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日本では企業年金の掛け金拠出期間を70歳まで延長する案が話題になっているが、米国では大手企業の企業年金凍結が常態化している。
7日には米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、2万人の従業員を対象に企業年金の凍結を発表した。
そもそも年金凍結には、新規加入の停止と、さらに踏み込んで既存の加入者についても将来の給付の積み上がりを停止するケースがある。
GEはすでに12年に新規加入を停止していた。
今回は、11年以前の加入者を対象に、21年1月から、従業員からの掛け金支払いも、企業側の年金負担も停止する。
さらに、11年以前に経営幹部になった約700名についても、特別加給分を凍結する。
すでに企業年金支給が開始されているOBたちは凍結対象外で保護される。
すでに大手他社では企業年金凍結が常態化しているので、GE側も「産業界の水準に合わせる措置」と説明している。同社のスポークスマンはロッキード、ボーイング、キャタピラーといった企業が同様の「年金離れ」してきたと述べた。17年にはフォーチューン500社で確定給付型年金を採用してきた企業の42%が「凍結」したとのタワーワトソン社の調査結果も報道されている。
このような大手企業の企業年金凍結が日本であれば、衝撃的ニュースになったであろう。
7日発表されたGEの年金リストラ策は、たしかに多くの米国メディアで報道された。
しかし、日本の「老後2000万円不足問題」のごとき激しい動揺は見られない。GE従業員のモチベーション低下は懸念されているが、自分の老後は自分で防衛するという意識は定着しているのだ。
株式投資を核に自らの資産運用で切り抜ける覚悟は出来ている。
個人の金融資産構成を見ても、日本に比べて株の運用配分が圧倒的に高いことは、日本でも再三指摘されてきたところだ。
上場投資信託(ETF)も分散投資ツールとして定着している。
なお、日本の企業年金については、すでに「逃げ切った」とされるOBたちと、現役組との格差が強い不公平感を醸成している。GEが元経営幹部も凍結対象としたことは興味深い。
GEの年金凍結は、図らずも、日米年金事情の違いを鮮明に浮き彫りにした。