「けものフレンズ」は“みんなのもの”
――ライトなアニメ好きの層だけでなく、動物が好きな層、さらにはSF好きまで、非常に幅広い層の注目を集めたと思います。どのような層をターゲットにしていたのでしょうか。
梶井: 動物好きはもちろんのこと、キャラのかわいさに反応する人、SF的要素に反応する人、それぞれが楽しめるような作りになっていると思います。
アニメに限りませんが、「どの層に」と的を絞ると作品自体は作りやすくなり、局地的なヒットは狙えるかもしれません。しかしそれでは広がりは望めません。このプロジェクトは細くてもいいから長く続けていきたかったので、そういった一過性のものにならないよう頭を悩ませました。立脚点は「子供にも楽しんでもらえるもの」なので、もともと間口は広かったんです。
――ガイドラインに沿った二次創作を広く認めました。珍しいと思いますが、どのような思いがあったのでしょうか。
梶井: プロジェクトの立ち上げ当時、これは「誰々が作ったもの」ではなくて、「さまざまな人がかかわって世界を広げてほしい」という思いがありました。権利を主張するのではなく、“プロジェクトに共感してくれるみんなのもの”なんです。個人で自由に創作活動を楽しんでいただきたかったので、公式サイトでも早いうちから二次創作に関するガイドラインを設けました。同人で盛り上がるとネットやイベントを通じて多くの人に知ってもらえますし、その熱気・活力はプロジェクト自体にもパワーを与えてくれます。
――ファンの多くが、不思議なストーリーの“奥行き”や謎解き要素に反応をしており、ネット上で激しい議論が交わされました。当初からこのようなファンの楽しみ方を想定していたのでしょうか。
梶井: たつき監督はテレビ放送だけでなく、ネット視聴のことも考えて作品を作っていました。大画面で眺めていても楽しめる、ネットで時折画面を止めて細部を見ても楽しめる、という作りです。仕掛けに気付いてもらうフォーマットとして、繰り返し視聴できるネット配信は打ってつけでした。判明したネタを肴に、コメント機能で盛り上がることもできますし。アニメにとどまらない、プロジェクトのさまざまな取り組みを知ってもらえる機会になりました。ここまでの爆発は誰も予想しえなかったですが、ネットユーザーを意識していたのは確かです。
――今後のプロジェクトの展開についてお教えください。
梶井: 新作映像を制作することはすでに発表していますが、中身についてはいろいろと……。ほかには舞台が決定しています。声優がそのまま出る舞台です。あまりない形だと思うんですが、今から楽しみです。
また、大きくはゲームでしょうか。まずはスマホアプリとして、前回とは全く違ったシステムで今年のサービススタートを目指しています。
書籍についてはコミックスや小説以外に、お子さんでも楽しんでもらえるような企画を検討中です。ほかにもいろいろ話を進めていますので、準備ができ次第お知らせしていきたいと思います。ゴールデンウィークあたりからさまざまな動物園とのコラボがスタートしましたが、これはプロジェクト立ち上げ当初からの夢だったんです。動物園へ足を運ぶきっかけになれれば、と。ほかにもお話をいただいている動物園がございますので、永続的で有機的なつながりができるよう、プロジェクトに賛同いただける方々と一緒に考えていきたいと思います。「動物への寄与」は、プロジェクトの目標でもありますので。
日経トレンディ6月号では、けものフレンズの他にも上半期に起こった様々なブームを分析。下半期のブレイク予測も掲載しているので、ぜひ手にとっていただきたい。
(文/森岡大地=日経トレンディ)
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