「人生の最期」の7日間に起きる知られざる現象

名医が教える「ご臨終」の不思議な世界

臨終間際の人によく見られる不思議な現象から、彼らの心身にいったい何が起こっているのかについて、志賀貢医師に解説してもらいました(写真:merlion/iStock)
高齢社会がここまで進んだ今、人々の「人生の最期」への関心は、静かに、しかし確実に高まっている。高齢の親と同居する働き盛り世代も多くなり、「臨終」への不安や疑問は、当事者のみならず、その家族にとっても深い関心事になっているからだ。
だが、人の最期の前後には、病気の進行などとは別に、すぐには理解できないような不可思議な現象――「中治り現象」や「お迎え現象」など――もよく起こり、人の死に直面する現実はいつか必ずやってくることを考えれば、そのあたりの疑問はできるだけはっきりさせておいたほうがいい。
この記事では、死期が近づいた人によく見られる奇妙な現象をはじめ、彼らの心身に生じている実際の変化について、新刊『イラストでわかる ご臨終の不思議な世界』を著した医学博士・志賀貢医師に、その長年にわたる医師人生における経験を基に解説してもらった。

「中治り現象」という不思議

人の命が、あと7日、いや5日かもしれないという危篤状態に陥ると、見舞いに来た親族や知人も半ば諦め顔になり、ため息をつくことが多くなるものです。

しかし、こうした状況で、家族たちをびっくりさせる現象が病棟ではよく起こります。死を間近にした人の「中治(なかなお)り現象」と呼ばれる不思議な回復です。

意識がもうろうとし、口にいっさい食べ物を入れない状態の患者さんが突然、目をパッチリと開け、「水を飲みたい」「アイスが食べたい」などと訴える。その様子に、世話にあたる病棟スタッフは、これは「中治り現象」かもと気づきます。

家族も、急に元気になった患者さんの様子に驚きます。ひょっとしたらこのまま回復して元気に暮らせるのではないか、病気が治って自宅に戻れるのではないか、などと期待する家族も少なくありません。

実は、このように患者さんの容態が一時的に回復する現象は日本だけのことではなく、欧米ではこれを「last rally(ラスト ラリー)」と呼んでいます。日本語に訳すと「最後の回復」とでもいえるでしょうか。

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  • 都々逸d75d09bfa0e6
    こういう摩訶不思議なことがおこることがあるのでしょうね。私は祖父、パートナーと臨死の経験がありましたが、何も無かったですね。
     最近、飼っていた犬がほとんど動かない状態でしたが、前日外にオシッコしに行き、ご飯もちょっと食べて、少し元気になったかな?と思っていたら、翌日亡くなってしまいました(T . T)
     これもそういう類なのでしょうか?人でも動物でも死は張り裂ける思いですね
    up36
    down2
    2019/10/8 11:13
  • sf03072d7ac7f176e6
    人間の心理は、理由を探したり何か特別なことを見つけるのが得意。
    それが科学的だろうか合理的なのかは関係ない、自分が納得する力は客観的事実よりも圧倒的に強く、優秀な科学者や合理的な企業家でも「考えること」よりも「信じること」に傾倒する。
    いわゆる認知バイアスですね。

    この記事は誰かの体験談や証言、意味の無いアンケート調査統計結果などに依らず、生理学的な理由を挙げているところに安心しました。
    「信じること」は否定しませんし、「考えること」で全てが分かり安心出来るとは思いません。
    何も信じられないのは本当に悲惨ですから。

    ですが、信じていることが事実であるかどうかは別ということでお願いします。
    up15
    down4
    2019/10/8 12:59
  • 阿井卯栄男d1c7e5e16494
    書かれていることは、人の死を看取る人からすればごく当たり前の事象です。何も不思議なことではありません。むしろ、こうした「中治り」や「幻視」「幻聴」を伴わない死の方が稀なのではないかと思われます。

    人にとって死は苦痛です。誰しも死にたくはない。そうした人間が死を前にすると、脳内作用によって死の苦痛や悲しみから回避する生体反応を起こすことは理屈に合ったことです。
    up4
    down0
    2019/10/8 15:36
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