか、
ターゲットに手紙を送って今までにアトランティスに関わって殺された人のリストを送って脅しをかけるとか、
薬物を使って殺すとか、
現実の陰謀論の世界で殺されたor殺されかけた人と同じ手口でアトランティス探求家が作中で暗殺されるのです。

やり方がね、リチャード・コシミズとかベンジャミン・フルフォードとか、
その他の陰謀論者が暗殺されそうになった手口と非常に酷似してるんですよ。

ここだけでもヤツら(国際金融資本)の手口をバラしてそーです。

まっ、実際、漫画やアニメや映画には、ヤツらの事を暴露してるのは少なくないけど、これもそのひとつとおいらは思うわけです。

この漫画はアトランティスというプラトンの著作にのみ出てきた幻の文明を探して、
最後にはその遺跡の一部が出てくるわけなんですけど
(ちなみにオリハルコンはこの作品では真鍮という解釈。銅と亜鉛の混合物でふ)
アトランティスってさ、何のことはないフェニキアのことでしょ?

ユダヤ人のルーツであるフェニキア人。アトランティス人について書かれた文献の記述や伝説を注意深く照合するとフェニキア人の姿が浮かび上がるわけです。

私が思うに、この作品でのアトランティスってのは例えだと思うわけですよ。

作中で、山の老人という秘密結社は、全ての宗教の根源(特に一神教)の恐ろしい秘密を握っており、それがアトランティスの秘密の一部だと作中では語られるわけですが、全ての宗教の根源つったらもう、彼ら(国際金融資本)しか考えられないじゃないですか。

実際、ユダヤ教を始め、キリスト教、イスラム教も、バビロニアに起源を持つ勢力(後の国際金融資本+ユダヤ)が作ったという話がありまして、一部の陰謀論者が言うキリストは実在しなかったという話に繋がっているよね?

作品を読んだ事ない人には伝わらないけど、アトランティスの話が実は、ユダヤ・フェニキアの寓話だとしたら、おいらにとってはこの漫画は完璧な陰謀暴露モノになります。

陰謀論者は、何でも陰謀だーと言う関係妄想のクセがあって、おいらも一応それには結構注意してるつもりですが、これは関係妄想じゃないと思うよ。確信を持って言える。

実際この漫画、とってもおもしろいのに、ビッグコミックオリジナルの他の作品(三丁目の夕日とかあんどーなつとか、岳とか弁護士の屑とか)は結構映画・ドラマ化されてるのに、ドラマ化の話すら何もないという。

きっと彼らの正体に触れるモノは表に出ないんでしょーね。彼らは金融筋からいくらでも圧力かけれるし。

ちなみにアトランティスの話に戻りますが。

アトランティス人というのは、実はフェニキア人じゃないかと思います。
実際、プラトンやらのアトランティスに関する記述などを見ると、そうとしか考えられない部分があります。

戦争はなぜ起きるのか?のブログの人も、自著でそう指摘してます。

フェニキア人というのは、実はカナン人のことでふ。

カナアン、カナンとも。ローマ人はポエニと呼び、
ヘレネス(ギリシャ)語でフェニキア人と呼ばれたがカナーンが自称。この名称は染料に使った貝の名前に由来する、あるいは赤紫の意。この色の衣服を着ていたことによるようだ。
(この染料の色をヘレネス語でphoenixといい、
そこからフェニキア人Phoinicesという呼称となり、そのラテン語形がポエニPoeniである)

古代のシリア、パレスチナ地域の民族。またこの地域の古名でもある。
BC2000年頃のエジプトの記録にカナーヌとある。紀元前BC12~BC13世紀頃から地中海に進出し各地に植民地をつくった。有名なカルタゴは正しくはカナーン語でカルト・ハダシュ(新しい街の意)という。
地中海ではヘレネス、ローマ、カナーン、イマジゲン(ベルベル人)の勢力が争うが、都市カルト・ハダシュは紀元前BC146年にローマによって滅ぼされた。(その後のカルタゴについてはチュニジアを参照)

カナーン人が交易をする中で、自ら名づけた名称の「ヘブライHebrew」は「(ユーフラテス川の)向こう側からやってきた人々」という意味で、eber(向こう側)という言葉がもとになっている。

カナーン人に関しては資料が非常に少なかったが、シリアのラス・シャムラから古代カナーン語の楔形文字の粘土板がみつかり、紀元前BC1400年頃繁栄したカナーン人の都市ウガリットについて多くの資料が得られた。

前述した通り、カナーン人の一部がヘブライ人になり、後にイスラエルを建国する。イスラエル人の祖先は紀元前BC2000年頃、バビロニアからカナーンの地(パレスチナ)へ移住したらしい。
そういうわけで、当然だがユダヤ教の中に、カナーンの神話との共通点がみられる。
例えばヤーヴェとエルの同一視やヤーヴェの居住地とカナーンの神々の聖地サフォン山の同一視などがあげられる。
またエルという神の名は移住前のバビロニアの時からのものらしい。
バビロンBabylon、バベルは神の門の意で、bab(門)、el(神)である。

例えばアトランティス人は、
地中海全域に植民地を持っており、北アフリカはもとより、
ギリシア、シチリアや西アフリカ、イタリアの南部までが植民地だったという記述とか、
そんな紀元前に地中海全域に植民都市を持ってた連中なんかフェニキア人に決まってるだろーがっ!

