私たち(ろう者)の話を聞いて
第2回「家族とのコミュニケーション」
- 私の両親と兄弟は健常者、私だけ聾です。普段、コミュニケーションをとる方法は、勿論毎日、お話ししてるんだけど、私も声を出して会話しています。ただ、長話とか聞き慣れてない言葉は手の人差し指で字を空書したり、身振りをしたり、紙に手書きする習慣です。通じないことが多いんだけど、最後までお話しをしています。
- 私の家族は、皆、私と同じく聴覚障害者を持っており、手話でコミュニケーションをとっているので、困ることはありません。でも、親戚の人とは、手話が分からないので、ゆっくり、大きく口を開けて話しかけてくれる人もいれば、身振りを使って話してくれる人もいます。大きく口を開けて話しかけられても、分からない事もありますが、何回か会話を重ねてるうちに、その人の口の形に慣れてくるようになり、スムーズにコミュニケーションがとれるようになりました。家の中はともかく、外へ出たとき、身振りを大きく使うと、恥ずかしいと思う人が居るかもしれませんが、それを恥じることなく、堂々としてくれる所をみると、凄く嬉しかったです。
- 小さい時は、発語に応じたキュードスピーチで、会話をしていましたが、今は、家族と何十年も一緒ですので、口話だけで話しています。
キュードスピーチという言葉を初めて聞くという方もいると思いますので、お教えします。これは、母音を口の形で表しながら、子音を手の形で表すという方法で、よく幼いときに使うコミュニケーションの方法です。また、キュードスピーチは、発音の勉強にも使われます。聾者は口がきけない人、言葉が喋れず、「パクパク」喋ってしまう人もいます。その為に、将来の問題もあるので、やっぱり早く言葉を喋れなくてはいけないということで、発音を1文字ずつ丁寧に表す為にキュードスピーチを用いて厳しい練習するのです。学校の先生方、そして、家では両親から発音の練習を教わりました。発語というのは息の使い方、舌の使い方を手で分かりやすく表したものです。例えば、「は」だったら口から息が出るでしょ?口に手を開いたのをくっつけて手のひらに暖かい空気が当たるようにして、息と声を出して話すということです。
- 私の両親、祖母は健常者、私と弟は聾者です。私が幼稚園、小学生の頃はキュードスピーチで会話をしていました。現在は両親も祖母も私や弟の声に聞き慣れているので、口話でコミュニケーションをとっています。どうしても分からない場合はもう1回ゆっくり話してくれるので分かります。
- 私の両親とお姉さんは健常者です。小さい時から口話で話す習慣になっています。私は、聾者なのに小さい頃毎日お母さんが発音を厳しく練習をしてくれました。毎日親と色々話してる時、親が聞き取れない場合は私が紙に手書きします。
作成日:1999.12.27
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