包丁いらずで作れる、うまみたっぷりポーク・ビーンズ

今回、メインで取り上げるのは“豆”。この連載では初登場です。缶詰の豆を使って、とても簡単に作れ、栄養満点、おいしさ満点! チリパウダーを加えればチリコンカンになるなど、アレンジもしやすく知っておくと重宝するレシピです。

トマト缶、豆缶、ひき肉、3つの素材で作ります

毎日忙しく働いていて、料理が面倒だなあと思っている人に、豆たっぷり、肉たっぷりの、手軽なボリュームシチューをご紹介しましょう。肉を鍋で焼き、豆とトマト缶、塩を放り込んで煮込むだけ。手間なく作れます。

豆は、腹持ちがよく栄養価も高く、うまみもたっぷり含まれています。乾物から戻すと時間と手間がかかりますが、最近は、缶詰や紙パック、レトルトなど便利な製品が種類もたくさん出ていて、これを使わない手はありません。

ほっくりと煮えた豆にひき肉とトマトが混ざり合った食べごたえあるシチューは、子供も大人も大好き。工夫してあれこれ入れるのも楽しいものですが、まずはシンプルなおいしさを味わってください!


ポーク・ビーンズ

材料(2人分) 所要時間35分

ひき肉(好みのもの) 200g
レッドキドニー水煮 約200g ※他の豆でも可
トマト缶 1缶 ※ホール、カットどちらでも可
オリーブオイル大さじ1
塩 小さじ1
胡椒 少々
水 200mL

作り方

1 ひき肉を焼く
鍋を中火にかけオリーブオイルを熱し、ひき肉を広げるようにして入れ、あまり動かさずに焼く。へらで持ち上げ、焦げ目がついていたら大きく返して、裏側も焼きつける。★1

2 豆とトマトを入れる。
豆は水が入っているものは、水気を切り、鍋に入れる。トマトを手でつぶしながら入れる。(カットトマトならそのまま)★2

3 煮込んで味をつける
水200mLと塩小さじ1を加え、沸騰したらアクをとり、弱火にして20~25分煮る。味を見て、塩と胡椒で調節する。★3


レシピのポイント解説

・ひき肉の焼きつけ方
・豆について
・煮込みについて

★1 ひき肉の焼きつけ方

ひき肉は、豚ひき肉、牛ひき肉、合いびき肉、どれを使っても構いません。今回はバランスの良い合いびき肉を使っています。

ひき肉を最初に焼きます。炒めるのではなく「焼く」という言葉がポイントです。厚手の鍋を中火にかけ、オリーブオイルをひいてひき肉を広げるように入れます。薄い鍋だとくっついてしまうのでご注意ください。


鍋は厚手のもの、またはテフロン加工のものを。深めのテフロンのフライパンでもよい

ひき肉は、最初からいきなり混ぜると、肉汁が全部出てしまいます。コツは、ひき肉を1枚のステーキ肉と考えること。ヘラなどで混ぜたりせず、大きな肉を焼くように、しばらく放置して、焦げ目をつけていきます。
1分半~2分ほど焼いて、端を少しヘラで持ち上げ、焦げ目がしっかりついていたら大きく返します。つながった肉を返す要領です。


1回では難しいが、2回か3回に分けて、まとめてひっくりかえす

こうして火を通している間に、ひき肉が自然にパラパラとほぐれてきます。肉の色が変わったら全体をざっと混ぜると無理なくひき肉が離れます。多少塊の部分があっても、それがまたおいしいのです。完全に火を通す必要はありませんが、両面焦げ目をつけると、8分がた火が通った状態になります。

ちなみに、鍋が薄かったり、熱し方が足りないで肉を入れると、肉が鍋にくっついてしまうことがあります。そういうときは、試しにぬれたふきんの上に、鍋底をつけてみてください。はがれやすくなります。


★2 豆について

肉が焼けたら、そこに豆を加えていきます。
豆は、水煮されたものを使いましょう。スーパーの缶詰売り場、あるいは煮豆や漬物などのコーナーの冷蔵棚に置いてあります。


いずれも、水煮の豆。レトルト、缶詰、紙パックなど、

こうした豆は、味はついていませんが、パックから出してそのまま食べられるまで煮てあります。サラダに使ってもいいし、煮豆にしてもいいし、もちろんスープにも向いています。