紀元前、ソロモンの王の時代でさえ、地中海全域の交易や海賊行為を仕切ってたのはフェニキア人なんです。

フェニキア人は、ハンニバルで有名な第二次ポエニ戦争でローマに敗退してから世界史から姿を消すわけですよ。恐らくユダヤ人の中に紛れて同化したと思われます。


ユダヤ人が子供をさらって生贄にしてたという中世ヨーロッパの伝説も、
第二次ポエニ戦争で敗退して生き延びるためにユダヤ人になりすまし、もし密かにフェニキアの本来の宗教であるバアル=モレク信仰を持ち続けたとしたら、理解できない話じゃないです。現にユダヤ人は、何千年も自分の宗教を守ることにご執心なので(隠れユダヤのマラノを見よ)ありえねー話じゃないですな。

ちなみにフリーメイソンで称えられるヒラム・アビフは、
アレクサンダー大王がすごい怨念で攻め落として島民を虐殺&磔にしたティルス(レバノン近郊の都市)の王様かな。

ティルスの宗教もバアル=モレク信仰ですよ。

おっとここに、フェニキアマンセーのフリメの本音が垣間見えますな。

さて次に、アトランティスの王はポセイドンで、その街はポセイドニアと言われてたという記述。
ポセイドンを崇拝ってか、王様がポセイドンってのは、言うまでもなく海洋民族でしょーな。そうでないとそんな名前つけねーです。海洋民族といえばフェニキア人。おいらはポセイドンってのは海洋国家の擬人化ならぬ疑神化だと思うわけですよ。


また実際、プラトンが記したアトランティス伝説は、ソロンという紀元前6世紀のギリシアの政治家がエジプトの神官から聞いた話との事。

ピンと来ませんか?エジプトと言えば、一時期ユダヤ・フェニキア・ヒッタイト辺りがヒクソスとしてエジプトを支配していたという話を。

エジプトとギリシアの関係については、黒いアテナという本がありまして、
この本によれば、ギリシアの文化の起源はエジプトだーと主張してるわけです。著者がユダヤ人学者つうだけで怪しさ大爆発ですけど、ギリシア語の多くがエジプト語起源だとつきとめたって話はあながち嘘じゃないと思います。

実際ピタゴラスなんかがエジプトで秘儀参入して教えを受けたとか、
プラトンもエジプトで秘儀参入したとか、前述したソロンも、エジプトの神官から話を聞いてるわけで、ギリシアとエジプトの関係は結構深そうです。

エジプトから言語や祭祀を習ったという話もあるよーで。

おいらは、古代ギリシアがフェニキア起源のアルファベットを使用していた所から、エジプトに流入したヒクソス(ヒッタイト・フェニキア・ユダヤ)と関わりがあるんではないか?と思いますがね。

またプラトンの話で、アトランティス人は雄牛の祭事を行ってたというくだりがあるけど、もう牛つったらフェニキア人ですよ。

バアル=モレク神に生贄を捧げてたんですよ。子供を。チュニジアのカルタゴ遺跡から2万体の子供の骨を収めた壷が出土してるんです。こええええ

バアル=モレク神は牛頭の神として描かれるじゃないですか。

聖書に出てくる金の子牛の話も、いかにエジプトや地中海沿岸で牛崇拝が盛んだったかがわかりますよね。

牛と言えば、スサノオノミコトも牛頭大王って言われますよね。
またコーランの最初のほうに雄牛の章ってのがあるんですけど、ポセイドンもゼウスも牛だし、中近東で雄牛って重要なキーワードだなーと思いまふ。

ミノタウロス伝説で有名なクレタ島のクノッソスの遺跡からも、
子供の骨が発掘されているわけです。恐らく生贄の。ミノタウロスも牛頭ですよね。

もしもミノタウロス伝説が、バアル=モレク信仰の寓話だとしたら面白いですよね。

アトランティス人の宗教(アトランティス人は、フェニキアと同じバアルのような牛を神聖視してたらしい)
プラトンが著作で言っているアトランティスの都市の形状(ヴェネチアに似てる。ヴェネチアはフェニキアとの関係が仄めかされる事もある)、
海洋国家として地中海全土に植民地を持っていた様子など、
もしアトランティス人がフェニキア人と違う民族だとしても、
これほどまでに両者が似通った生活様式と宗教を持っているのを考えると非常に興味深い話ですよねー

ただ12000年前つう、年代がフェニキアと違うところですがね。

オリハルコンなる金属だって、実際世界最初に鉄を作り出したヒッタイトとフェニキアは連合を組んでたし、金属を作り出すには、フェニキアの交易路って役にたったと思うわけなんですけど。

錫という金属だって大昔の産地は主にイギリスだし、ジブラルタル海峡を越えて行き来できる海洋民族なんてフェニキア以外に誰がいるんでしょうね?(この辺調べてないのでよくわからん)

また、アトランティスがギリシアを植民地にしていたという話も、タブーであるフェニキアがギリシアを植民地化したという話につき合わせると見事に符号するわけで。

そんなわけで、この漫画のアトランティスをユダヤに置き換えると、見事に陰謀暴露漫画になるわけです。おもしろいので是非おすすめの作品だったりします。

私はこの漫画を陰謀論にハマる前に読んでて、陰謀の世界に入ってから、陰謀論者を暗殺する手法がこの漫画と酷似していてビックリした記憶があるので。”

イリヤッドと20世紀少年の話を考えている(作画担当と一緒に含む)人は同じです。
長崎尚志=江戸川啓視(エドガー・ケイシー)=東周斎雅楽(イリヤッド)。
中東の宗教に詳しいからこそ20世紀少年で“ともだち”のマークをファーティマの手にしたのでしょう。
このマークを考えた「目玉のオッチョ」は僧侶の姿をしてチベットに向かうところをインドにて目撃されています。
インド神話の太陽神ミトラ=友愛の守護神=太陽の塔+メーソン。
江戸川といったら江戸川乱歩。
1953年発表の江戸川乱歩『宇宙怪人』は戦争をなくして世界平和を達成する為にトカゲ型宇宙人(レプティリアン?)の脅威を捏造して人類を団結させようとする怪人二十面相の話。金星出身だと意見する学者登場。伝書鳩や無線操縦で円盤を動かす。フランス人が発明した小型ヘリを背負って飛ぶ宇宙人。


