入管でハンストの後、餓死したナイジェリア人への批判に驚いた

NEWSポストセブン / 2019年10月5日 16時0分

〈日本に来ないで欲しい。ハンガーストライキは母国ですればいいやんか〉
〈ハンスト&治療拒否なんて、どんな理由があろうとも大事な命を自らの意思で盾にして入国要求をする彼の脅迫のような行いには全く同情出来ません〉
〈ハンストってすごく甘ったれな抗議だと思う。「俺の健康を損なわせたくなかったら言う事をきけ」って脅してるんでしょ。人権がしっかり守られてる国が相手だからこそできる甘え〉

 ハンストという行動が、これほど責められるものだとは想像もしていなかったので驚いた。ナイジェリア人男性が仮放免を求めても許可されなかった理由について、センターは窃盗事件が「組織的で悪質だった」と説明している。より詳細がわからないため、これが理由として妥当かどうかは判断できないものの、男性本人にとっては極めて理不尽なことだったのだろう。だから、命をかけてハンストを続けたのだ。

 その抗議が〈脅迫のような行い〉と形容されてしまうものだというのか。〈すごく甘ったれな抗議〉なのだろうか。結果、本当に命を失ってしまったほどの、ギリギリで切実な抗議だったと私には思えるのだが、それも甘ったれた見方にすぎないのか。

〈食べさせないじゃない、自分で食べないじゃ仕方ない。自業自得。食べなければ受け入れてくれると思ったんだろうが、そうはいかない。そんなので許して同じことすれば日本で暮らせるなんて広まったら大変〉

 というコメントもあった。たしかに「ハンストさえすれば仮放免が認められる」という話が広がってしまったならば、入管に収容されて当然の理由がある問題人物も右へならえで同じことをし始める危険性がある。

 全国に17ある出入国在留管理庁の施設には、6月末時点で1147人いて、そのうちの約75%が本国への送還を拒否。そして、時事ドットコムの報道によれば、6月以降で仮放免を求めて食事を拒否した人は延べで198人いるそうだ。〈東日本入国管理センターで7月、ハンスト中のイラン人男性が仮放免となってから、多いときは全国で1日100人以上が食事を拒むなど、事態が深刻化している〉とも報じている。すでに入管におけるハンストは「ブーム」の様相も呈しており、その中には問題行動といえるケースも混じっているだろう。当局としては、ハンストが仮放免につながるわけでは決してない、という毅然とした態度でことに臨むべきだ。

 それはそうなのだが、ハンストをしている人たちの中には、亡くなったナイジェリア人男性のように本気で命をかけている人もいるわけで、その死を〈自業自得〉と斬り捨てる感覚には、私はついていけない。なんでもかんでも本人のせいにする自己責任論と同じ乱暴な処罰感情がそこにはある。と同時に、〈日本で暮らせるなんて広まったら大変〉という文面に表われている排外意識。以下のコメントもまさにそうだ。

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