ネイア・バラハの聖地巡礼!   作:セパさん

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注:オーバーロード13巻のネタバレがあります(今更感)……というか、13巻読破せずにこのSSをご覧になっている猛者などおりませんよね。

注2:見る人によってはR15っぽい表現があります。


プレアデスと伝道師

「こうして、アインズ様は、我々聖騎士団では為す術もなかった、収容所に捕らわれた仲間達を解放して下さいました!そうして尊い犠牲を前にあえて強い言葉を掛け、そうして私の横で語られたのです。〝自分の大切な存在に一番の高値を付けられるのは自分だけだ〟。……と。あれ程強大な力を持つアインズ様でさえ、今以上に強くあろうと、自らの治める魔導国--その子ども達や皆様の未来のため、更なる高みへと決意を語られたのです!わたくしは頭に稲妻が走りました!!」

 

「そして、市街戦での激戦の後、わたしはアインズ様に命を救われました。アインズ様こそが絶対の正義であると確信した瞬間です!その荘厳にして偉大なるお姿は後光に煌めき、身動きが取れないでいたわたしを、優しく抱えて下さいました。」

 

「市街戦を終えた時、被害の状況をアインズ様へお伝えした衝撃は忘れません。なんと他国の民であるローブル聖王国の民兵の死を本心から嘆いて下さった!「そうか、そうなのか。残念だ。」と……、わたしはアインズ様の御慈愛に溢れる御言葉に感銘を受けました!何よりも、このわたし自身、アインズ様よりお渡し頂いた武具・防具の数々がなければ、天に召されていたことでしょう!この世にこれ程御慈悲溢れる王は存在するでしょうか、いいえ、存在しません!」

 

「一度は、我々の無力による魔力の枯渇から、ヤルダバオトをあと一歩まで追い詰めるも、丘陵の彼方へと飛ばされてしまったアインズ様。そんな絶望と不安の渦巻く中、わたしは、シズ先輩と邂逅したのです!」

 

「轟く銃撃、立ち向かうは首飾りの悪魔!二つの首を飾った悪魔が放つ衝撃波により、不覚にも片膝を突いたボロボロのわたしの前にシズ先輩が庇うように悪魔へ立ち向かい、こう言ったのです!〝駄目、ネイアは私が護る〟と!!」

 

「そして丘陵より亜人の軍勢を配下と付けて凱旋されたアインズ様!そうしてアインズ様はヤルダバオトを前に、高らかに宣言されました!〝わたしの勝利をここで待っているがいい!〟と!!そしてアインズ様は、一瞬にして、絶望の化身、ヤルダバオトを撃退されたのです!!」

 

 ネイアはアインズ様の真なる王城の客間で、メイド悪魔から結成される六姉妹(プレアデス)を前に、ローブル聖王国でのアインズ様、シズ先輩の偉業……自らが目にし、体験した神話を語っていた。演説で鍛えられた弁論術は、合間に入るルプスレギナを筆頭としたの歓声もあって、大きな盛り上がりを見せている。

 

「うっひょー!!アインズ様マジぱねぇっす!!シズもカッコイイっす!」

 

「シズが一人の時にそんな事を言うなんて、中々やるじゃない。」

 

「アインズ様はやはり素晴らしいわ。いえ、何時だって素晴らしい!」

 

 シズはネイアの話しにそっぽを向いており、無表情の中に極度の気恥ずかしさを感じている様子が見て取れる。ネイアの口からシズの武勇伝が語られる度、他の六姉妹(プレアデス)から茶化され恥ずかしそうに「むっ」としている。

 

 話しの途中、シズ先輩のハンカチを鼻水で汚してしまったこと、シズ先輩と一緒の樽に入り移動したこと、アインズ様の素晴らしさをローブル聖王国で説き回めていた時シズ先輩に慰めて貰った思い出を話していると、〝美姫ナーベ〟を模したというドッペルゲンガーのメイド悪魔ナーベラル・ガンマから、凄まじい殺意の波動と鋭い視線が飛んできたが、クライマックスで一番の拍手を送ってくれているのもナーベラルだ。