 

参考資料

小森健太朗@相撲ミステリの人
‏ @komorikentarou
2012年3月6日
「ヂャーンの書」は古代アトランティス大陸の聖典とされていますが、
ブラバツキーは一体どこからこの聖典をもってきたんだーと記者に聞かれて曰く、
「アーカーシャーの記録にアクセスしました」←これがたぶん世界で最初の「アカシック・レコード」の用例です。


長崎尚志さんが『先史学者プラトン』を読む
メアリー・セットガスト著、山本貴光+吉川浩満翻訳 『先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学』(朝日出版社)https://dokushojin.com/article.html?i=3881
”考古学の知見に基づく大胆な仮説で先史時代の定説に挑む試論、『先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学』(朝日出版社)が刊行された。著者のメアリー・セットガスト氏は本論で、哲学者プラトンの『ティマイオス』『クリティアス』に記された古代の大戦争と七千年紀のザラスシュトラの誕生という二つの観点から考古学の成果を見渡すことで、「文明以前」と思われていた古代世界に高度で豊かな文化があった可能性と、新石器時代の「定住革命」はザラスシュトラによる宗教改革だったのではないかという仮説を導き出す。先史学のパラダイムシフトを目指す本書を、作家はどう読むのか、どのように刺激を受けたのか。

『MASTER キートン』や『イリヤッド 入矢堂見聞録』の漫画原作者である、長崎尚志さんに読み解いていただいた。 (編集部)

長崎 尚志氏
私はデビューが『イリヤッド 入矢堂見聞録』(画:魚戸おさむ/小学館)という漫画で、アトランティスをテーマにした物語だったのですが、当初そんな文明はプラトンの壮大なホラ話で、絶対に存在しないと思っていました。アトランティス大陸をテーマに書きませんかと提案したのは編集者で、無いと思うよと即答したら、それでは結論は“無い”でいいですと言われてOKしました。ところが本格的に調べ始めると、約一万年前、正確には九二〇〇年~九七〇〇年前くらいに、実在したかもしれないと思うようになったんです。プラトンは『ティマイオス』『クリティアス』で、アトランティスを「大陸」ではなく「島」と表現しており、
「ヘラクレスの柱」、つまりジブラルタル海峡の向こうにあったと記しています。その東端の都市がガデイラという名だと言うのですが、これはたぶん、現在のスペインの湾岸都市カディスのことです。だからプラトンはある程度、そういう伝承に基づいて書いたのではないかという気がしてきたわけです。
残念ながら、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの『歴史』には、アトランティスのことは一箇所「アトランティス人は夢を見ない」という記述(*1)があるだけで、島が沈んだとか強大な文明があったとかは書かれていません。

ところが同じく古代の著作『ディオドロス 神代地誌』(飯尾都人訳編/龍溪書舎/一九九九年)には、言及があります。
著者のディオドロスはローマ時代の歴史家ですが、実態はただの読書オタクみたいな人で、クレオパトラの時代に焼失した世界最古にして最大の「アレキサンドリア図書館」に籠り、大衆小説の類も含め、あらゆる歴史書を夢中で読み漁っていたようです。エジプトのアレキサンドリアには、入港した船の書物を一旦接収し、書き写すまで出航させないという決まりがあったようで、世界中の本が集まったと言われています。その蔵書の中にアトランティスが記されたものもあったらしく、ディオドロスはプラトンとは異なる伝説を発見しました。ただし島が沈んだという説話は共通しています。その島の大きさはプラトンの話よりかなり小さいのですが、そういう伝説があったのは嘘ではないと思いました。でも一万年も前にそんな高度な文明があったとは考え難く、かなり無理があるなとも思っていました。

(*1)「ここの住民の名は(中略)アトランテス人と呼ばれている。
この種族は生あるものは一切食わず、また夢も見ないという」(『歴史』巻四・一八四)


でも本書で取り上げられたチャタル・ヒュユクという古代都市の最下層は紀元前七五〇〇年に遡るもので、さらに地中海沿岸パレスチナ地域の都市エリコの最下層は、紀元前約一万年から九〇〇〇年と測定されています。そうなるとプラトンの話も、まったくの絵空事ではなくなる。あきらかな創作は、アテナイ人が彼らと戦ったという部分だけでしょう。アテナイという都市の成立は、そこまで古くはないわけですからね。でもギリシアの先住民族とアトランティス人が戦ったという説ならあり得る。それを著者は、マドレーヌ文化と結びつけている。そこが本書の実にユニークなところです。ラスコーの洞窟芸術で知られるマドレーヌ文化は、洞窟画を発明した狩猟民族の稚拙なものと思われていましたが、本書の中では、その洞窟画が「歴史画」ではないかと言及している。旧石器時代から新石器時代への移行期に鏃(やじり)の絵が頻繁に描かれているのは、部族単位での戦争があった証明だというわけです。この主張にはびっくりしました。つまり、これまで私たちが原始人と思って無視していた人々の歴史を、プラトンが記述したのではないかということなのです。そこにあえて光を当てたところが興味深い。よくこの説にたどり着いたなと感心しました。おそらく著者は、マドレーヌ文化とチャタル・ヒュユク、エリコが、そう離れた時代のものではないということに気づいたんでしょう。でも著者はそこで、無理やりアトランティス文明とこじつけてはいません。ただそういう伝説が大西洋岸、スペイン近辺にあったのではないかと考えたようです。

