新垣ミート(宮崎市)社長 新垣幸洋さん
「本当の会社」へ今が正念場
店舗に立つ新垣幸洋社長。さらなる飛躍を目指し、6億円を投じてネット部門と営業部門の拠点を新たに整備する
大学在学中、後継者という意識は皆無だったが、就職活動はしなかった。「後を継ぐということが深層心理にあったんだと思う」と振り返る。卒業後、すぐに入社し、肉のカットや仕入れを担当した。大学時代も休みに帰省して手伝っていただけに仕事の流れは分かっていた。当時は従業員が10人以下で、「家族経営のようなものだった」。
少しずつ従業員が増え、自身に時間的余裕が生まれた2006年、インフォマート(東京)が運営するプラットフォームを活用した企業間電子商取引を始めた。すぐに全国の飲食店やスーパー、ホテル、通販業者などとの取引が生まれ、軌道に乗った。
次いで、「ヤフオク!」、「ヤフー!ショッピング」、「楽天市場」へと順に参入し、ネット事業を拡大した。話題づくりや見せ方などを工夫し、価格競争に陥らないための自社にしかない商品の充実にも注力。多くのライバル会社がいる中でも埋没せず、柱となる事業の一つに成長させた。
今年5月、香港での商談会に参加し、海外展開への第一歩を踏み出した。相手が求めるもの、売り方や仕入れ方、加工の改善すべき点などが見えた。11月にも台湾に足を運び、販路開拓に意欲を見せる。
9月に社長となり、「やっている仕事は就任前と変わらないのに、常に全体を意識するようになった」と話す新垣社長
従業員数は42人まで増え、年間約7億円を売り上げるまでなった。現在、さらなる飛躍を目指した一大プロジェクトを進める。宮崎市の倉岡ニュータウン業務用地に約6600平方メートルの敷地を確保し、ネット部門と営業部門の拠点を整備する計画だ。総事業費は6億円で、来年9月の完成を見込む。
これを機に、食品衛生管理の手続きを定めた国際基準「HACCP(ハサップ)」を取得する。「肉の卸でハサップを取得しているところは県内にないと思う。義務化される前に先行してやることで優位性が生まれる。やるなら今だ」と狙いを明かす。
ネット、海外、新拠点、ハサップ…と挑戦を続け、これらのために自ら動き回る。トップがどう動くかを見せることで、従業員に会社の戦略や仕事の進め方などを浸透させる意図がある。挑戦を続けるのは、従業員に夢や目標を持つことでモチベーションを高めてもらい、仕事の意味を考えながら働いてほしいと願うからでもある。
これから組織を大きくしていく中で、「従業員に任せて成果を出す形にしないといけない。その道筋づくりが今だ。ここをしっかり乗り切り、家族経営的な組織から本当の意味での会社へと移行させたい」と誓う。
プロフィル
しんがき・ゆきひろ 宮崎市出身。宮崎北高-明治大法学部卒。1995年に入社し、2010年に専務。今年9月から現職。誕生日は10月29日。「肉の日」に生まれたことに「宿命なんですよ」と笑う。1971(昭和46)年生まれの46歳。- バッグのあつた(宮崎市)社長 熱田陽子さん - キーパーソン(2017年11月20日)
- 高嶺木材(日南市)社長 高嶺清二さん - キーパーソン(2017年11月13日)
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