お子さんに否定的な声かけをした方がいいと思っている方はいませんよね。
でも、「だからお前はダメなんだ」「どうせお前は‥」といった声かけを思わずしてしまうことはあるかもしれません。
否定的な声かけはなぜ望ましくないのでしょうか?
それは、否定的な声かけが、より多くの否定的な考えを呼び込んでしまうからです。
そしてこれは、「確証バイアス」という理論で説明できます。
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。
本の中では社会的な影響力を利用して相手に思わず「Yes」と言わせてしまうテクニックが数多く紹介されています。
詐欺師も使えるようなテクニックですが、お子さんや部下を望ましい方向に(エゴではなく)導いてあげたいときなどにも有用なヒントが豊富に含まれています☆
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見たいものしか見なくなる心理的バイアス
確証バイアスとは、「最初に抱いた先入観や信念を裏付けするデータを重んじ、それに反する情報を軽んじる傾向」のことです。
簡単にまとめると、「自分の考え・意見を応援してくれる情報ばかりに注目してしまう傾向」ということです。
そして人間は、どうしてもこの傾向によって物事を捉えるときにゆがめられてしまいます。
参照している『瞬間説得』では、このことについて心理学者のマーク・スナイダーとナンシー・カンターの実験を紹介しています。
この実験は、「ジェーン」という人物の特徴が書いてある紙を読ませ、ジェーンの性格を評価してもらうというものです。
この際、ジェーンのことを「不動産仲介業」と紹介される群と、「図書館員」と紹介される群に分けられました。
結果は、渡された紙に書かれた内容は同じなのに、ジェーンのことを「不動産仲介業」と紹介された群は紙に書かれた説明の外交的な面ばかりに注目し、「図書館員」と紹介された群は内向的な面ばかり注目していました。
これは、評価者が「不動産仲介業」と「図書館員」に対して最初から持っていた印象に引っ張られた結果生じています。
このように、人は、自分の考えを応援してくれる情報をどうしても選んでしまいます。
ダメだと思うと、ダメな部分ばかり見えてしまう
自分の考えを応援してくれる情報を選んでしまう確証バイアスと、否定的な声かけが重なると、どんなことが起こってしまうのでしょうか?
お子さんが「できない」「苦手」などを含んだ否定的な声かけをされると、自分のことを「できないのかな」「苦手なのかな」と思うようになります。
そして否定的な自己認知が出来上がってしまったところで確証バイアスが働くと、できていないところ、ダメなところに注目してしまい、否定的な自己認知がより強まってしまいます。
つまり、否定的な自己認知ができてしまうと、確証バイアスが働いて否定的な自己認知がより強まってしまいます。
そのため、否定的な自己認知を作る材料になってしまう否定的な声かけは避けるべきなのです。
確証バイアスは良い自己認知を高めることもできます
いかがでしたか?
今回は、否定的な声かけに焦点をあてて、確証バイアスの影響を見てきました。
悪いと思っていると、確証バイアスによってより悪い部分ばかりに注目してしまいます。
しかし、ということは、良いと思っていれば良い部分ばかりに注目するようになるということですね!
そしてそのために親ができることは、良い声かけです。
自信や意欲に繋がるような声掛けをたくさん行い、お子さんにポジティブな自己認知ができれば、ポジティブな面により注目できるようになるという好循環が生まれるでしょう!
この記事は、『瞬間説得~その気にさせる究極の方法~』(ケヴィン・ダットン、2011)から学んだことの記録です。