古代の多くの部族を巻き込んでの大戦争にしても、十分あり得る話だと思います。だから先史時代の戦争の結果、西からの征服民や難民が、大勢東に流れ込んだという説にも納得できます。実は『ギリシア奇談集』(岩波文庫)という本に、大西洋の大きな島からやって来た大軍隊がヨーロッパを征服しようとしたけれど、あまりに貧しいので、あきれて帰ってしまったという逸話(*2)があって、私はそれがプラトンの元ネタなのではないかと思っていたんですよ(笑)。

(*2)「…さて、この者たちがある時、われわれの住む島々へ渡ってこようとしたことがあったという。(中略)そのみすぼらしく貧しい生活ぶりにあきれかえって、それ以上先へ進んでもつまらないと思った、というのである。」(「ミダス王とセイレノスの対話」『ギリシア奇談集』第三巻・十八)


ただし本書には、残念な部分があります。考古学の醍醐味と言えば醍醐味なのですが、紀元前約一万五〇〇〇年から一万二〇〇〇年くらいに造られた神殿遺跡が、
最近トルコのギョベクリ・テペから発見されました。この本の刊行当時はチャタル・ヒュユクが考古学の最新成果だったようですが、さらに古い遺跡が出て来てしまったわけです。
しかもそこに宗教が存在したことが明白になると、本書のザラスシュトラが宗教を西方から伝えたという仮説が吹っ飛んでしまう。紀元前一万五〇〇〇年というと、定説では、人類は狩猟生活を送る放浪民で宗教は無かった。宗教という概念は、農耕文化が生まれてからだと思われていた。一箇所の土地に定着して、はじめて神を思いついたというわけです。ところがギョベクリ・テペの発掘で、狩猟民族にも神がいたことがわかってしまいました。すると今までの学説が覆されると同時に、本書の前提もひっくり返ってしまう。この本がもうちょっと早く話題になっていれば、著者の説を踏まえた上で、誰かが一歩進んだアトランティス論文を出版していたかもしれないですね。にもかかわらず、どうして本書が新しいかというと、まだ誰もアトランティスとマドレーヌ文化を結びつけた人はいないからです。そこが圧倒的にすごい理由です。古代文明、とりわけギリシアやオリエント、原始宗教についての下地がないと、なかなか難解な本だと思いますが、こうした大胆な仮説をもとに推理していく本書は、読み応え十分です。

もうひとつ、ザラスシュトラが西からやって来て、東で宗教を開いたという仮説は目を引きます。ザラシュストラ、つまりゾロアスター教の教祖は、善と悪、闇と光が戦って最後に光(善)が勝つという教義を説いたと言われる人ですが、その起源が西にあるなんて誰も思いつかなかった。本書の中でも一番空想的な仮説かもしれないが、ユダヤ教の「タナハ」もキリスト教の「聖書」も、ゾロアスター教の影響を受けていると思われるので、ザラスシュトラがどこから来たのかという話は実に興味深い。私はこの宗教家は中東の、インド=アーリア語系民族の出身ではないかと思っていたのですが、もちろんそうだという確証はないわけです。彼が実在であると仮定し、経典や考古学的な物証と丹念に対応させていく著者の手法は、尊敬に値します。要約すると、本書は二部構成になっています。まずプラトンがアトランティス文明と呼んだマドレーヌ文化が、民族大戦争を経て東に移った話。そしてそこに宗教家が現れ、定住社会を作ったというものです。荒唐無稽だけれども、あるいは、と納得できるよう書かれている点はなかなかです。それにザラスシュトラが何者かということを正面から論じた本を、私は初めて読みました。宗教に道徳性、人の道といったことを加えたのが、人間史上、一体誰の発明かと考えると、確かにザラスシュトラに行きつく。『古事記』『日本書紀』を読んでも、特に道徳的な教えは読み取れません。ギリシア神話もそうです。旧約聖書も、人が傲慢になったり、神の存在を信じないと、神様の怒りを買い罰せられるとか、若干教訓話はあるのですが、どちらかというと民族の苦難の歴史説話みたいなものです。ザラスシュトラがもし実在したとしたら、仏陀やイエス以前に、宗教に道徳や哲学を持ち込んだ、つまり道を開いた最初の人ということになります。 

今、アトランティスとマドレーヌ文化、ザラスシュトラを結びつけている点は画期的だと申しましたが、
ホモサピエンス=クロマニヨン人=洞窟人の骨や遺物はスペイン近辺から出ていますから、この仮説だけで小説なり漫画原作なりが書けちゃうわけです。私がスペイン人なら、実際作品で宣言すると思いますよ、文明は、俺らスペインが最初だってね(笑)。

ちょうど「ヘラクレスの柱」の西側、スペインのアンダルシア地方に、ドニャーナ国立公園という自然保護区があるんです。野生動物が生息する広大な湿地帯ですが、昔そこは海で、真ん中に島があったという言い伝えがある。古地図の中には本当に島が書かれているものもあって、そこがアトランティスだったんじゃないかと唱える人は少なくありません。私も一番ありうる説だと思って、実際に現地に行ってみました。基本、自然を保護するための無人地帯なので、観光希望者はツアーでしか行けないんですが、みんながペリカンを見ているときに、私だけ地面を見ていました。なんか掘ったら出てきそうだなって(笑)。

セビリヤを含めこの地域一帯は、紀元前にタルテッソス文明があったと言われています。古代遺跡や判読不能な文字盤、謎の石像、洗練された宝飾品などが出てきているからです。旧約聖書にも、ソロモン王の時代だから紀元前十世紀くらいですか、西方にタルシシュという高度な文明国があったと書かれています。
おそらくタルシシュとはタルテッソスでしょう。そのタルテッソスの基礎の文明が、プラトンのアトランティスではないかと私は思っています。すると、マドレーヌ文化の発祥と辻褄が合う。スペインのバスク語は、先欧印語の一種と言われていますが、よくわからない難解言語で、スペインのほかの地方の人たちは「バスクの連中はアトランティス人だから」と笑う。ドルメンなどの遺跡も多いですから、あのあたりには何かあったんでしょうね。


