選手との対立に揺れる全日本テコンドー協会は8日、東京都内で理事会を開き、一部理事が求めた「理事の総辞職」をめぐって議論が紛糾した。会議は予定を大幅に超える6時間半に及び、総辞職を訴えたアスリート委員長の高橋美穂理事が過呼吸で倒れ、救急搬送される事態となった。
結果的に強化体制の刷新は決まったが、大多数の反対で総辞職は見送られた。抜本的な協会改革を訴える高橋理事と、シドニー五輪銅メダリストで協会副会長の岡本依子理事は辞任の意向。ドタバタ劇は終わりが見えない。
午後1時から始まった理事会は予定の午後5時を過ぎても延々と続いた。午後7時前には高橋理事が会議室を出た直後、廊下で倒れ込んだ。心身を削って総辞職での組織一新を訴えたが、「辞めるのは無責任」との声が大勢。金原昇会長は「岡本さんと高橋さんは体制への不満があったのでしょう。2人にはメディアに出て協会にダメージのある話はしないでと話した」と語った。
理事会では小池隆仁強化委員長ら3人の代表コーチの解任と「強化管理部」の新設が決まった。あらためて辞意を否定した金原会長は「私が反社会勢力ではないかとか、協会を牛耳っているとか、そういう報道は楽しいかもしれないが、節度をもって」と集まった報道陣にくぎを刺した。
金原会長は高橋、岡本の両理事を慰留する方針だが、一致団結ムードには程遠い。議論に議論を重ねても、東京五輪への不安は残ったままだ。