名護市辺野古の新基地建設への抗議活動中に、不当な米軍の身柄拘束や海上保安庁による緊急逮捕があったとして、芥川賞作家の目取真俊さん(59)が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が7日、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)で言い渡された。大久保裁判長は、目取真さん側が刑事特別法による緊急逮捕は違憲ではないと判断した一審判決を不服とした控訴を棄却した。
控訴審判決は、中城海上保安部が米軍から身柄を引き受けるのが遅れたことと、海保が緊急逮捕したことを違法と判断して国側に計8万円の支払いを命じた一審判決を支持した。
目取真さんは「裁判所が市民を守る立場にないなら、誰が市民を守るのか」と批判し、上告する考えを示した。
控訴審判決は、刑特法に基づいた令状のない米軍の緊急逮捕による身体拘束や、基地内で拘束されている間に米軍が弁護士と接見させなかったりした行為を違憲だとする目取真さん側の主張を退けた。
弁護団の新垣勉弁護士は「米軍という国家権力による日米地位協定に基づいた身体拘束を、一般私人と同一のレベルで論じる点で誤りがある。その点で問題の本質をつかみ損ねた判決だ」と指摘した。
齋藤祐介弁護士は「逮捕状なしで逮捕できる現行犯的な逮捕なら違憲ではないとなれば、米軍と捜査機関で乱用できることとなる。重大な人権侵害だと主張したが、その点について判決では応答がなかった」と話した。