そんな与太話をしながらこれを読むと、心が躍ります。古代をテーマにした作品を書きたい作家には、絶対お薦めです。まさにネタの宝庫。たとえばアトランティス人のザラスシュトラが西から東方に布教してまわり、とうとう中国、最後は日本にたどり着いたとか。壮大な物語でしょ(笑)。”


※画像省略
2018.04.06
週刊スピリッツ
【インタビュー】漫画原作者に聞く!(第1回)リチャード・ウー(長崎尚志)氏
https://bigcomicbros.net/news/cs_manga-gensakusya-richardwoo/
"漫画好きの方なら、よく目にしているかもしれない「漫画原作者」という文字。
でも、その「漫画原作者」が、実際にどういう事をしているのかを知っている人は少ないのでは……?
そこで、コミスンでは、著名な漫画原作者に直接、
「漫画原作者ってどんな職業なんですか?」
「漫画原作には何が書かれているのですか?」
「どうやったら、漫画原作者になれるのでしょうか?」
といった、素朴な疑問をぶつけてみることにしました!
 第1回は、この度『アブラカダブラ ~猟奇犯罪特捜室~』で「第一回さいとう・たかを賞」を受賞された、リチャード・ウー(長崎尚志)氏に、お話を伺ってきました。漫画家、漫画原作者、漫画編集者、すべての漫画に関わる方、漫画好きの方、必読のインタビューです!

――リチャード・ウーさんは、ご本名の「長崎尚志」名義や「東周斎雅楽」名義など、複数の名義を使っておられますが、どうしてですか?

別に、原作者として有名になるつもりはなかったので、何でもいいかなと。「リチャード・ウー」は、すぎむらしんいちさんと『ディアスポリス』で組んだ時に、彼が興味を示したものを具体化したら、出来たものがあまりに胡散臭い内容だったので、だったら「日本に滞在しているあやしい外国人」というキャラ設定で書こうと思ってつけた名前なんです(笑)。でも、最近は「リチャード・ウー」が通りがいいので、よく使っていますね。

上司から原作の手直しを命じられた

――リチャード・ウーさんは出版社の編集者から「漫画原作者」になられたそうですが、どのような経緯だったのでしょうか?

最初は、原作者が書いてきたストーリーが「つまらない」と上司に叱られたのがきっかけですね。上司にどうしたらいいのかと聞いたら、「お前が直せ」と指示されたんです。今なら問題になりますが、当時はまだ著作権の概念も曖昧だったので。いくつか漫画の脚本を手直しているうちに、「自分で書いた方が早いかな」と、脚本を書き始めた。そのうちにどんどん楽しくなって、このまま管理職になって編集の現場を離れるよりも、漫画の脚本を書く人、いわゆる「漫画原作者」になったほうが面白いかなと思い、転業することにしたんです。

――「原作者としてやっていけそうだ」と思ったのはいつ頃でしたか?

幸運なことに、フリーになってから注文が途切れることがなかったので、そんなに不安は感じず、逆に「すこしノンビリできるかな」というアテが外れた感じです(笑)。でも、ある日パッタリ注文が来なくなるかもしれないので、「いつまでやっていけるか」ということについては、今でも自信はないんです。
会社員時代、ある人に「もし食えなくなってもコンビニのバイトをやればいい、というくらいの度胸がなきゃ、フリーにはなれないよ」と言われて、当時は「フリーなんてとても無理だな」と思ったんですよ。けれど、辞めてみたら「いざとなればコンビニのバイトでもなんでも、全然できるな」と思った。そういう心境の変化がありましたね。

――漫画原作者に転身されて、楽になったのはどのようなところでしょうか。

上司から怒られない(笑)ですし、徹夜明けでも、翌朝何時までに出社しないといけないとか、上司の悪口や、部下への小言を言わなくていいとか。他人の都合に合わせて生活しなくていいところですね。作品に関わる部分では、それほど違わないかもしれない。
ただ、編集者としての本業の外で、サービス的にシナリオを書いていた時には、「なんでここまでしなきゃいけないのかな」と思ったりしたこともありましたが、フリーになったらそれが「本業」になったので、全く腹が立つこともなくなり、楽になりました。


漫画原作者の成り立ちとは?

――「漫画原作者」という存在は、一般の人々にあまり知られていないと思うのですが、簡単にいうとどのようなものなのでしょうか。

漫画原作者のそもそもの成り立ちを調べてみると、
「漫画」が産業として盛り上がり始めた時期に、
出版社の編集者が自分の望む漫画を作りたくなったんだと思います。
最初は口頭やメモ書きなどで漫画家に伝えて、描いてもらっていたのが、
そのうちに編集部に出入りしているライターさんに「俺の言った話をまとめてくれ」と頼むようになった。その中には、スポーツ記事や絵物語を書いていたライターさんとか、テレビや映画の脚本家とか、いろんなところから漫画の世界にやってきた人がいて、最初はメモ書きのようなものだったのが、だんだんとシナリオに近いものになってきた。こうして、漫画原作者というものが生まれた、ということだと思います。

だから「漫画原作者とは何か」といっても、そのあたりを考えないと、何だかわからない。編集者や漫画家からなる人もいますし、つまりはストーリーを特化して考えたい人が専門家になったっていうだけじゃないですか。まあ、漫画原作者を一言でいえば、「脚本家」ですよ(笑)。

漫画家に描けない《ジャンル》を提供するのが漫画原作者

――原作者というのは、漫画家が物語を創るのが苦手な場合に付く場合が多いのでしょうか?

