プロ野球唯一の通算400勝投手、金田正一さんが6日、急性胆管炎による敗血症のために86歳で死去した。
金田さんは1957(昭和32)年8月21日、中日-国鉄のダブルヘッダー第2試合(中日球場)でプロ野球人生唯一の完全試合を達成した。ところが走者を1人も出さずに快投を続けていた9回裏、先頭打者・酒井敏明のときに“事件”は起こった。
1ボール2ストライクから投げた4球目、酒井のハーフスイングを球審は「ストライク」と判定。この判定に激高したファン200人あまりがグラウンドに飛び降り「振ってない」「ボールだ」「アンパイアは何している!」などと怒号が飛び交う事態となった。
この騒動で試合は43分間中断。最後は天知俊一監督が「没収試合という不名誉を残したくありませんから、どうか引き揚げてください。すべての責任は私が取ります」とマイクで訴え、ファンもスタンドに戻って試合は再開した。金田さんは中断にも動揺を見せず、続く牧野茂、太田文高をいずれも空振りの3球三振に仕留め1―0で勝利、プロ野球史上4人目の快挙達成となった。