こわもて俳優、松重豊(56)が公開中の映画「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」で男の妊活をチャーミングに演じている。これまで多く演じたヤクザ、刑事役から一転、精子の運動率に一喜一憂する作家役だ。「若いころはホームドラマの依頼なんてなかった。この仕事って分かんないもんですね」
作家のヒキタクニオさんが、妊娠を願う夫婦の実体験をつづったエッセーが原作。49歳の作家、ヒキタ(松重)は、33歳の妻サチ(北川景子)の一言で子どもを持つことを決意。しかし精子が老化していたことが判明し、2人は不妊治療に進んでいく。
映画に携わり、「実はウチも…」と不妊治療をしていることを打ち明けられることが多かったという松重。デリケートな題材だが、「人知れず闘っている人が声を出してくれた。こういう映画を作って良かった」と実感している。
劇中では己の「ダメ金玉」を嘆き、股間を殴って歯を食いしばる。「放送禁止用語じゃないんで連呼しますよ。本人が切実なのに、ばかばかしく笑える。喜劇として僕の求めていることです」。エンターテインメントとして楽しんでもらいたいとしつつ、「映画って10年、20年と残るもの。さまざまな世代の理解度や認識が変わっていけばいい」。
年の差夫婦を演じた北川は撮影現場で「そんなに離れてました?」と気さくに接し、救われた思いだったそう。「僕はもう北川さんについて行くだけ。年下の妻にしかられることがこんなに心地いいなんて初めて気付きました」とにやけた。