「豆の種類がいろいろあってわからない!」と思うかもしれませんが、基本的にはどれでも大丈夫です。
今回はポーク・ビーンズや、チリ・ビーンズによく使われる「レッドキドニー」を使いました。いんげん豆の仲間です。

大豆やひよこ豆、ミックスビーンズ、白いんげん豆など、どんな豆でもおいしくできます。好みの豆をお使いください。大豆はポピュラーですが、たんぱく質がメインであまり煮崩れないので、シチューというよりスープっぽくなるかもしれません。

パックものは量もまちまちですよね。200g前後が適量ではありますが、少なければ少ないで、肉とトマトにうまみがあるので大丈夫です。


紙パックは手で開けられてとても便利!

豆についてより詳しく知りたい方は、こちらのnoteへ!

豆は、缶詰や紙パックの場合は、水が一緒に入っている場合があります。これはしっかり切ってから、鍋に入れてください。記載の分量は、豆だけの重量です。


ドライパックのもの以外は、ザルに一度あけて水を切る


★3 煮込みについて

さて、豆と一緒に入れるのは、缶のトマト、塩、そして水200mLほどです。全部入れたらひと混ぜし、そのまま煮込みましょう。トマトは手でつぶします。思い切りつぶすと汁気が飛ぶので、低い位置でゆっくりと! 一度火から外した方が安全です。


ホールトマトは手でつぶして。カットトマトならそのまま入れてOK

煮立ったらアクを取り、弱火にきりかえ、あとは味がなじむまで20分ほど煮込むだけ。


泡立った部分がアクで、ある程度とればOK。火を弱めればおさまる

最後に味を見て、塩と胡椒でととのえます。

基本的に、トマトと豆には火が通っていますし、ひき肉もほぼ8分がた焼いてしまいますから、煮立ったら食べることは可能です。でも、トマトの味がやわらかくなり、一体感をもつには、やはり20分ほどかかります。火を弱めたらタイマーをかけて放置して大丈夫ですので、すこし待ちましょう。

栄養たっぷりの豆を生活にとりいれよう

豆は、普段料理し慣れない人も多いとは思いますが、栄養価も高く、ボリューム感もあり、健康のためには積極的に食べたいもののひとつ。

栄養価的には、良質のたんぱく質、炭水化物、食物繊維、ミネラルがたっぷり含まれていて、さらに低カロリー。長生き食材ともいわれています。煮豆など味が濃いものだと少量しか食べられませんが、スープならたっぷり食べられます。

味付けは塩胡椒とシンプルなので、溶けるチーズなどのせてもいいですね。豆を日々の食卓に取り入れるきっかけになれば、幸いです。


【アレンジ】トッピング×調味料でアレンジ無限大

このシチューは、アレンジが非常にきくのがよいところ。
基本のレシピから肉をかたまりやこま切れの肉に変えても作れますし、チリパウダーやチリペッパーを加えれば、チリコンカンに変身。トッピングもチーズ、ゆでたまご、各種野菜など、さまざま工夫すればごちそう感もさらに高まります。お試しください。

牛肉と大豆のシチュー

レッドキドニーのかわりに大豆を、ひき肉のかわりにカットした牛のステーキ肉を使いました。大豆と肉でたんぱく質のかたまりのようなシチューです。肉に焦げ目をしっかりつけるのは同様に。ピーマンを切ったものを最後に散らしてアクセントに。

ミックスビーンズのチリコンカン

このシチューに、チリパウダーやチリペッパーをたっぷり振り入れると、アメリカ南部の料理、チリコンカンになります。ミックススパイスであるチリパウダーの場合は塩が混ざっていることがあるので塩をその分ひかえて。トッピングには、パクチーをのせています。

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

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有賀薫

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gami_co チリビーンズにタマネギいれなくてもいいって発想。ああ、食べたくなってきた! https://t.co/tVgeR1G4DH 約1時間前 replyretweetfavorite