7日午前9時10分ごろ、能登半島の北西約350キロの海域で同庁の漁業取り締まり船「おおくに」と北朝鮮の大型漁船が衝突し、漁船の乗組員約20人が海に投げ出された。漁船はその後沈没した。海上保安庁の巡視船や航空機、水産庁の船が捜索・救助活動を行い、乗組員数十人を救助した。
政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。
水産庁や海保によると、衝突した場所はイカやカニの好漁場である大和堆付近で、日本の排他的経済水域(EEZ)内。沈没したのはイカ釣り漁船とみられ、取り締まり船が音声で退去警告をしていた最中に衝突した。
江藤拓農相は7日午後、記者団の取材に「(漁船が)急旋回したためぶつかったと承知している」と述べた。水産庁側に人的被害はないという。
海保によると、海保と水産庁はイカ釣りの漁期が始まる5月から監視を強め、違法操業する北朝鮮漁船に放水などの対応をとっていた。
水産庁によると、2019年8月5日までに大和堆で違法操業する北朝鮮漁船など498隻に退去警告し、うち121隻に放水した。大和堆での退去警告数は16年はのべ3681隻、17年は5191隻、18年は5315隻と増えており、取り締まりを強化していた。
大和堆は能登半島の北西約300キロの日本海中央部に位置する幅数十キロ、長さ百数十キロの巨大な浅瀬で、EEZ内にある。海底地形の影響を受けた複雑な海流によりプランクトンなどが豊富とされ、イカなどの好漁場となっている。