 

「……と、以上が偉大にして至高なる御方アインズ・ウール・ゴウン様そして、シズ先輩との出会い、お二人が我が国ローブル聖王国を救って下さった救国の物語です。ご静聴ありがとうございました。」 

 

 途中収容所奪還場面などで、何度か盛り上がって「お肉!おに…」やら「あ~ら美味しそ……」と言っているソリュシャンとエントマをユリ・アルファが拳骨で黙らせていたが、シズを除くメイド悪魔との初対面は上々に終わった。

 

「いいお話だったわ。わたくし達はアインズ様から概要程度しか聞かされていなかったので、興味深い話をありがとう。喉が渇いたでしょう?お水をどうぞ。」

 

 ユリ・アルファは心からの称賛を送った。勿論ユリは事の全貌を知っている。言うなれば三文芝居の茶番だが、語り手が一流ならばどんな演目でも英雄譚となるものだと本気で感心していた。

 

「ありがとうございます。……ってうひゃ!!」

 

「うん、やはりただの人間ね。何だかさっき話している時に様子が変だったから、擬態しているのかと。」

 

 ナーベラルがその美しい顔をネイアに近づけて、右頬をふにふにと掴んできた。

 

「あー!ズルイっす!わたしは左頬っす~~。あ、お腹も結構いい感じっすね。胸も触っていいっすか?」

 

「わたしは腕がいい~~!」

 

「太股も美味し……良い味出してるわぁ。」

 

「あ、あひゃ、くすぐったいです!」

 

「え?くすぐってほしいんすか?ほ~ら、こちょこちょこちょ~~。」

 

 ルプスレギナのきめ細かい綺麗な十指がネイアの脇腹を撫でる様に襲う。くすぐったさという感覚が暴力となって頭をもみくちゃにされ、抵抗しようにもメイド悪魔の六姉妹の内3人に身体を束縛されており、身動きがとれない。

 

「ひぁ、ひゃああひゃ、ひゃはやあああああああああ!!!」

 

「あ~ら、可愛い悲鳴。わたしも混ざろうかしら。」

 

 悪のりしたソリュシャンが、嗜虐的な笑みを浮かべる。ルプスレギナとは違う、艶めかしい手で太ももを付け根からくすぐってくる。喉とお腹がおかしくなるほどの、悲鳴に誓い笑い声を挙げ、頭は許容を越えたくすぐったさで気が狂いそうになる。

 

「あひゃひゃっ!ひゃあひゃああああ…息が……ひあああ……いいぃぃぃいいい!!!」

 

「…………む。」

 

 パパパパンとシズがネイアをもみくちゃにする六姉妹(プレアデス)たちにデコピンし、ネイアをギュっと抱きしめる。

 

(あ、悪魔だ。悪魔達だ……。間違え無い。)

 

 シズの助けがもう少し遅ければ、くすぐり地獄で無様な姿を晒し、アインズ様からの客間を汚してしまっていたかもしれないネイア。シズの温かみを感じながら、〝メイド悪魔〟というワードを改めて思い出す。顔は色々な意味で真っ赤だ。

 

「お!シズ先輩が〝駄目、ネイアは私が護る〟と言ってるっす!」

 

 もみくちゃにしていた面々は、シズから強烈なデコピンを喰らってネイアから剥がされるも、懲りずに悪戯っぽい笑みを絶やさない。シズはシズで、ルプスレギナの茶化した言葉が恥ずかしいのか、ネイアを痣が残るほど強い力で抱きしめる。

 

「はい!悪戯はそこまで!お客様に失礼ですよ!」

 

「え~、スキンシップっすよスキンシップ。ユリ姉はお堅いっす。あ!ユリ姉、頭が身体から離れる人体切断マジックを見せてくれるっすか!?イテ!」

 