上手く物語を創れない漫画家に漫画原作者がついても、うまくいかないんですよ。
一人でも物語を創れる漫画家に、その人が描けない《ジャンル》、たとえば、「ユーモア漫画」しか描かない漫画家さんに「アクション物」のような別の《ジャンル》を提供したりするというのが、原作者の本来の仕事だと思います。
「漫画を面白く描く」能力というのは、漫画家の《構成力》と《コマ割り力》なんです。
自分で上手く構成やコマ割りができない漫画家は、いいシナリオを渡しても、そのシナリオよりつまらない作品を創ってしまう。漫画原作者はそういう漫画家と組んでも、あまり良い仕事にはならないですね。
もちろん、ストーリーを創れない漫画家に、例えば「勉強して欲しい」という意味で原作を提供するという場合もありますが。

――一口に漫画原作者といっても、原作だけ書くという方、作品そのものをプロデュースされる方など、いろいろなタイプの原作者がいらっしゃいますね。

僕の場合はシナリオしか書かないという場合もあれば、
構成まで口を出させてもらう場合もあるし、
全体のマーケティングまでやらせてもらう場合もあります。
それは編集者と漫画家さんがどこまで望むかということによって、必要に応じて変えていますね。


――漫画原作者は、今後、知名度が高くなったり、必要性が増えていったりするとお考えでしょうか。

わからないですね。梶原一騎さんや小池一夫さんなどの大物原作者が活躍した時代は、漫画家よりも漫画原作者の方が有名だったんです。今、漫画原作者が減って見えるというのは、漫画原作者の力が全体的に落ちているんだと思います。それは必要か不要かという問題ではなく、印象の問題だと思います。
ただ、必要以上に原作者が出しゃばってくると、その漫画は失敗するんですよ。僕のスタンスは漫画家が主役で、漫画原作者は脇役だと思っているので、漫画原作者が別に有名にならなくてもいいと思います。

原作者と漫画家の《感情》の解釈が似ていないとうまくいかない

――原作者として、こういう漫画家とはやりやすい、というのはありますか?

もともと僕は、浦沢直樹さんとのコンビで長くやってきたのですが、独立してから組んだ漫画家でいうと、
すぎむらしんいちさん(『ディアスポリス』)、
伊藤潤二さん(『憂国のラスプーチン』)、
コウノコウジさん(『クロコーチ』)といった漫画家がやりやすかったですね。
芳崎せいむさん(『アブラカダブラ ~猟奇犯罪特捜室~』)は、「やりがいのある人」です。

――逆に、うまくいかない漫画家というのは、どのような方でしょうか?

こちらの意図したのと違う表情を描かれる漫画家ですね。
「顔の表情」というのが漫画の基本なんだと思うんですが、自分とその漫画家との間に、共通の《悪意》や《善意》、共通の《泣き》の部分などがないと、キャラクターの顔の表情が変わってしまう。《悪意》や《善意》の度合いなどが、かなり同じでないと、「感情の辻褄」が合わなくなってしまうんですよ。
たとえば、脚本家が役者に脚本を渡したとき、その役者が脚本家の意図と全く違う演技をすれば、脚本家は怒ると思うんです。同じように、漫画原作を漫画にしたときに、「これは違うな」という表情が出てきてしまうようだと、その作品はうまくいかないんです。

――でも、編集部の決めた相手と組む場合もあるわけですね?

それはもう賭けですよね。最初にその漫画さんの画の感じが、自分の作風に向いているんじゃないかと思って組ませてもらっても、合わない場合もありますし。

原稿公開! 漫画原作とはいかなるものなのか!?

――実際のお仕事で、漫画原作はシナリオ形式で書かれているのですか?

はい。シナリオ形式です。

(縦書きのデジタル原稿用紙の画像。
”N=フォークランド諸島・一九八二年――
夜の海。二人乗り手漕ぎカヤック四艘。
一艘にキートン(無帽)とボブ(毛糸帽)。
以下略”)

これは『MASTERキートンReマスター』(浦沢直樹)第8話「栄光の八人」の冒頭です。けっこう評判がいいので、自分でも好きな作品です。

(「ちなみに拘置所(ここ) では
私、1666番と呼ばれています」を含む縦書きデジタル原稿用紙の画像)

(縦書きデジタル原稿用紙の画像。文面省略)

これは『アブラカダブラ~猟奇犯罪特捜室~』(芳崎せいむ)第1集第3話「黙示録」の冒頭です。

――拝見した漫画原作では、漫画を文字で描いている感じですが、執筆時には、頭の中に「漫画のコマ割り」や「映像」が浮かんでいて、それを字に起こす感じなのでしょうか?

コマ割りが浮かぶ場合もあれば、映像が浮かぶ場合もあります。どちらかですね。

――完成品として「こういう漫画になるだろう」というものが浮かんでいるわけですね。

ええ。浮かんでいますね。自分の中で「正解」はあるんですが、そこまで漫画家の権利を奪ってしまうと、漫画家のやる気がなくなってしまうんで、「最終的には漫画家が選択してほしい」というやり方ですね。「こういうコマ割りで」という押し付けはしたことはないですし、上手い構成をしてくれるのであれば、何も言いません。僕の「正解」を覆すような、すごい構成をする漫画家もいるので、そしたら、自分の「正解」なんかどうでもよくなる。作品が良ければいいわけですから、ケース・バイ・ケースですね。

――漫画家がストーリーを変えて来たりすることはありますか?

基本的には、僕のシナリオからストーリーの内容が変わるということはないです。「もし変えられるのでしたら、やりません」という条件で仕事をお受けしているので。

ただ、内容を変えることによって、面白い効果が生まれるのであれば、「これもアリか」と思って、シナリオを書き直す場合もあります。それを減らされるのはダメなんですが、足すのはいいんです。たとえば、キャラクターが膨らんで「こういうことを言わせたいんだけど…」「こっちの方が面白くなるんじゃないですか」と編集者や漫画家が提案してくれて、そっちのほうが面白いと思えば、僕が直します。

漫画原作者になるためには

――漫画原作者になるためには、どのようなことを心がければよろしいでしょうか?

「物語が好きか」を自問自答して、大好きならば目指すべきだと思います。そのためには、
たくさん小説を読んだり、映画を観まくったりすること。
漫画も《構成》や《コマ割り》、《顔の表情》などの勉強のためには読まないといけないですが、
ストーリーの勉強にはそれほどならないんです。
映画や小説を、ただ楽しむだけでなく、「あそこはこうした方がよかった」「ここが悪かった」と一つ一つ分析しながら観たり読んだりすること。そうすれば、駄作でも役に立ちます。
あと、僕がよく言うのは「映画を半分だけ観て、残りの筋を想像し、正しいかどうかを確かめるために後半を観てみる」こと。やってみると、時々自分の想像の方が勝っていたりするんですよ。それが「物語を創る」ために必要な勉強で、あとはその人が書きたい小説なり、漫画原作なり、映画シナリオの勉強をするのが一番いいやり方だと思います。まずは、心の中にストーリーを持てるかどうか。そのストーリーも、一つだけじゃダメで、いくつも持っているかどうか。ストーリーのパターンはそんなにあるわけではありませんが、最低3つはパターンを持っていないと、長くはやっていけません。続けていくには、趣味と仕事が一致していないと難しいんじゃないかと思います。


――ウーさんの作品を読んでいると、膨大な知識量に圧倒されます。

書くのに必要だったら調べればいいだけです。べつに取材が趣味なわけではないですから(笑)。
本当に原作者になりたいなら「このジャンルに原作者が何人いるか」と分析すればいいんです。たとえば「グルメ物」が得意で原作者になろうと思っても、書き手が多いので、なかなか入り込めない。
でも、僕みたいに「犯罪物」とか「歴史物」は書く人が少ないので、仕事が入ってくる。つまり、「ジャンル分け」の問題なんです。
「このジャンルを書けば、競争者が少ない」という計算がなければ、漫画原作者として食べていけないんですよ。

もちろん「どういう資料にあたればいいのか」とか、「どう料理すれば面白くなるか」は、知ってなければならないですが、それは映画や本などをたくさん観たり読んだりしていれば済むことですから、あんまり問題じゃない。「知識量があるから作家になる」のではなくて、「これを書けばお金になるから、知識を得る」というやり方が一番でしょうね。

――書けなくなって困った、という経験はありますか?

それはないですね。逆に、「何でも好きなもの書いてくれ」といわれるのが、一番困ります。
特に好きなものはないので、「こういうの書きませんか」と限定してくれると嬉しいんですよ。そうしてもらえれば、書く気があれば書けるし、「これは書けないけど、こういうのなら書けるかな」と提案することができるので。

――キャラクターを動かすにあたって、気をつけていらっしゃることはありますか?

僕の欠点はストーリーの方ばかりに気が行っちゃって、
キャラクターを置き忘れる可能性があることなんです。だから、ときどき立ち止まって「このキャラクターを出さなきゃ」と考えながらやっています。
そこは本当に《勘》じゃなくて、《学習》なんですね。そこに気をつければ、確かに読者がついてきてくれるんだという。こういうことは、長くやっていると、わかってくることですね。

――知っている人をキャラクターのモデルにして書かれることはありますか?

漫画原作者も漫画家も、《キャラクター》というのは、全部《自分》でしょう。
だいたい「自分をどう見るか」ということだけですよ。誰かを見たって、自分の解釈の中でのその人ですから、それって、結局は《自分》を描いているんだと思いますよ。



――小説を書かれる感覚と、漫画原作を書かれる感覚はやはり違いますか?

漫画原作と小説は「似て非なるもの」ですね。漫画は連載途中で評価されるものだから、過程がすごく面白ければいいんですが、
小説というのは、最後まで一気に読まれるので、ものすごくちゃんとしたプロットを短期間で最後まで創る。これは結構大変です。漫画と違って、小説は全部「自分の作品」なので、責任の大きさからしてまるで違いますね。漫画編集者もマンガでの経歴の長い僕に対しては意見が言いにくいもしれないんですが、それだと、伸びないじゃないですか。その点、小説の世界だと、僕はただの「新人作家」なので、若い編集者が言いたいことを言ってくれる。それが面白いんです。(笑)。

さいとう・たかを先生から教わったこと

――受賞コメントでは「さいとう先生を師匠だと思っている」とおっしゃっておられましたね。

僕は20代の頃、『ゴルゴ13』の担当をさせていただいていて、随分、さいとう・たかを先生にかわいがっていただいたんですが、その時教わったことは、今でも本当にためになっていますね。たとえば、「漫画の基本は《構成》だ」ということ。多少、画が下手でも、構成が上手いと読者は読んでくれるんだ、ということですね。それには、「これからの漫画はどんどん映画に近づいていく
から、リアルな漫画を創らなければいけない。そのためには取材力が必要で、シナリオライターも必要だ」ということ。さいとう先生は、映画作りの発想で制作されていて、そこもすごく勉強になりました。「たった一人でやる漫画家がいてもいいけど、大人数でやる漫画もあっていい」というさいとう先生の考え方にも惹かれましたね。