「すみませんね。シズの友人と聞いて、皆はしゃいでしまっている様です。」

 

「いえ、大丈夫……です。でも皆様本当に全員お綺麗で……わたくし如きが語るアインズ様の素晴らしさにまで共感して頂け、感謝の言葉もありません!」

 

 ネイアの目の前にいるのは全員がシズ先輩と同じかそれ以上の強者であるメイド悪魔たち。それを全員配下にして、ここまでの忠誠と忠義を確約させるなど、改めてアインズ様の偉大なるお力に敬意が募る。

 

「それに……こう言ってはアインズ様に不敬かもしれませんが、皆様を倒すのではなく、ヤルダバオトから皆様を救ったアインズ様に不純な感謝の念を抱いているのです。シズ先輩と出会えたこと、そして、こうして魔導国へ来られたことに。」

 

「……いいえ、アインズ様は森羅万象を見通す偉大な御方。あなたがこうしてわたし達と出会えたことも、アインズ様のお導きでしょう。また、あなたの働きをアインズ様はとても高く評価されていたわ。」

 

「本当ですか!?」

 

 自分の活動が認められているかどうか。それはネイアにとって一番の関心であった。アインズ様の配下であるメイド悪魔、そのまとめ役が太鼓判を押してくれたというのは、ネイアにとって天にも昇る福音だ。

 

「ええ、それにアルベド様も、あなたという存在に強い関心を寄せておられます。」

 

 脳裏に漆黒の翼を生やした絶世の美女が浮かぶ。アインズ様、そして魔導国宰相からそこまで大きな期待をされる程大した活動はしていないように思える。だが、アインズ様は自分をここまで信じてくれているのだ。胸に熱い気持ちが込み上がってくる。

 

「ありがとうございます。このネイア・バラハ、アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下のため、今後一層益々の奮励努力を致します。」

 

「さ~~て!お堅いお話終わりっすか!?わたしたち六姉妹(プレアデス)から、アインズ様のご許可を得てわくわくビンゴ大会と、トランプ大会準備が出来てるっす!朝まで寝かせないっすよ~~!」

 

「び、びんご大会!?」

 

 罰ゲームでさっきの様な地獄(くすぐり)が待っているのではないかとネイアは身構えてしまう。

 

「特賞はカルネ村ドワーフ謹製1/7スケール純金のアインズ様像っす!」

 

 ルプスレギナはどこからが、大きなな純金の像を取り出した。驚くほど精緻に造られており、目の赤は宝石を拵えられ代用している。その瞬間空間がねじ曲がったのではないかという覇気が各自から漏れ、ネイアは悪寒を走らせる。

 

「……ルプー、それをわたしたち全員に造らせなさい。」

 

「え、無理っす。本当は7つ造ってたんすけど、6つはアルベド様に取られたっす。それにこれ以上金もドワーフの労力も無駄に出来ないからって、アインズ様から止められたっすよ。だからゲームでの特賞っす。あ、でもアインズ様や金の像と交換にアルベド様が他に景品を用意してくれたっす……大理石製のアインズ様像、Barの副料理長特性オリジナルカクテル【アインズ・ウール・ゴウン】(各種能力向上付き)、アインズ様抱き枕、低反発マットレス、空気セイジョウキ?っだたっすかね。……残念賞は各種ポーション詰め合わせっす!」

 

「アインズ様御自ら景品を!?ルプーあなた、わたしたちにも黙っていたの!?」

 

「いや~~こういうのはサプライズが大事っすよ~~。」

 

「……いいわ、受けて立つ。例え相手が客人やあなたたちでも。」

 

「もちろん魔法(イカサマ)なんてしないわよねぇ?」

 

「…………恨みっこなし。」

 

「お、皆良い目になって来たっす!ネイアちゃんも負けてられないっすよ!じゃあカードを選ぶっす!」

 

 ネイアはそのまま六姉妹(プレアデス)達と朝まで遊び、遊ばれ、眠りに付いたのは日が昇ってからだった。


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