――さて、「第1回さいとう・たかを賞」を受賞した『アブラカタブラ』は3月30日に第3集が発売されました。

この『アブラカダブラ』は、このような評価をいただいたので、これからもっと面白くしなければいけないという、プレッシャーを感じています。



――ありがとうございました。(2018年3月7日 都内にて)

リチャード・ウー
本名・長崎尚志(ながさき・たかし) 漫画原作者・小説家・編集者。
小学館『ビッグコミック』『少年サンデー』『ビッグコミックオリジナル』『ビッグコミックスペリオール』『ビッグコミックスピリッツ』などの編集者・編集長を歴任後、2001年独立。
漫画原作者、プロデューサーとして、リチャード・ウー名義で『ディアスポリス』(すぎむらしんいち)、
『クロコーチ』(コウノコウジ)。長崎尚志名義で『MASTERキートン』『MASTERキートンReマスター』
『PLUTO』『BILLY BAT』(浦沢直樹)、『憂国のラスプーチン』(伊藤潤二)など、多くのヒット作を手がける。
また、小説家として『アルタンタハー 東方見聞録奇譚』『闇の伴走者』『黄泉眠る森』『パイルドライバー』
『編集者の条件』など。

(取材・構成:山科清春)

【初出:コミスン 2018.04.06】"


ニューアトランティス(ベーコン、川西進訳)
https://blog.goo.ne.jp/kazuharukazuharukazuharu/e/bcc3f2f1991a84c6aead68bdc6037524


フランシス=ベーコン『ニュー・アトランティス』 [本の紹介]
https://john-the-lackland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-09

フランシス・ベーコン『ニューアトランティス』とユートピア小説
https://ameblo.jp/smeathman/entry-11966576424.html

フランシス・ベーコン『ニュー・アトランティス』
https://ncode.syosetu.com/n2159en/3/

ニュー・アトランティス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9


三樹木
@sannjumoku
2018年2月7日
1600 年前後は文化史的に大変面白そうな時代。
いつ生まれてもいいんだったら、この時代のヨーロッパの富裕男性に生まれ変わりたい。イギリスにはシェークスピアやジョン・ダンがいて、フランシス・ベーコン(1561〜1626)はぴったりスヴェーリンクと同時代人。ネオ・プラトニズムと合理主義のせめぎあい


書評 『シェークスピアは誰ですか? -計量文献学の世界-』(村上征勝,文春新書)
http://www.wound-treatment.jp/next/dokusho86.htm
”古くはフランシス・ベーコン=シェークスピア説が有名だったが,
その後,ベーコンの著書とシェークスピアの戯曲の単語の長さを比較した研究があり,
その使用単語の分布様式から,両者は違っているという結論がまず出された。その後,ベーコンが書いたのは散文,シェークスピアは韻文だから,両者を比べても意味がないという疑問が呈され,1990年には一旦,シェークスピアの作品は全て一人の人間が書いたという結論が出されたものの,
その4年後には新たな分析を元に,シェークスピアの初期の作品はクリストファー・マーロウが原作者ではないかといわれるようになった。更にその数年後には,別の分析法で,ベーコンでもマーロウでもなくオックスフォード伯がシェークスピアでないか,という説が主流になったのである。

 まあ,こう言うことは科学ではよくあることなんだけど,同じ物を見ているはずなのに分析の仕方がちょっと変わっただけで結論が全く異なるというのは,なんだかなぁ・・・。”
 
 (ベイコンの詩文とは比べなかったの?)

Spica@Kelangdbn
2015年11月18日
<要約>シェイクスピアは4字単語を多く用いたが
中の人説が囁かれるフランシス・ベーコンは3字単語が多かった。
源氏物語は最初の44編とラスト10篇で別人、どちらが式部かは不明 
QT @Cristoforou 【シェークスピアは誰ですか?―計量文献学の世界 /村上 征勝】


こざわ/とひ@t_aldehyde
2016年11月27日
村上征勝「シェークスピアは誰ですか? 計量文献学の世界」読了。鯨統一郎みたいなタイトルですが内容は副題の通り。文章の長さとか、単語の平均長とか、読点の打ち方とか、「文章の指紋」を統計的に見付けて、真の作者は誰であるかとか、同じ人が書いた文章であるかとかを探る学問。

コーパス言語学たん@CorpusTan
9月8日
【参考書情報】
村上征勝先生の「シェークスピアは誰ですか?―計量文献学の世界」(2004)
計量文献学の入門書としては最適ね。『源氏物語』の「宇治十帖」、
川端康成の文体の変化、パトリシア・ハースト誘拐事件から
グリコ森永事件の脅迫状分析など様々な題材を扱っているわ。

Shinya Watanabe 渡辺真也
‏ @curatorshinya
2012年4月20日

以前アムステルダムの図書館で、シェークスピアの肖像画が哲学者ベーコンの肖像画を下敷きにして描かれていたとする資料を見たのだけれど、当時はそれが何を意味しているのか理解できなかった。どうやらその背景には、実はベーコンがシェークスピアだったとする「ベーコンの理論」がある様だ。

2012年4月20日
ダンテもカフカもジョイスも、暗号解読の達人だった。フランシス・ベーコンがシェークスピア劇の中に暗号を残したとしても何の不思議もなく、それを解読できたのがカントールとニーチェ、William Friedmanくらいしか居なかったのかもしれない。

2012年5月19日
そう言えば、シェークスピアはフランシス・ベーコンだという説を早くから説いていたカントールは気違い扱いされてしまったけれど、おそらくカントールは大陸合理論の成立に至る宗教的背景をかなり正確に理解していたのだと思う。

スポンサーサイト



読書メモ  :  trackback 0   :  comment 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://yomenainickname.blog.fc2.com/tb.php/308-9ab969ff
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)